大好き!<イタズラなKiss>

韓国版イタズラなKissが大好きです。 切ないお話しか書いていないので、お好みではない方はスルーしてください。

芽吹き

あれから20年が過ぎて 92

きょうだいの誕生をスンハは少し離れた所から見ていた。
苦しんでいる母を見るのは、正直見たくはなかった。
まだ幼い頃に、何か辛い事を思い出して泣いているのを何度も見ていた。
でも、母の苦しんでいる顔は幸せに見えるのは、新しい命の誕生を家族と迎える事が出来るからだ。

「ハニ、もう少しだ・・」
小さく『うんうん』とハニが言うと、スンジョはスンハの方に顔を向けた。
「う・・生まれるの?」
「こっちに来るか?」
ドキドキとしていたが、スンハはその時を父や母が見せてくれるのは、自分が将来産婦人科の医師になりたいと言ったからだと分かっていた。

もう少し・・・もう少し・・・・ママがんばって・・・
立ち会っている父や医師看護師の声と混じって、心の中でスンハは何度も囁いていた。

何となく壁に掛かっている時計に目をやった時、力強い赤ちゃんの声が聞こえた。
「スンハ・・・生まれたよ・・・」
そう言った疲れているはずのハニの顔は、キラキラと輝き幸せに満ちていた。
普通の結婚をして普通に子供を産んで母になる事が出来、大好きなスンジョと可愛い娘のスンハがいるから今までの人生の中で一番幸せなのかもしれない。

真新しいタオルに包まれた今産まれたばかりの兄妹が目の前に連れてこられた。
「スンハ・・・弟だよ。抱いてみるか?」
「いいの?」
「いいよ、でも・・・今日のスンハは『いいよ?』って何度言った?」
「そんなのいいじゃない・・・パパが意地悪な事を言ってもいいのは、何でも許してくれるママだけだよ。」
ニヤニヤと笑っている父から産まれたばかりの弟を受け取った。

「かわいい・・・・」
軽くて柔らかで小さな弟が、今自分の両腕の中で眠っている。
目が潤んでくるとズッとスンハは鼻をすすった。
「小さくて落としそうだから・・・」
「泣いているのか?」
「だって・・・かわいいんだもん。」
そう言ってスンジョの顔を見上げると、スンハはニコッと笑った。

「パパも泣いている・・・」
「泣いていないよ。」
「嘘だ・・本当にパパは素直じゃないんだから。正直に泣いていると言えばいいのに。」
「スンハが産まれた時にいてあげられなくてごめん・・ママはこんな風に我が子が誕生した時を迎えたんだと思っただけだよ。」
息子の誕生で、スンハが産まれた時の起きたハニの辛い出来事を思うと、胸が詰まって涙が出ていたのに気が付いていたが、泣いている自分がハニによって本当に人として必要な事をたくさん知る事が出来てよかったと思っていた。





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あれから20年が過ぎて 90

「ママが言っていたよ。手術って聞いた時、おじいちゃんはソウルだしパパもいないし、大丈夫だよって言ってくれる人が傍にいて欲しかったって・・・・・」
ホッとしたと息をスンジョとユアが吐いたのが、聞こえて来そうだったが、スンハはハニの事が心配でそれどころではなかった。

「ママは辛い事を乗り越える事が出来る人だ。今が一番苦しいのかもしれないが、ママは絶対にスンハの弟か妹を産むと決めていたから、ママの中ではこの痛みを乗り越えたら、幸せが来ると思っているよ。」
「冷たいな・・・パパは。優秀な医師なら少しでも痛みが和らぐようにしてあげようとか思わないの?いつも笑っているママがこんなに苦しそうにしているのに、平気な顔でいられるんだ。」
こんな言い方をする娘をスンジョは、自分の母親でスンハの祖母のグミと似ていると思った。
「平気なんかじゃないよ。?子供を産む時の辛さは男には耐えられないと言われているし、パパが変わってあげたくても代われるものじゃ無い。」
車の後部座席にハニを横にすると、優しく声をハニに掛けた。

「ハニはオレが大丈夫と言ったら信じるよな?」
小さくハニが頷くと、スンジョは頬にキスをした。
両親のその様子を見て、スンハは優しくするだけが本当の優しさではないのだと思った。
どんなに辛くても確かにハニは娘にも辛いと言った事はないが、5年の間決して楽な生活じゃなかったが乗り越える事が出来たのは、スンハが自分が愛した男性の娘だからとよく話していたのを思い出した。

「パパ・・・ごめんなさい。子供なのに言い過ぎました。」
素直に謝る娘は、自分が大好きなハニと似ていて好きだった。
何も言わないが娘に笑いかけると、助手席のドアを開けた。
「スンハも医者になりたいのだろ?産婦人科の医師になりたいのなら、自分の弟か妹が生まれる時の母親がどんなふうにしているのか見るのもいいよ。立ち合いは出来ないかもしれないが、近くでその様子を耳にするのもいい。」
コクンと頷くと、スンハは急いでいつもはハニが座っている助手席に腰かけた。」
「ハニ・・・頑張るんだ。病院にはユアさんが連絡を入れてくれているからすぐに対応してくれるはずだ。スンハの時は傍に付いていてあげられなかったけど、今度はずっと傍にいるから。」
道路事情は都会とは違って衝撃はあるが、スンジョの運転はそれさえも感じさせないほど、とてもしなやかに走ってくれた。

痛みがない時のハニは、バックミラーに写るスンジョを見て、やっとこの日が来てくれたのはスンジョが体調をいつも気遣ってくれたからだ。
これから何があってもきっとスンジョといれば幸せでいられるのだと確信が出来た。



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あれから20年が過ぎて 89

ガタガタとカフェのドアの鍵を開ける音が、静かな店内に響いたと思うと、バタバタと急いで走って来る足音がし、靴を急いで脱いでスリッパに履き替えるが、急ぎ過ぎてスリッパに足が入らない。
もどかしいのか、吐けないスリッパを廊下の隅に押しやると、誰かを探して部屋のドアを開けて中の様子を窺い、一番奥の部屋の前でドアに耳を当てたかと思うと勢いよくドアを開けた。

「ハニ!大丈夫?」
横になってベッドのシーツを握りしめているハニに、その入ってきた女性は駆け寄った。
「ユア・・・どうして・・・」
「スンハがね、ママの用事を済ませてパパの所に行くけど、なんだかママの様子が朝から変だからって電話をかけて来たの。陣痛が始まったの?」
「みたい・・・スンハの時は手術だったから・・・・」
ユアは部屋の隅にまとめてある荷物を持つと、ハニの顔を覗き込んだ。

「多分もうすぐスンジョさんが来るから、この荷物を玄関に運ぶね。」
「でも・・・まだ予定日じゃ・・・・」
フゥーッとユアは息を吐くと、少し呆れた顔をして苦笑いをした。
「まったくハニは昔っからそうなんだから・・・予定は予定で確定じゃないの。病院に電話をして来るからすぐに行こうね。」
ユアが電話をかけているのを聞きながら、ハニはベッドから起き上がってカーディガンを羽織ったが、その場にしゃがみこんだ。

「ハニ?」
「だめ・・・・」
「だめって・・家で産まれちゃったりしても、私は何もできないよ。」
「う・・・産まれそうなの・・」
「我慢して!」
我慢をしてと言っても我慢が出来るものではない事を、子供を産んだ事のあるユアにも分かるが、とにかくハニを病院に連れて行こうとしていた。
また玄関のドアが開いて、二人が何か話しながら入ってくる様子が伝わると、ユアはホッとした顔をして部屋のドアの方を見た。

「スンジョさん!」
「ユアさん、スンハからの電話で来てくれたのですね。」
スンジョは上着を脱いでネクタイを外すと、シャツの袖を捲り上げながらしゃがんでいるハニの方を心配そうにのぞき込んだ。
「すぐに病院に行くぞ。」
ハニもスンジョも今日のこの日が来るまで、本当にこの子だけは無事に生まれて欲しいと願っていた。
スンハから長い間子供に恵まれず、やっと妊娠が分かったあの日はトイレでハニが嬉しくて泣いていたのを一日も忘れる事はなかった。
生活のために始めたカフェを閉める事無く、それでもハニに負担がかからないようにするために、スンハがアイデアを出してユアが手伝って続けて来る事が出来た。

地元の常連客がほとんどでも、田舎だから出来たとは思えない。
ハニのその素直で明るい性格をその町の人達から慕われていた。
セルフサービスのカフェで、軽食はユアが作りコーヒーの淹れ方はハニと従姉妹だから似ているのか、全く同じようには出来ていないが、ハニを安静にさせるためにとスンハも学校の勉強の合間に手伝っていた。

「もうだめ・・・」
自分を支えているスンジョの腕からするりと抜けると、床にしゃがみこみとても動けそうにもなかった。
「パパ・・ママがすごく苦しそう。」
「スンハが家を出る時は普通にしていたのだろ?」
「うん・・朝からなんだか変とは言っていたけど・・・・」
「まだ産まれない。抱いて行くから、しっかりつかまっていろよ。」
平然としているスンジョの表情に、スンハは苛立ちユアは娘と父の似ている二人の少し後ろから羽仁の荷物を持って歩いていた。
スンジョの方に顔をうずめて痛みに耐えているハニを見てもスンジョは何も話さない。
まだ子供でもスンハは普通の子供とは違う。
父親にもしっかりと意見の言える子供だった。

「パパはママが私を産む時のことを知らないから、そう冷静でいる事が出来るんだよね。」
その言葉にスンジョとユアはギョッとした。
あの時の事はスンハニは絶対に話さない。
それは、ハニとスンジョだけじゃなくこの土地に住む人たちが言葉にしなくても決めていた事だった。」



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あれから20年が過ぎて 88

トイレに入ったきりハニは戻って来なかった。
心配してハニが行った方を見ているスンハと、少し顔がほころんでいるような表情のスンジョは、やはり親子なのだと思えるくらいに顔が似ていた。
「便秘の時みたいに長いね・・・パパは心配じゃないの?」
「便秘の時みたいに『来ないでよ』って叫んでいないから、もう少し経ったら見に行ってくるよ。」
「どっちだと思う?妊娠したのかしていないのか。ママはもう諦めたって言っていたけど、本当は諦めていないのだと思う。」
スンハは中学2年生だが、同年齢の女の子なら恥ずかしくて言えない事も平気な顔をして言う。
何事にも動じないスンジョでも、まだ子供のスンハに時々慌ててしまう時もあった。

「スンハ、明日は家の鍵を持って学校に行きなさい。パパはママと総合病院に行ってくるから。」
「分かった・・・じゃあ、お休みなさい。」
それだけ言えばスンハニもハニがどうしてなかなかトイレから出て来ないのか、スンジョが何のために総合病院に行くのかにも気が付いた。
総合病院には最近は行く事が無くなったが、明日学校から帰って来たらきっとハニの嬉しそうな顔が見られるのだと、スンハはそう思いながら自分の部屋に戻って行った。

毎回今度は絶対に産みたいと言っていたハニの願いが叶う事がなかった時の事を思うと、今回が年齢的に最後になるのだからどんな事をしてもハニの夢を叶えてあげたいと思いながら、トイレから出て来ないハニを迎えに行く事にした。

「ハニ・・・起きているか?」
トイレの中で壁に手を付いているのか、どんどんと音をさせながら伝って歩いてくる音が廊下に聞こえた。
カチャリと鍵が開いた音が聞こえた。
両手を覆って出て来たハニの方は震えていた。
そのままスンジョの胸に倒れるように入ると、その細い体を包むように抱きしめた。

「よかったな・・明日は臨時休診にして一緒に総合病院に行こう。今度は絶対に大丈夫だから。」
それはスンジョ自身にも言った言葉だった。
産まれるまで絶対と言い切れない。
そういう事で、ハニが今までの悲しみから救われるような気がしていた。
間違っても今回が最後の妊娠だとは言えない。
ひとりっ子で育ったから、スンハの兄妹をたくさん産んであげたいといつも言っていたハニ。
年の離れた姉弟になるが、スンハなら年が離れた姉弟でもきっと仲良くしてくれるはずだ。
ハニの優しい心を受け継いだ娘は、スンジョにとってもとても頼りになる娘だから。



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あれから20年が過ぎて 87

「それを悩んでいたんだ・・・」
スンジョはハニにスンハが悩んでいた事を話した。
「頭のいい娘だからソウルの高校に行かせようとは思っていたけど、スンハがそれを口にすると不機嫌だったから私も聞かないようにしていたのに・・・・私も一人っ子だったから妊娠は諦めたし、15歳も年が離れたら相談相手にもならないよね。」
「そうでもないけどな・・・ウンジョと9歳離れていたけど、オレはウンジョから学んだこともあったぞ。」
「何を?」
「自分に素直になる事。」
「当たり前の事じゃない。」
その当たり前の事がスンジョにはできなかった。
だからハニに悲しい思いをさせて、その呪縛から解き放たれるのに時間が掛かったのだ。

「食べ過ぎか?」
「ん~そうじゃなくて、あまり食欲がないから胃腸風邪かなって思って。早く治さないと、スンハに移るたらいけないでしょ?」
「オレに移ってもいいのか?」
「そう言う訳じゃ・・・・あれ?胃薬がない・・あったはずなのに・・・・」
ガサガサと引き出しの中を必死に探しているハニに、いつの間にか部屋から出て来ていたスンハが話しかけた。

「捨てたよ。あの薬、随分前に私が胃腸風邪の時にパパが処方した薬でしょ?ママが勿体無いって言っていたけど、薬で体調を悪くしたらパパが困るでしょう。」
スンジョはリビングのソファーから立ち上がって、どこかに行ったかと思うとすぐに戻って来た。
「ハニ、すぐにトイレに行け。」
「今すぐ吐くわけじゃないから、明日クリニックに取りに行くから処方箋を書いて。」
「違う、これで調べて来いよ。」
スンジョがハニの手に持たせたものを見て、ハニは真っ赤な顔をしてスンハの方を見た。

「やだ・・・子供の前で・・・諦めたって言ったじゃない。」
「言ったかもしれなけど、絶対に妊娠はしないわけじゃない。お前もそれが分かっているからドレッサーの引き出しに入れておいたのだろ?」
「知っていたの?私が前に買ったのを。」
思春期の娘の前でその箱を渡されるのは恥ずかしかった。
頭の回転が速く、すぐに計算をすることも出来る。
親の寝室での事まで、子供に知られるのはどんなに鈍感なハニでも恥ずかしい事だった。
「・・・・行ってくる・・・・」
赤い顔をして、ポケットの中に入れて小走りにハニはトイレに駆け込んだ。 



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