大好き!<イタズラなKiss>

韓国版イタズラなKissが大好きです。 切ないお話しか書いていないので、お好みではない方はスルーしてください。

真実

あれから20年が過ぎて 91

病院に到着をするとすぐに母の身体を抱えるように院内に入って行く父を、スンハは車から荷物を降ろすと黙って後ろを付いて行った。
近すぎると見えない事があると分かっていたが、少し離れて父と母の二人の姿を見ていると、決して雄弁ではない父が言葉には表さなくてもその視線に母への愛がとても深くて大きくて温かく見えた。
スンハはそんな二人を見て『パパのような人と結婚をして、ママのように愛されたい』と思っていた。
物心ついた時には、同じ年頃の友達の家庭とはどこか違っている事は理解していた。
だからと言って自分にどうして父親がいないのかを知りたかったが、決して器用ではない母親が一生懸命にカフェで仕事をして少しでも時間が空けば自分の手を引いてよくバスに乗って出かけていた。

出掛ける時は『お弁当に何を持って行こう』と必ず聞き、スンハは『おかあさんの卵焼きが食べたい』と毎回言っていた。
本数の少ないバスを待つバス停で、しっかりと自分の手を繋いで『迷子にならないでね』と母が言えば『迷子になるのはいつもおかあさんだよ』と言って二人でよく笑っていた。
その様子が写真に写されていたのはハニもスンハも今も知らない事だが、スンジョはその写真に小さく写っている二人を見て仮名田主見つけ出すと決めていた事も二人は知らない。

母の出産に立ち会う父に何か声を掛けようと思ったが、何もいい言葉が思い浮かばない。
「パパ・・・」
「ん?」
「ママを・・・頼むね。」
マスクをしているスンジョがクスッと笑ったのが頬の筋肉で分かったが、スンハはおかしなことを言ってしまった事に苦笑いをした。
何も言わないで手を上げてハニの出産に立ち会うために分娩室に入って行った。

静かになった廊下のなぜか一番陰になるような場所にあるソファーに、スンハは荷物を持って緊張しながらきょうだいの誕生を待つことにした。
耳を澄ませても聞こえるはずがなく、空気の流れさえも分からないのに、父と母の声が聞こえるような気がした。
一時間に時間と経ってもまだドアは開かない。
自分の時とは違って、父が付いているのなら大丈夫だと思っても不安だった。

「そうだ・・・おばあちゃんとおじいちゃんたちに連絡をしないと・・・・」
ソファーから立ち上がって電話をかけようとした時にドアが開いた。
「スンハ!」
「産まれたの?」
「まだ・・まだだけど、お前も立ち会うか?」
「いいの?」
「ママがスンハにも、いて欲しいと言っている。」
「うん!」
スンジョはまだスンハは子供でも、きっとこの娘は冷静に判断してきょうだいの誕生を見る事が出来るだろうと信じていた。





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あれから20年が過ぎて 68

都会の大きな病院ではないから、数年前のカルテを用意するのはそれほど時間はかからず、診察を担当する医師もハニをよく覚えていた。
普通の妊婦ではなく事件の被害者でもあるハニを、この田舎町の人でおそらく知らない人はそれほどいないだろう。
そんな中で、ハニはこの5年間どんな思いをして生活してきたのかと思うと、男であっても涙が出そうになる。

「あれから5年ね・・・娘さんはお元気ですか?」
担当の医師は中年の女性の穏やかそうな人だ。
「今日も一緒に来ました。」
「そう・・・ご主人は初めてお会いしますね。」
産婦人科の診察室に入ってから、スンジョは一言も話さなかったが、ハニの夫だと気が付いたのを知り、この女医がハニの担当医でよかったと思った。
「数日前に入籍をしました。」
「あの時に産まれた赤ちゃんのお父さんね。産まれたばかりなのにとっても顔立ちのはっきりした赤ちゃんだったから、よく覚えているわ。あとからお子さんに会わせてね。」

普通の人なら気が付かないカルテに書かれていること。
担当医は恐らく前に診察をした診療科から、連絡を受けて知ったのかスンジョの情報をメモした紙を見ながらカルテに書き込んでいた。
「あの・・・・私・・・・」
「二人目のお子さんが欲しいの?」
「え・・っと・・・」
言わなくてもこの科に来れば、そう思って当然だ。
ハニ自信スンジョにそう言ったことはなかったが、【無排卵】という言葉を聞いていたからその相談をしたかった。

「あなたの場合、ほかの人と違う事情があったから無排卵と話したけど、タイミング法を考えてみるか・・・・時間をかけてもまだ年齢が若いから可能性はあると思うわよ。一年後に来た時にお腹の傷を見せてもらったけど、きれいだったたしあれから5年経っているから、今度は普通分娩でも大丈夫よ。早く妊娠しようと思う焦りよりも、ご主人と今いるお子さんとの幸せな時間が一番の薬だと思うわ。」
スンジョは知らなかった。
スンハが予定よりも早く生まれたことは知っていても、普通分娩で生まれていないと聞いていなかった。
薬での治療を早めたいから産まれても問題ないくらいに成長していれば、そうすることもあるだろうがそれほどハニはよくない状態だったとは知らなかった。

「お腹の傷を見せてもらってもいい?」
スンジョがいる場で見せるのは抵抗があったが、それを拒むほど子供ではなかった。
診察台に上がると、ハニは横になりスカートのホックを外して腹部を出した。
白い肌に無数の傷がはっきりとまだ残っていた。
手術での傷のほかにあるものは、あの忌まわしい事件の時に付いたものだろうか。
顔を横に向けて、スンジョと視線を合わせないようにしているハニを思うと、心の傷は単純に治すことができるとは思えなかった。





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あれから20年が過ぎて 67

「待っていてね。」
「うん。」
いつも行く病院に今日は初めて家族3人で行った。
いつもどおりハニはスンハに診察室前のベンチにいるように声をかけて、初めてスンジョと診察室に入った。
担当医は付き添いがいることに一瞬驚いた表情をした。
「結婚しました。」
とハニがそう言うとスンジョが挨拶をした。
「夫のペク・スンジョです。」

夫という言葉にまだ聞きなれないが、ハニが驚いたのは別のことだった。
「ペク・スンジョ・・パラン大病院外科のペク先生ですか?」
「そうですが、パラン大病院は退職し、今はここから少し離れた所でクリニックを開院しました。」
スンジョは医師の中で名前が知られているとか、そういった情報はハニには全く分からないが、ただいつも『どうですか?お変わりないですか?』と聞かれて『特に』としか答えていないハニにとって、スンジョがいてくれるだけで気持ちが軽かった。
詳しく話を聞き、薬の一つ一つを細かくスンジョが聞いているが、きっと聞かなくても知識が頭にインプットされているのだと分かっていた。

「さすがにペク先生ですね。私のところにハニさんが来なくても大丈夫な気がします。」
「いえ・・私は知識だけで、専門外の診療科じゃないですから。」
それでもスンジョは事前にハニの薬についての知識や症状については、知り合いの専門医に話を聞いていた。
「薬は今まで通り処方しますが、ご主人の判断で奥様に飲ませるかどうかお任せしてもいいですか?」
「構いません。」
薬の処方を書いた紙をハニは受け取ると、次回予約をスンジョの都合に合わせて予約した。

「ハニさん、よかったですね。やっとスンハちゃんもお父さんと暮らせることになって、これからたくさんご主人に愛してもらってくださいね。それがどんな薬よりも一番効果があるのですから。」
診察室を出ていくハニに、担当医はそう言って笑顔を見せていた。
診察室を出てきた両親の姿を見ると、スンハはトンっとベンチから降りて二人に近づいた。

「スンジョ君・・・私もスンジョ君も、スンハの父親がスンジョ君だと一言も言っていないよね?」
「言わなくてもわかると思うよ。顔だってオレと似ているし、名前だってオレとお前の二人の名前から付けたのだろうと分かったんだよ。」
「知っていたの?スンハの名前を決めた理由・・・私は何も教えていなかったのに。」
「普通の人間なら、オレの顔とスンハの顔を見ただけで、名前の由来もわかるはず。じゃあ。次の診療科に行くか・・・・・」
普通の人間ならわかる・・・・そんなに単純な気持ちで、産まれたばかりのスンハに名前を付けたつもりでもなかったが、確かにスンジョが父親だと知ってからのスンハは、『ママ大好きっこ』から「パパ大好きっこ」に代わっていた。

同じ病院内にある産婦人科に行くと、スンハが産まれてしばらくは通っていたが、久しぶりにそのフロアに来ると体がこわばってきた。
受付を済ませて待合のベンチで座るハニは、寒くもないのに小刻みに震えていた。
前回ここに来たときはスンハをベビーカーに乗せて、一人ですみの方で順番を待っていた。
事件が事件だけに、スンハがお腹にいる時に内診台に上がって検査をされた時は苦痛以上だった。
ギドンは何もなかったと言ったが、本当に何もなかったのかどうかハニはあの時の記憶は全くなかった。
覚えていたのは自分に覆いかぶさってきた男の手指の感触と、産後数か月後に診察した医師から聞かされた言葉。
【無排卵】
産後一年以上、生理が来なかったことが気になって受診した時に聞かされた言葉は、それをだれにも告げられずまだ乳飲み子のスンハを抱いて泣いて耐えていた。



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あれから20年が過ぎて 66

同じベッドで寝てもハニは緊張して眠れなかった。
近くに感じるスンジョの匂いと体温に、ドキドキする気持ちと何も考えずにじゃれあっていた時のことを思い出し、そっと手を伸ばそうとするが数ミリの所で手を引いてしまう。

「無理するな。」
「でも・・・」
「時間が解決するさ。そのためにオレは明日ハニと一緒に病院に行くのだから。」
優しかった。
スンジョはこの数年の間に随分と変わっていた。
これが本当のスンジョだ。
ハニにだけ見せていた本当の姿は、ただ優しいだけではなく温かくて大きくて、大丈夫だと言葉に出さなくても伝わって来ていた。
一歩踏み出した二人の関係だから、今度は一歩踏み出すのは自分だ。

「あのね・・・明日もう一つ行きたい診療科があるの。一緒に行ってくれる?」
「いいよ。何科だ?」
「産婦人科・・・スンハがお腹にいる時に、こっちに来たでしょ?それから通院しているの。」
「いいけど・・・今は妊娠していないだろ?」
妊娠は絶対にしていないと言い切れるくらい、まだスンジョに近づく事も振れることも出来ない。
この先の事を考えたら、スンジョと一緒に一度一緒に確認をしたかった。

「私ね・・・一人っ子だからスンジョ君とウンジョ君を見ていて、自分の子供はたくさん産みたいなって思っていたの。まだ大学生だったころにスンハを妊娠して、スンジョ君が結婚しようと言ってくれた時は嬉しかった。結婚は出来ないと思った時は絶望な思いだったけど、こっちに来て新しい生活を始めようと決めた。あんなことがあって、もうこれ以上の絶望的な事はないと思っていたけど、本当はね・・・それよりもつらい事は、妊娠できないかもしれないという事・・・」
ハニはあの時医師に言われた事を思い出して涙が出て来た。
泣いている事をスンジョに見られないように、無意識にスンジョの胸に顔を付けた。

「言ったじゃないか、子供はスンハだけでもいいって。スンハに弟か妹がいなくても、スンハにたくさんの愛情を注げばいい。」
「それは分かっているけど、そうじゃないの・・・スンハを妊娠した事が本当に運がよかったと言われて・・・何を言っているのかよくわかんないよね。」
「分からないよ。オレはハニの夫でもあるけど、医師だからどんな言葉を聞いても冷静でいられると思う。」
少しずつ自分に近づいている事に気が付かないハニに、スンジョは身体に触れないようにハニの背中の方に腕を伸ばした。

「無排卵の時があるみたいなの・・・・・精神科で出た薬を飲んでいるからかもしれないけど、もともと妊娠はしにくい体質だったみたい。それに・・・・あの時の恐怖があるから、スンジョ君と結婚しても、薬を止められないかもしれない・・・」
「本当にそうかな?オレがハニを抱きしめているのに気が付かない?」
知らない間にスンジョの腕が自分の身体にしっかりと抱きしめていた。
「どう?怖い?」
「・・・怖くない・・・」
「時間が掛かっても良くなるから。だからと言って今日はここまで、明日はここまでと考えなくてもいい。ハニがキスしたくなったらキスをすればいいし、ハニが身体に触れてもいいと思ったらそう言えばいいし、自分の本脳に従えばいい。とにかく今日は早く寝て、明日は気を楽にして病院に行こう。」

スンジョの胸の中にいると少しずつでもあの恐怖の事を忘れる事が出来るような気がした。




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あれから20年が過ぎて 65

トントン拍子に事が運ぶって・・・本当にある事なんだ。
絶望の人生だと思って過ごしていた5年。
スンハがいてくれたから前向きに生きて行こうと思えたけど、自分から決めたスンジョ君との別れから新しい自分になろうと決めた地での悪夢のような出来事。
夜スンハが寝てしまうと、死んでしまいたいと思った事もたびたびあった。
ママが好きだった故郷の星空を見たことは、あの日の出来事を思い出すから一度もなかった。

「どうかしたのか?」
「ううん・・・指輪・・この星空みたいで・・・」
左の薬指に光る結婚指輪。
星空にかざして何度もハニは眺めては、スンジョの左手を見た。
「やっと夫婦になれたな。」
「うん・・・すごく幸せ・・・」
「結婚式はもう少し待っていてくれよ。」
「結婚式はしなくてもいいのに。」
「約束だ。書類も無事に受理してもらえたし、スンハの事ももう少し時間が掛かると思ったけど、オレの計画より意外とすんなり事が進んだから、式場もまだ何も決めていなかった。」

結婚式なんて挙げなくてもいいと思っていても、内心はウエディングドレスを着たかった。
幸せを欲張ったら逃げて行ってしまいそうで、思っている事を言い出しにくかった。
「もう寝ようか・・・・」
スンジョは開けた窓を閉めて、遮光カーテンをシャッと閉めてエアコンのスイッチを入れた。
ソウルにいれば汗を掻く季節でも、ここは夜間は汗ばむ事もない涼しい風が吹いている。
スンジョはソウルに行ってから数日後からハニの家に泊まったというよりも、自分を慕うスンハが可愛くて『パパと一緒に暮らしたい』という言葉で同居を始めていた。
ハニのベッドから少し離して簡易ベッドを置き、そこでスンジョはいつも眠っていた。
いつも通り簡易ベッドの中に横になろうとした時、ずっとスンジョの様子を見ていたハニが思い切ったように言った。

「スンジョ君・・・一緒のベッドで・・・・寝て・・・」
「ハニ・・・・」
「まだ怖いけど、スンジョ君なら大丈夫・・・・」
少しずつハニの心がスンジョに向いていたのは知っていた。
明日は月に一度通っている病院にハニと一緒に行く日だ。
診察を受けて担当医に初めてスンジョを紹介して、この先の事をスンジョが聞いてくれる。
嬉しいような不安な気持ちでも、確実に自分でも分かるくらい症状が軽くなっている事は事実だった。





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