ハニが見ているのはボートに乗っているカップルや家族ではなく、弱い風でも表情を変える水面。
その揺れが自分の今の心の揺れのように、分かるか分からないかの風でも変化している。
池の底が見えるはずもないのに、その池の底を見てみたい気持ちもあった。
それはスンジョの心が見えそうで見えないのと同じだった。
池の底を見ようと思って覗き込めば、その中に落ちてしまう。
池の中は落ちてしまうが、スンジョの心は落ちるどころか覗き込む事さえできない。
覗き込まれることを拒まれているのなら、諦めてその対象を変えるしかない。
「変わらなきゃ・・・分かっていた事じゃない。スンジョ君が私の事を嫌いだって分かっていた事じゃない。それなのに、時々優しくされたりするから勘違いをして、変に期待をしてしまって・・・・振り向いてもらえなくてもいいと思っていたのに、同じ家で生活をしていたからそんな事も忘れてしまっていた。諦めるのじゃなくて、私の考えを変えなきゃ・・・」
フラフラとベンチから立ち上がったハニは、この公園に来た時と表情が変わっていた。
まだ元気になっていないが、どこか悟った要は表情だった。
高校の入学式に一目ぼれをして5年。
そんなに簡単にすっきりと忘れる事が出来るはずなどなかった。
忘れるはずなど出来なくても、ハニは何かを決心した表情をしていた。
きっとその表情をギドンが見たら驚くだろう。
一度も見せた事のない表情だったから。
「ふぅー・・・よしっ!」
ハニは大きく深呼吸をして気持ちを整えると、門の扉を勢いよく開けた。
そこから見上げるキッチンの窓にグミが夕食の準備をして動いている姿が見えた。
急ぐようにして駆け上がると、何もなかったように明るい表情を作って玄関のドアを開けた。
「ただいま帰りました。」
「お帰りなさい。おやつがあるけど、すぐにお茶を用意するわね。」
「おばさん、ランチの時間が遅かったのでおやつはいらないです。着替えてきてすぐに手伝いますね。」
明るい笑顔に戻っていたハニの顔を見て、グミはホッとした笑顔を見せた。
「よかったわ、早く元気になってくれて・・・スンジョもハニちゃんのあの明るい笑顔を見て、ユン会長の孫娘とのお見合いの話を考え直してくれるといいのだけど・・・・」
ユン会長の孫娘とのお見合いを認めたくないのは、スンジョがハニのお陰で随分と変わった事と、ハニに対してどんな気持ちでいるのか母親として分かっていたから。
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その揺れが自分の今の心の揺れのように、分かるか分からないかの風でも変化している。
池の底が見えるはずもないのに、その池の底を見てみたい気持ちもあった。
それはスンジョの心が見えそうで見えないのと同じだった。
池の底を見ようと思って覗き込めば、その中に落ちてしまう。
池の中は落ちてしまうが、スンジョの心は落ちるどころか覗き込む事さえできない。
覗き込まれることを拒まれているのなら、諦めてその対象を変えるしかない。
「変わらなきゃ・・・分かっていた事じゃない。スンジョ君が私の事を嫌いだって分かっていた事じゃない。それなのに、時々優しくされたりするから勘違いをして、変に期待をしてしまって・・・・振り向いてもらえなくてもいいと思っていたのに、同じ家で生活をしていたからそんな事も忘れてしまっていた。諦めるのじゃなくて、私の考えを変えなきゃ・・・」
フラフラとベンチから立ち上がったハニは、この公園に来た時と表情が変わっていた。
まだ元気になっていないが、どこか悟った要は表情だった。
高校の入学式に一目ぼれをして5年。
そんなに簡単にすっきりと忘れる事が出来るはずなどなかった。
忘れるはずなど出来なくても、ハニは何かを決心した表情をしていた。
きっとその表情をギドンが見たら驚くだろう。
一度も見せた事のない表情だったから。
「ふぅー・・・よしっ!」
ハニは大きく深呼吸をして気持ちを整えると、門の扉を勢いよく開けた。
そこから見上げるキッチンの窓にグミが夕食の準備をして動いている姿が見えた。
急ぐようにして駆け上がると、何もなかったように明るい表情を作って玄関のドアを開けた。
「ただいま帰りました。」
「お帰りなさい。おやつがあるけど、すぐにお茶を用意するわね。」
「おばさん、ランチの時間が遅かったのでおやつはいらないです。着替えてきてすぐに手伝いますね。」
明るい笑顔に戻っていたハニの顔を見て、グミはホッとした笑顔を見せた。
「よかったわ、早く元気になってくれて・・・スンジョもハニちゃんのあの明るい笑顔を見て、ユン会長の孫娘とのお見合いの話を考え直してくれるといいのだけど・・・・」
ユン会長の孫娘とのお見合いを認めたくないのは、スンジョがハニのお陰で随分と変わった事と、ハニに対してどんな気持ちでいるのか母親として分かっていたから。
