大好き!<イタズラなKiss>

韓国版イタズラなKissが大好きです。 切ないお話しか書いていないので、お好みではない方はスルーしてください。

別離

邂逅 65

「スン、あなたの父上ですよ。」
ハニの表情はジュングが初めて見る幸せで恥じらいのある笑みを浮かべていた。
この二人は誰も間に入ることができない糸で繋がっている。

ジュングは自分からスンが離れると、世子とハニに頭を下げてその場を去ろうとした。

「スン、お前を今日まで可愛がって下さった父さんを見送りなさい。」
スンジョはスンに、初めて父としての言葉をかけた。
ハニが育てた息子なら、たとえ幼くても礼儀はある。
初めて会った実の父の言葉でも、きっと従うはずだ。

「母さん・・」
「母さんも一緒に見送るからね。」
スンは頷くとジュングに深々と頭を下げて言った。
「父さん、ここまで連れてきてくれてありがとうございます。母さんと、父さんの姿が見えなくなるまで、ここで見ています。」

出会いは突然だったから別れがいつか訪れる事がわかっていても、実際に見送られる日が本当に訪れるとは思いもよらなかった。

「嬪とスンを無事にここまで連れてきてくれた礼は必ず近いうちにします。」
スンジョは無表情で少し頭を下げたが、その顔からは、やっと巡り会えた最愛の妻を探していないのではなく、表情には出さなくても必死に探し本当に愛していたことを伝えていた。

「勿体ない。早くお知らせしなければいけなかったのに3年以上かかってしまいました。」
それ以上何か話すことはなく、ジュングは丁寧に挨拶をして、スンとハニの視線を背中に受けながら船着場に向かって歩き出した。

『父さん』と呼んでいるスンに一度も振り返る事なく去って行く育てて貰った父を見送った息子の手をを、スンジョはしっかりと握りしめた。


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邂逅 64

「父さん・・・・」
泣いているスンの顔を見るのは辛かった。
辛くてもスンは卑しい身分の自分の子供ではなく、高貴な身分のいずれは王となる子供だ。
しゃがんで抱きしめて頬ずりをしたいが、本当の身分を知ってしまった今は島で暮らしていたときのようには出来ない。
「ジュング・・・いつもそうしてくれたように抱きしめてあげて。スンが素直な子供に育ったのはあなたが可愛がってくれたから。」
そう言われても恐れ多くてジュングにはスンを抱きしめることは出来なかった。

「スン様、私はあなたの父親では・・・」
スンは首を横に振ってしがみついていた手に更に力を込めた。
「わかっているよ。わかっている・・・最後だから・・父さんとの最後の思い出だから・・・・」
三歳の幼子に取って、ずっとそばにいて父親と思って遊んでくれた人が他人ということを受け入れることは難しい。
「スン様、この先沢山の方々と出会い、そして別れがあります。去っていく人に未練を持たれては・・・」

「抱きしめてあげてください・・・・」
馬の蹄の音と聞き慣れない声に、ジュングは振り返りはには驚き見開いた瞳から涙が流れた。

誰だろう・・・と一瞬思ったがその人の身なりと顔で認識できた。
スンとどこか似た面差しに、その人はスンの父親で世子のスンジョだった。
「ハ二、やっと会えた・・・・迎えに来たよ。」

半日前は宮殿入口まで行ったが取り次いでもらうことも出来なくて絶望的だったが、スンがジュングを引き止めたくて屋敷から出たことで会うことが出来た。
ハニはスンと一緒にもう少し先まで見送るために歩いていくつもりだった。
もしそうしていたら、スンジョとは会えなかったかもしれない。
ジュングが島に帰るために乗る舟は、宮殿に向かう道とは反対の方に行った所にある船着き場から出る。
世子は馬から降りると初めて対面する我が子に微笑んだ。
スンはその笑顔に最初は緊張していたが、初めて見る実の父親に笑顔を返した。

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邂逅 63

礼の品を手にすると、ゴワゴワとした木綿ではなく滑らかな上等な生地だった。
絹の服どころか上等な木綿で服を作ることはできなかったが、ハニは一度も不満を口にすることはなかった。
「明日、家内の静養のために別邸に向かうことになっている。もし頼めるのなら一緒に来てくれないだろうか。スンが急にジュングさんがいなくなると寂しがる。」
ジュングもスンと会えなくなるのは辛かった。
だが、いつまでも一緒にいられるわけでもない。

「私のお役目は世子嬪様とスン様を宮殿まで無事にお送りすること。残念ながら宮殿には行くことが出来ませんでしたが、ご実家のご両親と再開を果たせたのですから、私はこのまま家に帰ろうと思います。」
「それなら二人に挨拶を・・・・」
「いえ、私は行商を生業にしています。都の品を楽しみに待っている客がいるので、お二人に挨拶をしないで変える無礼を許してください。」
「わかりました。いずれ皇室からも何らかの連絡があると思います。その時は私が直々に伺います。」
そんなことは望んでいない。
身分が違っても、ジュングはハニに想っていたし、スンを実の息子と思ってずっと見てきた。
叶わない思いなら、もうこれっきり会わないでいたい。
ジュングはギドンに深々と頭を下げて部屋を出た。

広い屋敷だからなのだろう、使用人の声さえも遠くに聞こえ、同じ空間に密かに想っていたハニとスンがいるとは思えないくらいにひっそりとしていた。
藁で編んだ草履をしっかりと結び、荷物を担ぐと後ろを振り向かずに玄関を出て門に向かって歩き出した。

「父さん!父さん、待って!」
屋敷を出ていくジュングに気がついたのか、スンが追いかけてくる動きが伝わってきた。
待って、待ってと泣きながら走ってくる。
自分を追いかけるのもこれが最後だ。
行商に出る時と同じように走ってくるが、泣きながら走ることはなかった。
スンの後ろをハニも付いてきている。
島の家を出る時に、ジュングの母にきちんとした挨拶をした。
幼いスンも、宮殿に行く前に丁寧な挨拶をした。
その気持ちに応えなければお互いに心残りが出来てしまうだろう。
ジュングは歩みを止めて振り返ると、何度も転んだのか泥がついた服を着たスンがジュングの足にしがみついてきた。


 
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邂逅 62

「話は聞きました。娘が行方不明になっても表立って探すこともできず、皇室から時々報告はあって創作の状況は分かっていても、行方不明だった時に懐妊中でも娘は県主しか生んでおらず、皇位継承者である皇子のために側室を迎えることになった時に、それはもう生存を諦めよと思っていた・・・」
身分の上下をわきまえている宰相が、世子嬪を救った礼ではなく、娘を救ってくれた礼を親の気持ちを言葉にしていた。

「ヒュルさん・・」
ギドンは使用人を呼ぶと、盆をジュングの前に置いた。
「ジュングさんは行商人をされているとお聞きしました。」
「はい。」
「礼の品にこんな物は失礼かと思いますが、行商をされているあなたの目から見ると価値がわかるかと思います。」

ジュングは、一目見ただけで木綿のその生地の価値がわかった。
漢陽でしか見ることはなく、ましてや自分たちが使うことのない上質な木綿の生地だった。

「絹よりも木綿の方が服を仕立てるにも都合の良いだろう。それを自分の住む地に持ち帰っても良い値で売れる。」
ゴワゴワとした木綿の生地で作った服を母は着ていた。
破れたら何度も直していた。
もうあれ以上は直しようがないくらいに生地は古びれていた。
だが・・・・自分にもらう価値があるのだろうか。

「旦那様、これは頂けません。頂くことはできません。」
「そうだな・・・・世子嬪様とスン様を無事にここまで連れてきてくださったのだから・・・木綿の生地と僅かばかりだが銀子も用意させていただいた。」
ギドンは小さな包をジュングの前に置いて、ゆっくりと開いた。
「こんなに・・・・頂けないです。自分のせいで世子嬪様は苦労をなさって・・・貧しい家で満足な食事も摂れず・・・スン様も・・・」
ギドンは感謝の気持の表した笑みをジュングに向けた。

「スン様が申しておられた。『父さんは、海で泳ぐことも木に登ることも、狩りをすることも教えてくれた。いつも怪我をしないように注意をしないといけないと教えてくれた。僕が大人になったら母さんを守れる男になるように』と・・・宮殿で育っていたら知ることがないことを教えてくださったことは世子邸下にお伝えします。自然の中で覚えたことはいつかはスン様にも役立つことでしょう。」
いつも一緒にいて、遊んでほしいとせがんでいたスンが可愛くて離れがたいが、いるべき場所に帰っていくのを見るのは自分のこれからの生活の励みになる。

「受け取ってくれないか?」
この人は貧しい人だからと木綿の生地を用意したのではないし、銀子も受け取る側が困らない程度の数を用意してくれた。
身分の低い自分が絹を貰っても使うことはもちろん、売ることもできないから使いやすい木綿の生地を用意してくれた。

「ありがとうございます。」
ジュングはこれ以上拒んではいけないと思い手をついて、額を床に付けて礼の言葉を述べた。



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邂逅 60

「宮殿に迎えるのなら急いで!」

王妃としてではなく、ひとりの女性ファン・グミの表情だった。
そのグミと対照的な表情の恵景妃は、腕の中で眠っているキョンをしっかりと抱きしめていた。
正室になる話が日増しに実現しそうになって来ていた時期に、宰相の娘というだけで何の努力もなく世子に嫁いだ自分より教養も美貌も落ちるハニが公に戻ってくるのを受け入れられなかった。
好きではないハニの娘の純夏県主を自分に近づけたのも、嫁ぎ先を探したのも、正室となりキョンを皇位継承者としての地位を確実にするためでもあった。
そうでもしなければキョンは皇位継承者としてだけではなく王族の一員にもならないのだから。

恵景妃は焦る気持ちを抑え、気の利く正室の代わりをしている側室として、できる限り心の中を見せないように皇族らしい笑顔を見せた。
「純夏県主のあの言葉も、どう伝えたらいいのか戸惑っていたのだと思います。実の母が目の前に姿を見せれば、きっと今までの寂しさも改善されるのではないでしょうか。」
内心穏やかではない心を隠して恵景妃は言葉にしたが世子は彼女の考えがわかっていた。

「恵景妃、世子嬪と一緒にいた子供はこの三年間宮殿での生活から離れていたから、慣れるまで相談に乗ってほしい。キョンの教育尚宮はもう少し待って欲しい。」
その言葉が恵景妃の計画を変えなければいけない事を言っているように聞こえた。
「世・・・・」
王妃の部屋から出ようとしているスンジョに声を掛けたが、チラッと振り向いただけで話を聞くつもりはなかった。

「世子嬪と子供をいるべき場所に戻す事は当たり前の事で、急がなければ危険な事に遭遇して、三年間見つける事が出来なかった事の後悔を大きくしたくない。キョンの立場は守るから安心して欲しい。」冷たい言葉だが、スンジョの精一杯の気持ちだ。
恵景妃は自分との距離と同じように離れて行く世子を見送る事だけしか出来なかった。




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