「スン、あなたの父上ですよ。」
ハニの表情はジュングが初めて見る幸せで恥じらいのある笑みを浮かべていた。
この二人は誰も間に入ることができない糸で繋がっている。
ジュングは自分からスンが離れると、世子とハニに頭を下げてその場を去ろうとした。
「スン、お前を今日まで可愛がって下さった父さんを見送りなさい。」
スンジョはスンに、初めて父としての言葉をかけた。
ハニが育てた息子なら、たとえ幼くても礼儀はある。
初めて会った実の父の言葉でも、きっと従うはずだ。
「母さん・・」
「母さんも一緒に見送るからね。」
スンは頷くとジュングに深々と頭を下げて言った。
「父さん、ここまで連れてきてくれてありがとうございます。母さんと、父さんの姿が見えなくなるまで、ここで見ています。」
出会いは突然だったから別れがいつか訪れる事がわかっていても、実際に見送られる日が本当に訪れるとは思いもよらなかった。
「嬪とスンを無事にここまで連れてきてくれた礼は必ず近いうちにします。」
スンジョは無表情で少し頭を下げたが、その顔からは、やっと巡り会えた最愛の妻を探していないのではなく、表情には出さなくても必死に探し本当に愛していたことを伝えていた。
「勿体ない。早くお知らせしなければいけなかったのに3年以上かかってしまいました。」
それ以上何か話すことはなく、ジュングは丁寧に挨拶をして、スンとハニの視線を背中に受けながら船着場に向かって歩き出した。
『父さん』と呼んでいるスンに一度も振り返る事なく去って行く育てて貰った父を見送った息子の手をを、スンジョはしっかりと握りしめた。

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ハニの表情はジュングが初めて見る幸せで恥じらいのある笑みを浮かべていた。
この二人は誰も間に入ることができない糸で繋がっている。
ジュングは自分からスンが離れると、世子とハニに頭を下げてその場を去ろうとした。
「スン、お前を今日まで可愛がって下さった父さんを見送りなさい。」
スンジョはスンに、初めて父としての言葉をかけた。
ハニが育てた息子なら、たとえ幼くても礼儀はある。
初めて会った実の父の言葉でも、きっと従うはずだ。
「母さん・・」
「母さんも一緒に見送るからね。」
スンは頷くとジュングに深々と頭を下げて言った。
「父さん、ここまで連れてきてくれてありがとうございます。母さんと、父さんの姿が見えなくなるまで、ここで見ています。」
出会いは突然だったから別れがいつか訪れる事がわかっていても、実際に見送られる日が本当に訪れるとは思いもよらなかった。
「嬪とスンを無事にここまで連れてきてくれた礼は必ず近いうちにします。」
スンジョは無表情で少し頭を下げたが、その顔からは、やっと巡り会えた最愛の妻を探していないのではなく、表情には出さなくても必死に探し本当に愛していたことを伝えていた。
「勿体ない。早くお知らせしなければいけなかったのに3年以上かかってしまいました。」
それ以上何か話すことはなく、ジュングは丁寧に挨拶をして、スンとハニの視線を背中に受けながら船着場に向かって歩き出した。
『父さん』と呼んでいるスンに一度も振り返る事なく去って行く育てて貰った父を見送った息子の手をを、スンジョはしっかりと握りしめた。

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