目の前にいるハニは、私の妻となり一人娘のスンハの母になっても、初めて会った時と変わらず少女のような笑顔を向けてくれている。
「スンハ、兄を困らせてはいけないですよ。」
「お父様、困らせていません。私は大きくなったらお兄様の奥様になると言っただけです。」
「スンハ、血の繋がりがなくても兄とは結婚は出来ないと言ったでしょ?」
スンハもスンリが血の繋がりのない兄だとは知っているが、幼い子供には父と似ている兄を尊敬している事の気持ちの表れなのだろう。
血の繋がりはなくても、スンリはワン家の当主の血を受けている事を考えれば、商人の息子として育てるより、両班の家に養子に出した方が良いのかもしれない。
ワン家からその申し出はなかった分けではないが、スンリは捨てられていた自分を拾ってくれたハニから離れたくないと言ってペク家の後継者としての道を進む事になった。
「スンリも時期に15歳になる。商人として生きるよりも、武官か文官として生きて行く道を選んでもいいですよ。」
フッと笑った顔は、スンジョと似ているようにも見えるが、やはりワン家の当主のギョンスとも似ているように思う事があった。
「お父さん、私はペク家の子供としての道を選びました。お母さんの笑顔を見ていると、もし人生の壁があったのなら乗り越えられるような気がします。お母さんの笑顔は、私の元気の源です。」
口数が少なく物事を冷静に判断する能力は、商人として生きるよりも科挙の試験を受けて両班として高い地位を目指した方がいいと誰もが思っていた。
一度決めた事は変えないで、自分を信じて真っすぐに進む姿は、ハニを見て育ったからだろう。
「旦那様・・・この間スンリがこんな事を言ったの。」
淹れたお茶をスンジョの前に出すと、向かい側に座って真剣な瞳でスンジョを見た。
重要な話じゃなくても、スンジョはハニが話をしやすいように、その真剣に見つめるハニの瞳を見つめた。
「自分は自分に射した光を見失わないようにしたいです。お父さんが光を見つけたように・・・って。旦那様の光はどんな光ですか?」
特別に光の話をしたわけではないが、一度だけスンリに言った事があった。
幼い頃よりヘラ様のご機嫌を損なわないようにと、心を閉ざしていたから自分が何を守って生きて行くのか分からなかった。
先王の下で漢方薬を処方していた時は、明るい未来が見えたように感じたが、光が射すようには見えなかった。
ある日突然、待っていた光が射したのは、ハニが目の前に現れた時だった。
先王が『パルボクの風を感じた』と言った時に、スンジョはずっと真っ暗だった自分の心にハニが表れてくれた事で『光が射した』ように感じた。
もう射した光を遮る事が無いように、この先何十年もハニの笑顔を絶やさないように行きたいと思っている・・・・と話した事があった。
今の自分の光は、ハニだけじゃなくスンハとスンリも加わった家族と言う光が眩しいくらいに差し込んでいる。

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「スンハ、兄を困らせてはいけないですよ。」
「お父様、困らせていません。私は大きくなったらお兄様の奥様になると言っただけです。」
「スンハ、血の繋がりがなくても兄とは結婚は出来ないと言ったでしょ?」
スンハもスンリが血の繋がりのない兄だとは知っているが、幼い子供には父と似ている兄を尊敬している事の気持ちの表れなのだろう。
血の繋がりはなくても、スンリはワン家の当主の血を受けている事を考えれば、商人の息子として育てるより、両班の家に養子に出した方が良いのかもしれない。
ワン家からその申し出はなかった分けではないが、スンリは捨てられていた自分を拾ってくれたハニから離れたくないと言ってペク家の後継者としての道を進む事になった。
「スンリも時期に15歳になる。商人として生きるよりも、武官か文官として生きて行く道を選んでもいいですよ。」
フッと笑った顔は、スンジョと似ているようにも見えるが、やはりワン家の当主のギョンスとも似ているように思う事があった。
「お父さん、私はペク家の子供としての道を選びました。お母さんの笑顔を見ていると、もし人生の壁があったのなら乗り越えられるような気がします。お母さんの笑顔は、私の元気の源です。」
口数が少なく物事を冷静に判断する能力は、商人として生きるよりも科挙の試験を受けて両班として高い地位を目指した方がいいと誰もが思っていた。
一度決めた事は変えないで、自分を信じて真っすぐに進む姿は、ハニを見て育ったからだろう。
「旦那様・・・この間スンリがこんな事を言ったの。」
淹れたお茶をスンジョの前に出すと、向かい側に座って真剣な瞳でスンジョを見た。
重要な話じゃなくても、スンジョはハニが話をしやすいように、その真剣に見つめるハニの瞳を見つめた。
「自分は自分に射した光を見失わないようにしたいです。お父さんが光を見つけたように・・・って。旦那様の光はどんな光ですか?」
特別に光の話をしたわけではないが、一度だけスンリに言った事があった。
幼い頃よりヘラ様のご機嫌を損なわないようにと、心を閉ざしていたから自分が何を守って生きて行くのか分からなかった。
先王の下で漢方薬を処方していた時は、明るい未来が見えたように感じたが、光が射すようには見えなかった。
ある日突然、待っていた光が射したのは、ハニが目の前に現れた時だった。
先王が『パルボクの風を感じた』と言った時に、スンジョはずっと真っ暗だった自分の心にハニが表れてくれた事で『光が射した』ように感じた。
もう射した光を遮る事が無いように、この先何十年もハニの笑顔を絶やさないように行きたいと思っている・・・・と話した事があった。
今の自分の光は、ハニだけじゃなくスンハとスンリも加わった家族と言う光が眩しいくらいに差し込んでいる。

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