大好き!<イタズラなKiss>

韓国版イタズラなKissが大好きです。 切ないお話しか書いていないので、お好みではない方はスルーしてください。

本当は好きだった

本当は好きだった(あとがき)

あのまま二人は離れ離れになっていたら。

今まで書いた作品の中で一番力を入れて書いた作品です。
自分の気持ちに素直になれなくて、本当は好きなのにその気持ちをジュングのようにストレートに表現をすることも出来ない。
完璧な自分を常に取り繕うことで、本当の気持ちを人に読まれるないようにする。それは幼いころのトラウマの所為。
それが判っているが、素直に心を表す術を知らず。
人から信頼されているから、自分の取った方法を間違うことも無い。
そう信じてずっと生きてきた。

そんな自分を全くタイプではないオ・ハニに振り回されて胸の奥に隠されていた感情が芽生え、からかったり意地悪をしてみるとハニはすぐに反応をして泣いたり怒ったり笑ったりと 、ハニは今まで自分では表したことのない感情を簡単に表現していた。
自分では出来ない素直な表現をするハニに心を動かされ、夢も何も将来を考えられなかった自分の悩みを、生まれて初めて嫌いなタイプと思っていたハニに話した。
人に相談したのも多分スンジョはこれが初めてだと思います。

「その頭脳を、人の為に」「医者になって病気をぺロッと治しちゃうの」
軽い調子で言ったハニの言葉に、医者になると言う道を実現して見たくなった。
ハニにしたら天才で完璧なスンジョには出来ないことはないと言う思いだったのでしょう。
そんな時に父が倒れて、会社の仕事をすることになり、縁があって融資先の会長の孫娘と見合いをした。

それをベースにして、考えてみました。
スンジョは自分のことを他人がどう見ているのか知っています。
エリートでなければいけない、敷かれたレールを進むつもりはなかったが、親の期待を裏切ることも出来ないし、会社社長の息子として、従業員を路頭に迷わせることも出来ない。
そのためには、心を殺して見合いをして結婚をした。
それも自分が一番嫌いな、金銭に心を売ると言うことが判っていて。

ハニと出会うまでのスンジョなら、感情も愛情もない結婚をすることは何も思わずに出来るのではないかと思って、このお話を書きました。
多分今まで書いた作品の中で、一番悲しいハニだったかもしれません。
スンジョが自分の殻を破るには、誰かが助けないと出来ない。
テレビオリジナルでは、ジュングのハニへのプロポーズで、硬い殻が割れました。

もし結婚してしまったのなら、殻を破る人は周囲の誰かではなく、スンジョ自信とハニの想いだけ。
ハニは、誰とでもすぐに打ち解ける性格ですが、スンジョに対しては臆病です。
スンジョの為なら、自分が身を潜めて過ごすことも出来る女の子だと思います。

人に負けたことのないヘラが 初めて人に負けるかもしれないと言う恐怖。
それも、頭も悪く何も満足にできなく親の財産もないオ・ハニ。 
他人から見ればヘラが負けるはずもないと思われることがプレッシャーで、人としてしてはいけないことをして、ハニがスンジョから逃げるようにして生活をさせていた。
ヘラにそれを気付かせようと、その間違った考えを正すためにソラという娘の存在を使いました。

イタキスらしくないイタキスでしたが、最後は誰も悪くない終わり方でグミママの女の子が欲しいと言う思いを実現させると言うお話で完結にしました。

最後は、さぁーっと流した感じで終わらせました。
書き始めた時に、アメンバーさんから「主役の二人以外の絡みで書いてほしくない」「やめてほしい」とメッセージをいただきました。
イタキスの二次ブログは最初の出会いと結末は皆同じですが、途中のストーリーがブロガーさんの書きたい展開なので、お話はいくつも色々な内容になって素晴らしい作品になります。
考えが違えばこんなに色々なイタキスと出会えるのは素敵だと思いませんか?

次回作も、その次もずっと切なくてどうしたらいいのか判らないけど、最後は幸せになれるお話を書いていきます。
 

本当は好きだった 最終話

「おとう様!」
マンションの駐車スペースに車を停めて降りた時、聞き覚えのある自分を呼ぶ声が聞こえた。
「おとう様!」
振り向くと小さな手を振って駆け寄って来たソラの姿を見た。
助手席から降りるハニを気にしていると、ソラから遅れてヘラが来た。
「ヘラ・・・・・・」
思いがけない訪問で、車から降りたハニは身体が強張った。
やっとスンジョと思いが通じ合えたのに、二人が向かい合って立っていればお似合いで、雑誌に取り上げられていたことを嫌でも思い出してしまう。
「ハニ、お久しぶり。」
「・・・・・・・・」
「そんなに怖がらないでよ。多少スンジョにまだ未練はあるけど、吹っ切ることが出来たのだから。」

スンジョは助手席側に立っているハニの傍に行き、手を引いてまたヘラの前に来た。
「ハニ!妊娠したの・・・・・・・・そんな顔しなくてもいいわ。もうあなたとスンジョの子供を奪おうなんて思わないから。」
「何しに来たんだ?今はアメリカにいるんじゃなかったのか?」
「おじい様が入院したのよ。パランに行ったらスンジョ、あなた他の病院に移ったと聞いて・・・・・・・。ソラがあなたに会いたいと言ったから来たのよ。」
ハニを気にして、スンジョは自分を見上げている可愛いソラを抱きたくても抱くことが出来なかった。
「スンジョ君、部屋に上がってもらおうよ。」

部屋のロックを解除すると、その音が聞こえたのか部屋の中にいたスンハが玄関まで出てきた。
「お帰りなさい、お父さんお母さん・・・・・・・・」
雑誌やテレビで見たことのある女性と、小さな女の子が両親の後ろにいることに気が付くと、スンリはそれが誰なのかすぐに判った。
「初めまして・・・私・・・・・・」
「スンハでしょ?知っているわよ。それと、スンリでしょ?」
来客があったことに気が付いたスンリも出迎えに現れ、ヘラとソラを見て顔の表情を変えた。
「双子って本当に似ているのね。それにスンリはスンジョとそっくり。」
スンリがムッとして口を開こうとした時、ヘラに手を引かれていた大人たちの事情をまだ知らないソラが小さな手を出してスンリとスンハに挨拶をした。
「こんにちわ、ワン・ソラです。」
ソラの名字が<ユン>から<ワン>に代わっていたことでスンジョは驚いた。

「私も再婚したのよ。おじい様と両親に叱られたわ。夫以外の人と付き合った挙句にその子供を、スンジョの名字じゃなく私の名字にして隠すことがソラを傷つけることになるって。」
「いつ・・再婚したんだ。」
「再婚と言っても、籍を入れただけなのだけど、おじい様が入院する前よ。ギョンスにはうちの関連会社のアメリカ支社に入ってもらうことになったわ。」
いくらスンジョへの想いを吹っ切ることが出来たと言っても、ヘラはスンジョの事を政略結婚ではなくても好きだったことを知っているから、10年もの間スンジョと夫婦として暮らしていた事実を消すことが出来ない。
ハニは、スンジョと何もなかったかのように話をしているヘラを見ることが出来なかった。

「ハニ・・・・・・・本当にごめんなさい。ハニに出会うまで私は誰にも負けたことがなかったの。スンジョがハニを好きだと言うことを結構前から知っていたわ。私のできることの9割もあなたは出来ないけど、それなのにあなたに負けることが怖くて・・・・・・・・でも結局はお金絡みで結婚しても心までは私の物にならないのよね。ギョンスも同じ・・・・・・その弱いところを利用して傷つけて・・・・・・。一途にスンジョを思うあなたの気持ちには誰も勝てないわね。いつか、子どもたちが大人になったらいい関係で出会えるように、私はアメリカで出直すわ。」
ヘラは短い時間に滞在しただけだが、ハニに心から詫びてスンジョ達の部屋からギョンスが待っている空港に向かった。



「母さん・・・・大丈夫か?」
「・・・・大丈夫・・・・・・」
「ハニちゃん、頑張ってね。スンジョもすぐに来るって言ってたから。」
「お母さん・・・・・・・」
「スンハ・・・・スンリ・・・・・・おかあさん・・・行ってきます。」
「ハニちゃん!待ってるからね!きっとかわいい女の子が生まれるから!」

ハニが分娩室に入って暫くするとスンジョが暗い廊下を走って来た。
「スンジョ!今、ハニちゃんが入って行ったわ。もうすぐ女の子が生まれるのよ!」
誰も性別を知らないのにグミはハニが女の子を出産すると思い込んでいた。
「判った・・・・・・けど、まさかハニに女の子を生めってまた言ったんじゃないだろうな。」
スンハとスンリとグミは顔を見合わせて三人同時に言った。
「「「女の子を生めとは言っていない!」」」
確かに、<生め>とはグミは言わなかったが、三人の様子にスンジョは同じようなことをグミがハニに言ったことは判っていた。

数時間後、グミの願いどおりにハニは可愛い女の子を出産した。
もう誰からも逃げないで、スンジョの傍にいられる安心感からか、双子を出産した時よりも元気だった。



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本当は好きだった 69

「まぁまぁ、どうしたの珍しい。」
グミの出迎えはいつもと変わらず、ハニと一緒に来ると大げさなくらいの歓迎だ。
「オレの実家に帰るのが珍しいか?三日前にも来ただろう。」
「平日で二人で来るなんて、珍しくない?入って・・・・今ちょうど、ミアと買い物から帰ったのよ 。」
スリッパに履き替えて、ダイニングからミアが顔をのぞかせた。

「お義兄さん、お義姉さんいらっしゃい。」
上着を脱いだばかりのミアが、大きくなったお腹を庇うように二人を迎えた。
「ミアも座って・・・・・今、私がお茶を用意するから。」
いつもおかあさんは私を温かく迎えてくれる。
ミアも私を可愛らしい声で、<お義姉さん>と呼んで10年の間に変わったこともあるのに昔と変わらずペク家は温かくてここが私の実家で、実の母と妹ならどんなにいいか・・・・・・。

「あら!ハニちゃん?ここはあなたの実家で、あなたは私の娘でミアはあなたの妹よ。」
「どうして心で言ったことが判ったのですか?」
「お前は心で思うことも声に出るのが治らないみたいだな。」
そうだった。
私は思ったことが声に出るんだった。
「何かあって、この時間に来たのでしょ?いい事かしら・・・・・・。」
いつもお袋のアンテナは感度いいな。
「そうそう・・・・これ、ハニちゃんに。」
グミは小さな箱をハニの前に出した。
「開けて・・・・。」
ミアとグミは顔を見合わせてニコッと笑った。
箱の中にはピンクの可愛らしいベビー靴が入っていた。
「おかあさん・・・・・これは・・・・・・。」
「昨日検診でミアの子供が男の子だとわかったの。気が早いのだけど、今日ベビー用品を買いに行った時に、ミアの子供とお揃いでかわいいピンクのファーストシューズを見つけて買ったのよ。」

「偶然だな。」
「偶然・・・・・・・・・!・・・・・・ハニちゃん!もしかして・・・・・。」
「はい・・今日病院に行ってきたんです。」
「まだ、男女の区別もつかないのにピンクの靴?」
スンジョの話など聞いていないのか、グミは目頭を押さえていた。
「ハニちゃんが・・・・・・私の娘が・・・・・・・」
涙を拭いてグミはハニの手を強く握った。
「女の子よ!絶対に女の子が生まれるわ。私の勘は間違いがないから。」
グミの力のこもった言い方に、スンジョは呆れたようにため息を吐いた。
「おいおい、オレが生まれる時も女の子だと思い込んだ過去があるだろう。」
「あなたが出来た時に苺が食べたくなったから女の子だと思ったのよ。それにあまり胎動も感じなくて大人しかったから。」
申し訳なさそうに、ミアが声のトーンを下げて、間に入って来た。
「おかあさん・・・・・あの・・・・私のお腹の子も女の子に間違いがないとおっしゃったのですが・・・・・・男の子です・・・け・・ど・・・」
「まっ・・・・・・・ホホ・・・・・ホホホ・・・・・・・」

「でも・・・お式は挙げないと言ったけど、お腹が大きくなる前に、ハニちゃんの花嫁姿を見たいわ。」
「結婚式・・・・来月にすることにしたよ。」
スンジョの報告でグミが喜んだのは言うまでもなかった。



「スンハ達・・・・喜ぶかな・・・・・・」
実家から戻り、取り入れた洗濯物を畳みながらハニは暗い顔をして呟いていた。
「喜ぶに決まっているだろう。ほら、二人が帰って来たぞ。」
「ただいま。」
スンジョが二人が帰って来たことを知らせてすぐに、玄関のドアが開きスンハの声が聞こえた。
「お帰り。」
「お父さん、お母さんただいま。これ・・・・・・・管理人の奥さんからお花をいただいたよ。いつもお父さんとお母さんに病院でお世話になっていますって。・・・・・お母さん、どうしたの?お父さんと喧嘩をしたの?」
「喧嘩じゃないけど・・・・・・・・スンジョ君から二人に話して・・・・・・。」
俯いて元気のない声の母に、二人は心配そうな顔をした。
「本当の事言ってくれよ・・・・・母さん・・・父さんと喧嘩をしたの?」
頭が良い二人でも、どこかハニと似た考えをする双子たち。

「本当に喧嘩はしていないよ。スンハとスンリ、カバンを置いたらお父さんとお母さんの所にいらっしゃい。」
双子たちは母が何か失敗でもして、その対処に困っているのだろうかと気になっていた。
まだ父と過ごして日が浅いから、父の考えていることに理解をすることも出来ず、不安になって来た。

「なぁに?お母さん何か失敗をしたの?」
「失敗もしていない・・・・・・・・スンハとスンリに兄弟が出来た。」
数か月前までは母と三人での生活だったが、四人家族になって慣れ始めたらまた家族増える。
逃げていた時期を思うと、この数か月で明るいことが増えて来たことに双子たちも母の妊娠に声を上げて喜んでいた。


 
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本当は好きだった 68

スンジョはハニと初めて一緒に産科を受診した。
パランとは違い、診察に訪れる妊婦の数も少なく割と早く結果を聞くことが出来る。
「おめでとうございます。」
医師からそう伝えられると、スンジョは急に緊張してきた。
前回はハニではなくヘラの妊娠をアメリカ滞在中に産科医から聞かされたが、あの時は感動もしなかった。
ハニは二回目の妊娠。
双子たちが出来た時は、どうしたらいいのか判らず、暫くは父ギドンにも言わず一人で悩んでいた。

「先生・・・・・あの、前回はお腹を・・・・・・。」
「もう年数も経っているし、普通分娩できますよ。ただし・・・・・」
「ただし?」
「双子でなければ。」
二人をよく知っている産科医は、にこやかにハニの妊娠を告げてくれた。
怖がりのハニにとって、スンハ達を生んだ時はこれから先の事が心配で不安だらけだった。

「スンジョ君・・・どうしよう・・・。」
病院を出てスンジョの運転をする車に乗ってもハニはどこか不安そうな顔をしていた。
「生みたくないのか?」
そうじゃないことはスンジョはよく知っているが、妊娠したかもしれないことをハニが隠していたことが気になった。
「前の時の出産が大変だったから怖いのか?」
「それも少しあるけど・・・・・・・・・。」
言いにくそうにしているハニが気になり、路肩に車を停めた。
「話してみろよ。」
「スンジョ君・・・・・・前の・・・・・ヘラとの子供・・・・・生まれなかっよね・・・・・・。」
あんなにハニを苦しめていたヘラを気にし、嫌ってもいいはずの女性(ひと)との間に出来たその子供までハニは気にする。
「初期の流産は、誰のせいでもない。ヘラの場合も染色体異常が原因でハニとは関係ないから気にしなくていい。生れることが出来なくて、それが短い期間でも精一杯生きたのだから、それはその子供の運命だったんだ。」
「でも・・・・・・ヘラに申し訳なくて・・・・・・。」

「お前に10年間も辛い思いをさせても、ハニはヘラを庇うのか?」
いつだってハニはそうだ。
自分の事より、他人の幸せを願う。
そうだったから、スンハ達を妊娠した時にオレに迷惑がかかると思って姿を消したんだ。
「じゃあ、ハニがそんなに気にするのなら、病院に戻って堕ろそうか?」
「それは嫌!」
一呼吸も開けないでハニが返答したことにスンジョはクスッと笑た。
「冗談だよ。オレは医師だ、人の命を助けるのが仕事だ。」
窓を少し開けると、心地よい新緑の香りがする。
ハニと離れて暮らしていた時は、自然の香りどころか季節さえも気にならなかった。

「指輪を決めて、ドレスを決めて・・・・・後は式場だな。ハニの希望を聞くよ。」
「私はどこでも・・・・・スンジョ君がいればそれだけでいいから。」
スンジョはハニがそう言うだろうと思っていた。
信号待ちをしている時に、上着のポケットから折りたたんだ紙を取り出してハニに渡した。
「何?」
何も言わないで、笑みを浮かべているスンジョ。
ハニはその折りたたんである紙を広げると、それはいつもハニが見ていた雑誌の一ページだった。

「そこを事前に調べたよ。ハニはどうせ聞いても、オレがいればいいと言うことが判っていたから。」
「スンジョ君・・・・・・。」
「身内だけの参列ならここでもいいかな・・・・・と、思った・・・・んだろう?」
「うん・・・うん・・・・・ありがとう・・・・・」
「式は挙げていなくてもオレ達はもう夫婦だ。誰に遠慮をすることなく、堂々とハニはしてればいい。ずっとずっとオレはハニが好きだったし、ハニもオレが好きだっただろう?オレ達二人以外は好きになれないことは一緒だ。オレが選んだハニだから、この先何十年も今度はオレが守るから。」
感激して泣いていたはずのハニが、急に泣くのをやめてスンジョの顔を眺めていた。

「それって・・・・・・プロポーズ?」
「の、つもりだったけどな。」
「も・・もう一度・・・もう一度言って。」
「二度と言うか、こんな恥かしい事。」
口でそう言ってもこの先何度もハニにだけ言うよ。

ハニ以外は好きになれないのだから、ずっとハニだけを守って何十年も一緒に過ごして行こう。




 
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本当は好きだった 67

「この病院は、パランでは必要がないと思った医師を送る島流し病院だぞ。」
「それは噂ですよ。」
冷めかけたコーヒーを一口飲んで、スンジョは軽く笑った。
「お前が離婚してここで仕事がやりづらくなったからか?あの病院は設備だってここに及ぶどころか、何もよくないぞ。院長は高齢だし、医師も少なく看護師不足なのに患者をドンドン受け入れる。」
「それだから行くのですよ。オレは気にしませんが、離婚してよくない噂のある医師に患者が信頼するとは思いませんからね。それに、ハニはオレの知らない時に看護師の資格を取ったんですよ。」
「ほぉ・・・・・・」
「生まれ変わったらオレの手伝いをしたいから、現世で看護師になれば来世で一緒に仕事が出来るかもしれないって言う思いで取ったらしいです。」
スンジョの冗談のような話に、ナ医師は笑いが止まらなかった。
「ある意味純粋な想いだな。」

「彼女はいつまでも少女のままなんですよ。それに・・・・・・・・。」
「それに?」
珍しくスンジョが顔を赤くして、ナ医師の視線を避けるようにまたコーヒーを口に運んだ。
「実をいうと、看護師の資格を持っているから自分の祖母が務めている診療所に戻りたいと言った時、オレと同じ病院で働かないかと言ったんですよ・・・・・・ずっと彼女を傍に置きたくて。パランじゃ看護師の募集はしていないし、少し前まで患者として入院していたから気まずいだろうし、他の病院でならオレと一緒に仕事が出来るからと話したんです。」
「数年勤務したら、こっちに戻ってこいよ。優秀なお前と仕事が出来んと、他に移る奴もいるだろうし、そうなるとパランの医師不足になるから。」
「判ってます。その代り彼女も付いて来ますよ。恐ろしいくらいに楽しい彼女ですよ。」

幼稚園からずっとパランで育った自分が、初めて籠の外に出る。
ハニがいれば、籠の外でも生きて行ける。
今度戻って来る時は、ハニと一緒にこの病院で仕事をするだろう。
部屋に置いてあるノートパソコンをカバンに入れて、全ての電源を落としてドアに鍵を掛けた。



パラン大病院を出て今の病院に移りすでに二月が過ぎた。
当直はパラン程入れないが、出来る限りハニと二人が揃う時間を多く取っていた。
双子たちも新しい小学校に慣れ、今まで一人も出来なかった友達も出来、それぞれ別行動もするようになっていた。
子供たちが学校に行っている昼間、二人揃って久しぶりの公休をのんびりと過ごしていた。
ソファーで本を読むスンジョの横に寄り添うようにハニは並んで座りテレビを見ていた。
結婚式場での新郎新婦の映像をハニは羨ましそうに見ていた。

「ハニ・・・・・・」
「何?」
「結婚式・・・・・本当はしたいんだろ?」
こういったこと顔を見て話すのが当たり前だが、スンジョには難しかった。
「私は・・・・」
結婚式をしないと言ったオレにハニが会わせていることは十分わかっている。
数日前に届いたチャドンの手紙に、ハニと結婚式を挙げてほしいと書かれていた。
以前に一緒に歩いた時に、ショーウインドーに飾られていたウエディングドレスを羨ましそうに見ていたことが書かれていた。
「お前・・・・オレに隠し事しているだろう。」
ハニはスンジョの言うことが理解できないのか、それとも本当に隠し事をしているのか何も答えなかった。
「今から指輪を見に行こうか。スンハやスンリもまだ帰ってこないし、買い物もあるだろ?」
本を読みながらハニに話をしているスンジョの顔を何も言わずハニは見ていた。

「もうひとつ・・・最近、体調に変わりはないか?」
「知っていたの?」
「そりゃあ知っているさ。オレは医師でお前の夫だから。スンハ達の時はオレは何も知らなかったが、今度は隠しても無理だぞ。お腹が大きくなる前に、お義父さんとギミばあちゃんとチャドン達と親父とお袋とウンジョ達だけで式を挙げよう。」
スンジョといられるだけで幸せだと、ずっとスンジョにそう言い続けていたが、今まで言わなかったが本心はウエディングドレスを着て結婚式をハニは挙げたかった。
「指輪を見に行く前に病院で検査もしないとな。」
スンジョの優しい言葉と笑顔に、ハニな涙が流れて来た。
ここまで来るまでに通った10年という道のりは、辛くて苦しくて生きていても安らげなかった。

「今度はハニの出産には立ち会えるから、何も心配しなくていい。安心しろよ。」



 
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