スンジョとハニが座っているベンチから少し離れたベンチに、中学生くらいの少年と少女が並んで座り本を読んでいた。
少年と少女は、まだどことなく幼さが残るその顔は整った奇麗な顔をしていた。
「スンハ、スンリ!ちょっとお願い。」
ハニが少年と少女の名前を呼ぶと、スクっと立ち上がり両親の方に歩いて来た。
「スンミとスンスクが起きちゃったから、一緒に遊んでくれない?」
「分かった。おいで・・・・」
声変りの最中のスンリの声は、どことなくスンジョとよく似ていた。
スンハとスンリはベビーカーから二人を下すと、手を引いてブランコの方に歩いて行った。
スンハは妹のスンミの手を繋ぎ、スンリは弟のスンスクの手を繋いだ。
4人が歩いて行くと、スンジョに抱かれているまだ一歳にも満たないハニとよく似た赤ちゃんが、自分も行きたいと手を伸ばしていた。
「スンギは、アッパとオンマとここに居よう。」
イヤイヤとして、姉たちの方に行きたいと訴えるスンギは、ハニとよく似て女の子のような顔をしているが、着ているベビー服で男の子だと分かった。
「ハニはたくさんの子供の親になりたいと言っていたけど叶いそうだな。」
「うん・・・・まさか双子を三組妊娠するとは思わなかった。親戚には双子は一組もいないのに、こんな事もあるんだね。」
「そうだな・・・・」
スンギを抱いて立ち上がると、ハニの手を取って立ち上がらせた。
双子を宿していると、身体にも結構負担がかかる。
スンミとスンスクを妊娠するまでは看護師として働いたが、二組目の双子を出産してすぐにスンギを妊娠した時を期に、仕事を辞める事になった。
「スンハとスンリの次にスンミたちが出来るまで10年がかかったけど、オレはハニが望んだたくさんの子供に囲まれての生活が出来るようになって良かったと思うよ。お袋は、この調子でもっとたくさんの孫が欲しいと言ったけど、ハニがあんなにはっきりとお袋に言った時は驚いたよ。」
「だって・・・お母さんったらスンジョ君が治ったのなら毎年孫が産まれるのを期待するって・・・双子ばかり妊娠したら家の中が学校みたいになるんだもの。」
「オレはそれでもいいけど・・・・今の子供の割合だと、ハニと似ているのはスンギだけだからな。」
ちょっと意地悪な言い方をするスンジョは、とても今はストレスがあるようにも見えない。
「どういう意味よ!スンギはまだ1歳にならないのだから、頭がいいかどうかなんて分かんないし、産まれてくる次の双子だって分からないでしょ?」
「そうだな・・・」
色々な事があった二人だが、何かあるたびに二人の愛情は深くなる。
もうこの先何があっても、二人でいられるのならきっと乗り越えられると信じていた。
「人の人生は四季のようで、春は誕生と出会い、夏は壁に当たるのなら汗を掻いて乗り越え、秋は迷いで悩み、冬に乗り越えられそうで乗り越えられない辛さを味わっても、その次に来る春があるから前を向いて雪の中を歩いて行く。人生は四季と同じだと思うよ。」
「そうかな・・・私はいつになってもスンジョ君が話す事が難しすぎて・・・・」
「いいさ、ハニが分からないのならオレがずっとそばに居るから困った時はオレが導いてやるよ。」
スンジョがスンハとスンリに戻って来るように手を振ると、双子の弟と妹を連れてハニたちの方に近づいて来た。
「オンマ、明日は入院するんだね。私がちゃんと妹と弟を見ているから、元気な赤ちゃんを産んでね。」
泣き虫だったスンハも、自分に弟と妹が生まれてから、あまり泣く事も無くなり兄弟の世話を母に手伝ってくれる優しい女の子に成長して来た。
時々、中学生とは思えない発言に戸惑うスンショとハニだが、自分たち二人の子供だと思える発言だ。
スンジョの生死不明と、ハニがスンジョ以外の男性であるギョルとの事があった時は、二人だけじゃなく家の中が極寒の冬のように寒かったが、もう遠い過去の事として二人の頭の中から殆ど忘れているくらいに幸せで温かな家族だった。
「ハニがオレに刺激的な生活を遅らせてくれた事に感謝している。」
「嫌味に聞こえる・・・・」
「嫌味じゃないよ。出来て当たり前といつも高校生のころまでは思っていたし、面倒な事に関わるのを避けていたから、オレの性格は問題があったけど、平穏な生活を過ごすためには自分で自分を守るのじゃなくて、自分を守るためには人との関わりを良くも悪くも避けて通れないという事。その良い事も悪い事も、四季のように終わりのないのが人間のために課せられた永遠の・・・・永遠の課題という刺激的な生活なんだ。」
大きなお腹を手で支えながら、ハニはスンジョの理解しがたい難しい話を聞くのが結構楽しくて幸せだった。
「ハニがお袋にもう妊娠は今回で最後にしたいと言ったけど、同じ季節や時間は訪れないのと同じくらいもっとハニとの子供が欲しいよ・・・・・半分は冗談だけど、半分は本気かもしれない。」
スンハとスンリ以外の出産はいつもスンジョが立ちあってくれた。
スンジョらしいというのかもしれないが、どんなに仕事が忙しくてもその合間でも駆けつけてくれる、計算しての行動はスンジョが長期出張でも淋しいと思わなくなっていた。
「本当に看護師を辞めてもよかったのか?お袋もまだそれほど年老いていないから、今度の子たちが産まれてからまた復帰してもいいじゃないか。」
「私ね、器用な方じゃないから、看護師と妻と母親三つは無理だから、スンジョ君のお手伝いをするのは、別に看護師じゃなくてもスンジョ君が疲れて帰って来る家を守り、スンジョ君の子供たちを育てるのも、スンジョ君のお手伝いだと思っているから、看護師を辞める事になっても全然残念だと思わないよ。」
季節は移り替わっても同じ時は来ない。
同じ時は来ないから、きっとハニは今を大切にしてスンジョを手伝って行く事が本当の夢だったのかもしれない。

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少年と少女は、まだどことなく幼さが残るその顔は整った奇麗な顔をしていた。
「スンハ、スンリ!ちょっとお願い。」
ハニが少年と少女の名前を呼ぶと、スクっと立ち上がり両親の方に歩いて来た。
「スンミとスンスクが起きちゃったから、一緒に遊んでくれない?」
「分かった。おいで・・・・」
声変りの最中のスンリの声は、どことなくスンジョとよく似ていた。
スンハとスンリはベビーカーから二人を下すと、手を引いてブランコの方に歩いて行った。
スンハは妹のスンミの手を繋ぎ、スンリは弟のスンスクの手を繋いだ。
4人が歩いて行くと、スンジョに抱かれているまだ一歳にも満たないハニとよく似た赤ちゃんが、自分も行きたいと手を伸ばしていた。
「スンギは、アッパとオンマとここに居よう。」
イヤイヤとして、姉たちの方に行きたいと訴えるスンギは、ハニとよく似て女の子のような顔をしているが、着ているベビー服で男の子だと分かった。
「ハニはたくさんの子供の親になりたいと言っていたけど叶いそうだな。」
「うん・・・・まさか双子を三組妊娠するとは思わなかった。親戚には双子は一組もいないのに、こんな事もあるんだね。」
「そうだな・・・・」
スンギを抱いて立ち上がると、ハニの手を取って立ち上がらせた。
双子を宿していると、身体にも結構負担がかかる。
スンミとスンスクを妊娠するまでは看護師として働いたが、二組目の双子を出産してすぐにスンギを妊娠した時を期に、仕事を辞める事になった。
「スンハとスンリの次にスンミたちが出来るまで10年がかかったけど、オレはハニが望んだたくさんの子供に囲まれての生活が出来るようになって良かったと思うよ。お袋は、この調子でもっとたくさんの孫が欲しいと言ったけど、ハニがあんなにはっきりとお袋に言った時は驚いたよ。」
「だって・・・お母さんったらスンジョ君が治ったのなら毎年孫が産まれるのを期待するって・・・双子ばかり妊娠したら家の中が学校みたいになるんだもの。」
「オレはそれでもいいけど・・・・今の子供の割合だと、ハニと似ているのはスンギだけだからな。」
ちょっと意地悪な言い方をするスンジョは、とても今はストレスがあるようにも見えない。
「どういう意味よ!スンギはまだ1歳にならないのだから、頭がいいかどうかなんて分かんないし、産まれてくる次の双子だって分からないでしょ?」
「そうだな・・・」
色々な事があった二人だが、何かあるたびに二人の愛情は深くなる。
もうこの先何があっても、二人でいられるのならきっと乗り越えられると信じていた。
「人の人生は四季のようで、春は誕生と出会い、夏は壁に当たるのなら汗を掻いて乗り越え、秋は迷いで悩み、冬に乗り越えられそうで乗り越えられない辛さを味わっても、その次に来る春があるから前を向いて雪の中を歩いて行く。人生は四季と同じだと思うよ。」
「そうかな・・・私はいつになってもスンジョ君が話す事が難しすぎて・・・・」
「いいさ、ハニが分からないのならオレがずっとそばに居るから困った時はオレが導いてやるよ。」
スンジョがスンハとスンリに戻って来るように手を振ると、双子の弟と妹を連れてハニたちの方に近づいて来た。
「オンマ、明日は入院するんだね。私がちゃんと妹と弟を見ているから、元気な赤ちゃんを産んでね。」
泣き虫だったスンハも、自分に弟と妹が生まれてから、あまり泣く事も無くなり兄弟の世話を母に手伝ってくれる優しい女の子に成長して来た。
時々、中学生とは思えない発言に戸惑うスンショとハニだが、自分たち二人の子供だと思える発言だ。
スンジョの生死不明と、ハニがスンジョ以外の男性であるギョルとの事があった時は、二人だけじゃなく家の中が極寒の冬のように寒かったが、もう遠い過去の事として二人の頭の中から殆ど忘れているくらいに幸せで温かな家族だった。
「ハニがオレに刺激的な生活を遅らせてくれた事に感謝している。」
「嫌味に聞こえる・・・・」
「嫌味じゃないよ。出来て当たり前といつも高校生のころまでは思っていたし、面倒な事に関わるのを避けていたから、オレの性格は問題があったけど、平穏な生活を過ごすためには自分で自分を守るのじゃなくて、自分を守るためには人との関わりを良くも悪くも避けて通れないという事。その良い事も悪い事も、四季のように終わりのないのが人間のために課せられた永遠の・・・・永遠の課題という刺激的な生活なんだ。」
大きなお腹を手で支えながら、ハニはスンジョの理解しがたい難しい話を聞くのが結構楽しくて幸せだった。
「ハニがお袋にもう妊娠は今回で最後にしたいと言ったけど、同じ季節や時間は訪れないのと同じくらいもっとハニとの子供が欲しいよ・・・・・半分は冗談だけど、半分は本気かもしれない。」
スンハとスンリ以外の出産はいつもスンジョが立ちあってくれた。
スンジョらしいというのかもしれないが、どんなに仕事が忙しくてもその合間でも駆けつけてくれる、計算しての行動はスンジョが長期出張でも淋しいと思わなくなっていた。
「本当に看護師を辞めてもよかったのか?お袋もまだそれほど年老いていないから、今度の子たちが産まれてからまた復帰してもいいじゃないか。」
「私ね、器用な方じゃないから、看護師と妻と母親三つは無理だから、スンジョ君のお手伝いをするのは、別に看護師じゃなくてもスンジョ君が疲れて帰って来る家を守り、スンジョ君の子供たちを育てるのも、スンジョ君のお手伝いだと思っているから、看護師を辞める事になっても全然残念だと思わないよ。」
季節は移り替わっても同じ時は来ない。
同じ時は来ないから、きっとハニは今を大切にしてスンジョを手伝って行く事が本当の夢だったのかもしれない。

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