スンジョが部屋に戻ってきたのは、わずか数分経過したときだった。
薬で解熱しただけのハニは、時々眠っては目を覚ましていた。
しばらく自分を見ていたとは気が付かず、視線を感じて目を開けた。
「熱が完全に下がれば声が出るはずだ。ハニの部屋を勝手に探せないからオレの部屋に行って持ってきた。」
ペンとノートをハニの枕元に置くと、不思議そうに見ているハニの方を見た。
「どうして、オレがここにいるのか・・・って聞きたいのか?」
コクンとうなずくと、しばらくの間があって迷うように話した。
「ハニの部屋のドアが靴が挟まって開いていたんだ。すき間からのぞいたら、ハニが座り込んで壁にもたれていたから、一応声をかけてへやに入ったよ。」
そうなんだ・・・でもどうして・・・
思ったことがスンジョに伝わったのか、枕もとのペンとノートで話したいことを書いてと顎で指した。
『スンジョ君、この階に住んでいるの?一度も会ったことがないよ』
「会わないようにしていた。」
『ここに来たら、ヘラが嫌な思いをするよ』
スンジョが今の自分のことを話していないのだから、スンジョがヘラと結婚してこのマンションに住んでいると思っている。
隣に住む変人のままならそれでもいいが、今自分からこのマンションに住んでいることを認めて、ハニと会わないようにしていることを伝えたのなら、正直に今の自分のことを伝えなければいけない。
それに、ヘラだけじゃなくギョンス先輩もハニが誤解したままでは、ここにハニが住んでいるのならいつか再会したときに、また大騒ぎをすることになる。
「オレはフリーだよ。ヘラはギョンス先輩と結婚した。」
「・・・・・・」
久しぶりに見たハニの驚いた顔は、スンジョは愛おしくて抱きしめたくなった。
「それならどうしてオレがハニの部屋の前を通ったのか・・・・そう聞きたいのだろ?」
小さくハニがうなずくと、おそらく初めて見たスンジョのはにかんだ笑顔に、ハニは胸がキュンッとして懐かしい思いが沸き上がってきた。
「ハニがベランダ越しに話していた相手だよ。」
またハニの驚いた顔が見たくて、少しからかい気味にそう答えた。
ハニがノートに書いた言葉は、高校時代に見たいたずら書きをした教科書を思い出した。
『変人?』
「紙にそう書かれると怒りたくても怒れないな・・・・そうだよ、おふくろがハニに話した変人がオレだよ。ハニをストーカーのごとく追いかけていた変装にもなっていない妙な女性を知らないか?」
変装にもなっていない妙な女性・・・・
その言葉を聞いて思い出すのは、目立つサングラスに派手なスカーフや広いつばの帽子で『まったりクリニック』を頻繁に訪れていた女性。
あ~ぁ、と出ない声を出しながら歯にはうなずくとノートに書いた。
『全然気が付かなかった。赤い外車に乗ってどこも悪くないのに、私が勤めていたクリニックによく来ていた女性?』
「そうだよ。」
病院以外でハニと話していると、懐かしさよりも愛おしさが大きかった。
ハニが自分にとって、欠けている物を埋めてくれる大切な存在だと、スンジョは今更確信することができた。

人気ブログランキング
薬で解熱しただけのハニは、時々眠っては目を覚ましていた。
しばらく自分を見ていたとは気が付かず、視線を感じて目を開けた。
「熱が完全に下がれば声が出るはずだ。ハニの部屋を勝手に探せないからオレの部屋に行って持ってきた。」
ペンとノートをハニの枕元に置くと、不思議そうに見ているハニの方を見た。
「どうして、オレがここにいるのか・・・って聞きたいのか?」
コクンとうなずくと、しばらくの間があって迷うように話した。
「ハニの部屋のドアが靴が挟まって開いていたんだ。すき間からのぞいたら、ハニが座り込んで壁にもたれていたから、一応声をかけてへやに入ったよ。」
そうなんだ・・・でもどうして・・・
思ったことがスンジョに伝わったのか、枕もとのペンとノートで話したいことを書いてと顎で指した。
『スンジョ君、この階に住んでいるの?一度も会ったことがないよ』
「会わないようにしていた。」
『ここに来たら、ヘラが嫌な思いをするよ』
スンジョが今の自分のことを話していないのだから、スンジョがヘラと結婚してこのマンションに住んでいると思っている。
隣に住む変人のままならそれでもいいが、今自分からこのマンションに住んでいることを認めて、ハニと会わないようにしていることを伝えたのなら、正直に今の自分のことを伝えなければいけない。
それに、ヘラだけじゃなくギョンス先輩もハニが誤解したままでは、ここにハニが住んでいるのならいつか再会したときに、また大騒ぎをすることになる。
「オレはフリーだよ。ヘラはギョンス先輩と結婚した。」
「・・・・・・」
久しぶりに見たハニの驚いた顔は、スンジョは愛おしくて抱きしめたくなった。
「それならどうしてオレがハニの部屋の前を通ったのか・・・・そう聞きたいのだろ?」
小さくハニがうなずくと、おそらく初めて見たスンジョのはにかんだ笑顔に、ハニは胸がキュンッとして懐かしい思いが沸き上がってきた。
「ハニがベランダ越しに話していた相手だよ。」
またハニの驚いた顔が見たくて、少しからかい気味にそう答えた。
ハニがノートに書いた言葉は、高校時代に見たいたずら書きをした教科書を思い出した。
『変人?』
「紙にそう書かれると怒りたくても怒れないな・・・・そうだよ、おふくろがハニに話した変人がオレだよ。ハニをストーカーのごとく追いかけていた変装にもなっていない妙な女性を知らないか?」
変装にもなっていない妙な女性・・・・
その言葉を聞いて思い出すのは、目立つサングラスに派手なスカーフや広いつばの帽子で『まったりクリニック』を頻繁に訪れていた女性。
あ~ぁ、と出ない声を出しながら歯にはうなずくとノートに書いた。
『全然気が付かなかった。赤い外車に乗ってどこも悪くないのに、私が勤めていたクリニックによく来ていた女性?』
「そうだよ。」
病院以外でハニと話していると、懐かしさよりも愛おしさが大きかった。
ハニが自分にとって、欠けている物を埋めてくれる大切な存在だと、スンジョは今更確信することができた。

人気ブログランキング