大好き!<イタズラなKiss>

韓国版イタズラなKissが大好きです。 切ないお話しか書いていないので、お好みではない方はスルーしてください。

二度目の出会い

はなびらが舞う頃 65

動かなくなった夫を見ても涙が出なかった。
頬に触れても、温もりも弾力も感じない。
夫と宿ったばかりの子供を同時に亡くした。
置き去りにされた感じがして、寂しさばかりが胸に広がった。

「奥さん、お子さんは小児科病棟に移しました。特に異常もなく、食欲もあるのでいつでも退院が出来ます。」
コクンと頷くハニの後姿はスンジョが手を伸ばさなくてもすぐ近くにあった。
数時間前は、夫の状況に驚いていたがふっくらとしていた。
車椅子に座っていると、こんなに小柄だったのかと思うくらいにやつれていた。
「ユシムの所に・・・・・先生、ユシムの様子を見て来てもいいですか?」
先生とハニは夫の事を呼んでいたのだろう。
自分の後ろにいる医師のスンジョに対して言っているのではない。
「先生・・・いつもみたいに、オレよりもユシムが大切かって聞いてくれないの?」

立ち上がろうとしたのか、ハニは中腰になるとフラッとした。
スンジョはハニの身体を抱き寄せて支えると、小刻みに足が震えてとても立っていられそうにもない。
「流産の処置をしたばかりだ。立ち上がったり歩いたりしては・・・」
スンジョの声に抑えていた感情が溢れ出し、ハニは話す事が出来ないくらいに大きな声でしがみ付くようにして泣き出した。

ハニには死というものが一番辛いものだ。
実の母親と夫を病気と事故で違うが、亡くしてしまったのだから。


「スンジョ君・・・スンジョ君・・・・スンジョ君・・・・」
ハニの細い腕がスンジョの体に巻き付けられるように、しっかりとしがみ付いて来た。
自分を見て怯えてばかりいたハニが、助けを求めるようにスンジョの身体に自分自身を預けて泣いている。
医師としてしてはいけないと思いながら、スンジョは自分の心を押さえられず、身体に廻されているハニの腕を感じながら自分もまたハニの身体に両腕を回してしっかりと抱き寄せた。

ハニが好きだ
ハニが愛おしい
何もいらないから、ただ守っていきたい

心の中でスンジョは、絶対に声にして出さないように何度も叫んだ。




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はなびらが舞う頃 64

今までに感じた事のない痛み。
何があったのだろう。
先生とユシムはソウルに行って・・・・・電話が・・先生とユシムが事故に・・先生が・・・

ハニは夢の世界にいたが、何かに気が付き目を開けた。
見覚えのない部屋ではなかった。
まだ学生だった頃に実習で来た事のある部屋と似ていた。
回診のスウォンのすぐ後ろで、メモを取っていたのは自分だ。
でもあの時は今と見ている位置が違っていた。

「気が付かれましたか?」
おっとりした温かで優しい声が聞こえ、自然とハニはそちらに顔を向けた。
「産婦人科のパクです。」
産婦人科?
「ICUで倒れて、ペク先生から連絡が入り処置をしましたが、お腹の赤ちゃんは残念な事になりました。」
「残念・・・・流産したの?」
「妊娠初期に精神的なストレスが一番の原因だと思います。」
産婦人科のパクと名乗った人は看護師ではなく医師だと言わなくてもわかる。
その人は流産とは言わないが、今までには感じた事のない痛みで流産をしたのだと分かった。

「主人に・・・主人と子供に会いたい・・・」
「本当はまだ安静していないといけないのですが、事情が事情なので車椅子でご主人の所に行きましょう。ご主人のご家族は奥様とお子様とどなたか身内をお呼びしようと思いますが・・・」
「家族は・・・主人の父親・・でも施設に入っていて、父の事は分からないと・・・思います・・でもどうして・・・」
医師と思われるその人は、少し考えてふたつ呼吸を整えるよう息を吐いたり吸ったりした。

「手の施しようがなく、二時間前に息を引き取りました。」
自分の耳でその言葉を聞くのは二度目だ。
一度目は幼い時に母が亡くなった時、二度目はスウォンが事故に遭って危険な状況だと言われてきた今。
大きな声を上げてただ泣きたかったが、ここで泣くわけにはいかない。
きっとまだ幼いユシムが気が付き、見た事のない場所で父も母もいないときっと探して泣くに違いない。

車椅子でスウォンの下に行くまでがとても長くて暗い廊下で、車椅子のステップに乗せている足に力が入らなかった。



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はなびらが舞う頃 63

小刻みにハニの手が震えている。
何をどう聞いていいのか分からないのだろう。

「奥さん、ご主人とお子さんを担当しています、ペク・スンジョです。」
ぺこりと頭を下げるのが精一杯。
スンジョと再会した気まずさよりも、呼吸はしているが動かない頼りにしていた夫と、おそらく薬で眠っている幼い息子の姿を見て『お久しぶり。私の事をおぼえてる?』なんて気楽に聞く事など出来ない。

「事故の状況はお聞きになられていますか?」
「スピードの出し過ぎの車が、カーブを曲がり切れず。かなり危険な状況だと・・・・」
「お子さんは幸いにもご主人が車と接触する直前に、覆いかぶさるようにしてしっかりと抱きかかえたので、擦り傷だけで落ち着いたら退院は出来ます。ご主人は今夜が峠かと思いますが、出血量が多く越す事は難しく手を尽くしていますが覚悟をしてください。」
両肘で身体を支えているハニが、苦しそうな表情をして手を机の下に隠すように動かした。

「スンジョ君でも、先生を助けられないの?」
「パラン大でご主人とかかわった医師や教授も必死に処置しましたが、止血が出来ず損傷も激しく。」
時として患者には残酷と思える言葉でも、スンジョがそれを言うと予想以上に冷静に聞こえる。
「クリスマスの頃には二人目が生まれるの。あんなに先生は喜んでいたのに・・・・」
必死に耐えていたハニが、身体を支えきれなくなり、フラッと体が動いたかと思うと、椅子から転げ落ちるように床に倒れた。
床に叩きつけられた身体は今までに感じた痛みよりも痛いのは、痛みと悲しみだけじゃない。
遠退く意識の中で、スンジョが誰かに何かを叫んでいるのが何となくわかった。

ハニに呼び掛けながら、ひんやりとしたシーツの上に横に寝かせると、どこかに連れていかれるような音と振動が感じたが、腹部に感じる今までに体験した事のない痛みにハニは意識を失った。

「先生、イムさんの奥さん・・・出血を・・・」
「すぐに産婦人科のパク先生に連絡を・・・・流産だと・・・」
ICUの方からはスウォンの後輩医師が処置をしていたが、首を横に振っていた。
夫と産まれてくるはずの子供を同時にハニは亡くすことになってしまったと思うと、スンジョはハニが立ち直れるか心配になった。



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はなびらが舞う頃 62

ハニだったんだ。
数年前に同僚に紹介された先輩の奥さんは、ハニだったんだ。
パラン大看護学部看護学科で学んで、看護師になったのに一度も会う事がなかった。
同年齢の学生より遅れての医学部転入。
履修できていない単元の取得のため、バイトも友達との付き合いもほとんどしなくて、ただひたすら勉強ばかりしていた。
大学を最初から医学部に決めていれば、ハニと顔を合わせる時もあり、その時に同居していた時にいじめていたことを謝りたかった。
謝って伝えたかった、ハニへの想い。
遅いかもしれないが、あの時伝えていたら今目の前にいるハニを泣かせることもなかったかもしれない。

まだ子供じみた態度しか取れない頃は、オレの言葉におびえながらもひたすらオレだけを想っていてくれたハニが、まさか事故に遭った夫と子供の治療を担当しているのがオレとも気が付かず、危険な状況の夫の手をしっかりと握り祈りながら泣いている姿に、どう声を掛けていいのかもわからない。
「先生?」
「イムさんの奥様をあちらの席にご案内してください。状況をお話します。」

この場でオレと顔を合わせるのは辛いだろう。
個室になっている部屋で、今の状況を伝えた方がハニも取り乱す事はないはずだ。

スンジョは背中越しに聞こえるハニの涙声と、看護師が医師からの説明があるのでと話している声を聞きながら、ICUの様子がよく見える個室の方に先に歩いて行った。


「イムさんの奥様、担当した医師からお話があります。」
「でも・・・主人に何かあったら・・・それにまだ子供と目を合わせていなくて・・・」
「看護師が付いていますので、何かありましたらすぐにお知らせします。」
ハニも看護師で、そばに看護師がいれば大丈夫だと分かっているのに、所詮地方の診療所の治療室とは対応が違う。
頬を夫の頬に触れ、眠っている子供の唇に軽くキスをすると、看護師と一緒にガラス張りの個室の方に向かった。
そこにスンジョがいるとも知らず、ハンカチで涙を拭きながら歩いていると、面識のある夫の後輩でハニとも実習で会った医師が数人心配そうな顔で会釈をした。

「先生、イムさんの奥様をお連れしました。」
「入ってください。」
その声にハニは流れていた涙が一瞬にして止まった。
ドアが開いて中に入るように促されると、カルテを見ている医師の頭頂部で、それがスンジョだとすぐに分かった。
「ス・・・・スンジョ・・・くん・・・」
そばに居た看護師はけげんな顔をしたが、イム・スウォンがパラン大病院で仕事をし大学で学生に指導をしていたから、普通に面識があるのだろうというくらいに思った。
「あとは大丈夫だから、イムさんとお子さんの看護をお願いします。」
冷静に支持をするスンジョは、10年以上経っていても変わらなかった。
立ち尽くすハニにスンジョは全く初めて会ったように表情を変わらずに、椅子に腰かけるように手を伸ばした。

「どうぞおかけください。」
その言い方に、ハニはかえってホッとしたのは事実だった。



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はなびらが舞う頃 61

数時間前はふたりは元気に家を出て行った。
スウォンがユシムを連れてギドンの店の近くの公園に遊びに行った時に、スピードを出してカーブを廻ってきた車の被害に遭った。
ギドンからの連絡はそれだけで、詳しい事が分からなかった。
ほぼ目の前でその瞬間を見たギドンは、かわいい孫と信頼している婿の悲惨な出来事にうまく説明が出来なかった。

「ハニの今の体調が心配だけど、妻であるお前が夫と子供の確認をしないといけないという事だ。何度も警察にハニが身重でまだ安定期じゃなく、ソウルから離れていると言っても駄目だと言われた。ユシムは幸いにかすり傷で済んだけど、ママ、ママと言って泣いているんだ。スウォン君は・・・・かなりの重傷で覚悟した方がいいと・・・病院はスウォン君の母校のパラン大病院だ。」
「分かった・・私は大丈夫かから・・」
大丈夫なんかじゃなかった。
2人目の妊娠が分かったばかり。
ユシムを産む時の事を考えて、今回は大事にしたいとスウォンが毎日のようにハニのお腹にそう声を掛けていた。
優しい夫を恩師としてではなく、人として尊敬していた。
いい妻いい母にはなれないかもしれないが、ハニは自分らしく家族と生涯を過ごしたかった。
父と娘との生活で苦労をした事もなかったが、両親と二人の子供との生活に憧れていた。

家を出る時に、お手伝いのおばさんから気休めかもしれないけどと言われながらお守りを受け取ると、たとえ気休めでも気持ちを落ち着ける事が出来たが、病院に着いた時には足がガクガクとしていた。

「ハニ!身体は・・・身体は大丈夫か?」
「うん、先生とユシムは?」
「こっちだよ。」
パラン大病院の建物の中は覚えていたはずが、そこが初めて来たくらい頭が混乱していた。
明るい廊下も、ハニには暗くて長く先が見えない。

「ここだよ。中に警察の人がいるけど、パパも一緒に行こうか?」
「一人で・・一人で大丈夫。パパはお店に戻っていいよ。ジュングに任せてばかりじゃ・・・」
近くに来た看護師にイム・スウォンの妻だと名乗ったハニの気丈な振る舞いが、そばで見ているギドンには痛々しく付き添いたかった。
ハニの事は心配だが、いったんギドンは店に戻ってジュングにやっておく事だけを伝えて、また病院に来ようと思った。

「先生、イム・スウォンさんの奥さんがみえました。」
ハニの方に振り向いた医師の顔など、ハニには見えていなかった。
ハニの目で見えたのは、夫が目を閉じて心電図を付けられ、数人の医師と看護師が治療をしている姿。
その隣のベッドでは、まだ幼いユシムが眠っていた。




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