大好き!<イタズラなKiss>

韓国版イタズラなKissが大好きです。 切ないお話しか書いていないので、お好みではない方はスルーしてください。

帰るところ

帰るところ 9

気まずい空気に変わったのは一瞬だった。
いつものように、ガレージが開いた音が聞こえるか聞こえないうちに、ハニが立ち上がり窓から外を眺め、そんなハニをグミが微笑んで見ていた。
そんなグミの横で、小馬鹿にしたように鼻で笑っているウンジョ。
毎日が変わらない風景だったが、ポーチに上がってくる足音がいつもと違うことに気が付いたのは三人とも同じだった。

「お客様を連れてきたのかしら・・・」
スンジョが誰かを連れて帰宅したことは今まで一度もなかった。
人を招くことには大歓迎のグミだから、突然の来客にもwelcomeだが、スンジョが連れてきたことがないから不思議だった。
「大学生になったお兄ちゃんが彼女を連れてきたんだ。」
コツンとグミに頭を小突かれた時に、玄関のドアが開いた。
来客ならスリッパを並べなければと、床にハニが置いてすぐに立ち上がると、スンジョが連れてきた人の顔を見て表情が変わった。

「同じ学部のユン・ヘラ・・・」
「初めまして・・・突然の訪問して申し訳ありません。」
華やかなユン・ヘラの訪問に家の中の空気は一瞬で重い空気が流れた。

「どけよ・・」
ハニに向いたその言葉は、いつものスンジョの冷たい言い方より更に冷たく心に氷の槍のように突き刺さった。



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帰るところ 8

大学生活が始まり、活発だったサークルの勧誘活動も静まり、講義で知り合った仲間との輪が少しずつ大きくなっていた。
人と関わるのが面倒だった高校時代とは違い、通過点の一つである大学生活にすぎないけれど、自分に欠けている物を見つけるための切っ掛けがわかる時かもしれない。

「ねぇ、今日はこの後は履修する科目の講義がないからみんなでもう少し話をしない?」
ユン・ヘラ・・・女子で一位の成績だと聞いた。
女子とは思えないと言ったら彼女に悪いが、オレの考えと似ていて話がしやすい。
話しやすい・・・ただそれだけの事。
それだけでも、周囲はオレたちが似合いだという。
勝手に言ってもらって結構。

「悪いな・・・オレはバイトだから。」
「すまん!今日はデートなんだ。」

スンジョが無関心でいる間に、講義の後で話す場所が決まった。
最初から、スンジョの家で集まることが決まっていたようにスムーズな決定で、ユン・ヘラだけが来ることも決まっていた話の流れだった。
なぜなら、仲間としてお互いに挨拶をして話しをしている人たちは、ユン・ヘラと話をしていてもその話に意見を言うこともできず、同意の言葉を発するばかり。

「スンジョ・・・あなたの家に突然お邪魔をしたら、おば様・・・ご家族に迷惑かしら。」
「来客を拒む理由はないし、迷惑ではない。」
ユン・ヘラの言う『ご家族』とは、オ・ハニを言っている。
高校から持ち上がりで来た学生はもちろん、入試で外部から来た学生も、スンジョの家にハニが同居していることは有名だ。
家に人を招くことは母であるファン・グミは大歓迎するが、ハニが苦手としているユン・ヘラが来るのは、きっと歓迎することはないが、同居人であるハニに気兼ねをする必要もない。



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帰るところ 7

「おばさん・・・おかあさん・・・おかあさん・・・おかあさん、ありがとう・・・」
恥ずかしそうに微笑みながらそう言っている声が聞こえた。
幼いころに母親を亡くしたハニは『おかあさん』と呼んだ記憶はあまりない。
ペク家に来てからグミがふざけて『たまには【おかあさん】と言って!』とハニを抱きしめていた姿を、呆れた気持ちで眺めていた。
最初のころは『くだらない』と思っていたけど、最近では不思議とそんなグミの発言や行動を見ていても受け入れることができるようになっていた。

娘を欲しがっていた母に、母親との思い出があまりないハニ。
お互いが必要としているのなら、それもいいのかもしれない。
しかし、そんなことを考えるのなら、自分にとってハニはどんな存在なのかと疑問に思った。
イタズラにしたkissの意味は、今でも自分にはわからない疑問だった。

この先いつまでお前たち親子はペク家で生活をするかわからないけど、ここにいる間はここがお前の帰るところだ。
お袋のことを『おかあさん』と思って、二人で楽しく過ごしてもオレは構わない。
ただ一つだけ心得ておいて欲しいことは、オレの領域には入り込んでくるなということだ。
女にしかわからない体調不良に、焦って動いたオレの気持ちが何なのかわからないが、ハニ・・・・お前のことが少しわかったような気がする。

取り敢えず今お前に言葉をかけるとしたら『体調不良は生理痛でよかった』と言うことだろう。
言えば喧嘩になるから、お前とは喧嘩をする気はないから、夕食の時は何事もなかったように顔を合わせよう。

スンジョの心の中は、不思議と温かくて穏やかな気持ちになっていた。
手にしているアイスクリームは、今日は食べない方がいいと思い、スンジョは自分の部屋に入ると冷蔵庫の中に入れると、上着を脱いで買ってきた本を広げて読み始めた。


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帰るところ 6

いつもと変わらない坂道を多少は急いでいるが、なぜなのか体が思うように動かない
こんなに不安なのは、あの日以来避けているからなのか
イタズラにしたkissの理由をハニは知らないし、自分自身もよくわからないが、ハニは気になる存在ではある

スンジョは門の扉を急いで開けると、玄関に通じる階段を二段おきに駆け上がり、玄関のドアノブに手をかけて深呼吸をして何事もなかったような顔をして開けた。

静かな家の中はいつもと同じで、玄関にきちんと揃えて置かれているハニの靴を見て少し安心したような気持になった。

「あら!お帰り・・・どうしたの?早かったわね。」
大学生らしく変えた髪型が気恥ずかしかったことさえ忘れていた。
「いい感じになっているわ。これで少しは柔らかい感じに見えるわね。」
グミの言葉などスンジョの頭の中に入っていない。
家の中を見回すと、特に変わった所もなく、いつもと同じに見える。

「どうしたの?」
「あいつは?」
「あいつ?」
「ハニだよ。」

ニヤッと笑ったグミの顔を見てスンジョはしかめっ面をすると、手に持っていた物をグミの顔の近くに上げた。
「ウンジョが好きなアイスクリームを買うために立ち寄ったら姿が見えないから、どうしたのかと聞いたら早退したけど上着を忘れていったと預かった。」
「あなたがアイスクリームを?滅多に買わないのにどういう風の吹き回し?」
「ウンジョに買うためだ。」
アイスクリームの袋とハニの上着をグミに突きつけるようにして渡すと、むっとした顔をしながら自分の部屋のある二階への階段を上がりかけると、背後からグミが声をかけた。

「ハニちゃんが心配なんでしょ?でもね・・・今はそっとしてあげて。夕食までにはよくなるから。」
「別に心配なんて・・・」
「いい?絶対に部屋をノックしたりしたら駄目よ。男には今のハニちゃんの辛さはわからないのだから。」
その言葉だけで、ハニの体調不良が何だったのかスンジョにはすぐに分かった。
肩越しに階下のグミの様子を確認して、ハニの部屋の前を通り過ぎる時にドアの向こうからわずかに聞こえた声を確認してクスッと笑った。




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帰るところ 5

いたた・・・
冷えたかなぁ

顔面蒼白のハニは、ブランケットを腰にしっかりと巻いてトイレから出てきた。
廊下にはハニの体調を心配して待っていた。

「大丈夫?」
「さっき薬を飲んだからもう少ししたらよくなると思います。」
ハニの体を支えるようにして部屋まで連れて行き、ベッドに横になったハニの体に布団を掛けた。
「びっくりしたわよ。運転していたらハニちゃんがしゃがみこんでいる姿を見かけて・・・・今朝は元気に出かけたのに・・・・・湯たんぽでおなかを温めるのもいいわよ・・・」
小さな湯たんぽを掛布団の中から差し込むと、ハニはその優しい気遣いがありがたくて涙が出てきた。

「泣かなくても・・・・」
「今まではこんな時に誰にも相談ができなくて・・・嬉しくて・・・・」
布団で顔を隠すハニの頭を、グミの優しい手が触れると温かくて体調もすぐに良くなるような気がした。

「家は帰る場所・・・そこで家族を迎えるのが妻であり母なの。今までは、ハニちゃんはお父様に心配かけたくないから一人では悩んでいたと思うけど、私をお母様だと思って頼ってくれていいのよ。」
「おばさん・・・・」
いつになく静かに話してくれていたグミだったが、すぐに気楽で明るい子供のようないつものグミの表情に変わった。

「いっそのことうちの娘にならない?」
とんでもない言葉に、体調が悪いことを忘れかけた。
「お・・おばさん・・・」
「本気よ。もちろんハニちゃんのお父様に許可を得てからだけど、うちには息子二人しかいないけど、その一人はスンジョで年齢も同じでちょうどよくない?」

な・・なに・・え?
おばさんは何を言っているの?

その心の声がグミに聞こえたのか、意外と真剣な眼差しで顔を近づけた。

「だって・・ハニちゃん、スンジョのことを好きでしょ?結婚してしまえば娘ではないけど、ペク家の嫁として本当の家族の一員になるじゃない。そうすれば、私もハニちゃんと楽しみたいことが堂々とできるわ。」
返す言葉も出ないうちに、グミはフフフと笑いながら部屋から出て行った。

いつの間にか体調が悪くてバイトから帰ってきたことを忘れていた
おばさんは、体調が悪くつらい私の気持ちを和らげるために言ってくれたのだけど、もしかしたらやっぱり本当にあの時呟いた言葉が聞こえていたのかもしれない

薬が効いてきたのか、グミと話をしたことで気持ちが和らいだのか、ウトウトと眠り始めた。



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