嬉しくて嬉しくて跳び跳ねたくなるような気持ちで来ていたあの時と今の気持ちは違っていた。
お互い何かを話さなければと思いながら、何を話したらいいのか分からなかった。
「誰かの役にたったのか・・」
無言が続いていた時に、スンジョは突然話した。
「オレが危険な場所に行く事を決めた理由。」
「スンジョ君は・・・・」
「人に聞けば必要だから、こうしてパランで仕事をしているのだろうと言われるが、目標としている所に到達したら、もう少し先まで見てみたくなった。」
オープンカフェで朝食を摂るのには、この時期は寒くて朝日の温かさでも数分しかそこにはいられない。
外の景色が見えるその場所で、ふたり向かい合って食べる朝食は初めてかもしれない。
バスケットに入れた焼き立てのパンがテーブルに運ばれ、熱いコーヒーをカップに注ぎ入れられると、スタッフはその場から離れて行った。
「カフェオレじゃなくて良かったのか?」
「うん、スンジョ君がいない時に、ブラックコーヒーを飲んだらスンジョ君といるような気がして、それ以来朝食に飲むようになったの。」
少しずつハニにも笑顔が戻って来た。
考えてみれば、帰国して公園に迎えに行った時、ハニは嬉しそうにしてはいたが心からの笑顔を見せていなかった。
「コーヒーをブラックで飲んで、オレがそばに居るように思えたのか?」
「ううん、ダメだった。スンジョ君が好きなものを飲んでみても、声をすぐ近くで聞いているのでもないし・・・スンジョ君と手を繋ぎたい、抱きしめて欲しいと言う思いがどんどん強くなって・・・・」
そんな時にギョルと出会ったのだった。
スンハとスンリが産まれて、初めての育児はグミの助けもあって何とか出来てはいたが、スンジョがいないと思うだけで淋しいと思う気持ちはどうにもならなかった。
ハニがスンジョがいない時期の思いを、静かな朝の陽ざしの中で2人が向かい合っているから、素直な気持ちで話をする事が出来、素直な気持ちでその話を聞く事が出来た。
「スンジョ君、私がギョルとしたことてくれない事は分かってる・・・」
「そうだな・・・してしまった事は消せないし、オレはこの先も許せない。」
ビクッと肩に力を入ったハニを見て、ハニを許せるのも許せないのも自分しかいないと思った。
「ハニはオレとの約束を忘れたのか?」
「約束って・・・・結婚の誓いの・・」
「違う、オレが両親の前で結婚したいという少し前に言った言葉だ。」
「少し前に言った言葉?」
自分にとっての記念になるような小さな出来事でも分かっているのに、さすがにスンジョの言った言葉すべてを覚えているはずもなかった。
「オレ意外の男が好きだと言ったら簡単に好きになるのか?」
その言葉にハニは何をスンジョが言ったのか思い出した。
「ハニはオレ意外を好きになれないのだから、オレ意外の男に誘われてもその誘いに乗るんじゃない。分かったか?」
うんうんと頷くハニは涙を流しながら、子供みたいな笑顔を向けていた。
ハニが他の男の元に行くと、自分はこの先の人生を生きて行く自信がなくなると、本当は言いたいがその言葉は今はまだ言わないと決めていた。
「食べたら、車をレンタルしたからどこかに行こうか。」
差し出したスンジョの手は、大きくてずっとつなぎたいと思っていた手だった。
自分の犯した罪は消える事がないと分かっているから、遠慮しながらその手に触れた。

人気ブログランキング
お互い何かを話さなければと思いながら、何を話したらいいのか分からなかった。
「誰かの役にたったのか・・」
無言が続いていた時に、スンジョは突然話した。
「オレが危険な場所に行く事を決めた理由。」
「スンジョ君は・・・・」
「人に聞けば必要だから、こうしてパランで仕事をしているのだろうと言われるが、目標としている所に到達したら、もう少し先まで見てみたくなった。」
オープンカフェで朝食を摂るのには、この時期は寒くて朝日の温かさでも数分しかそこにはいられない。
外の景色が見えるその場所で、ふたり向かい合って食べる朝食は初めてかもしれない。
バスケットに入れた焼き立てのパンがテーブルに運ばれ、熱いコーヒーをカップに注ぎ入れられると、スタッフはその場から離れて行った。
「カフェオレじゃなくて良かったのか?」
「うん、スンジョ君がいない時に、ブラックコーヒーを飲んだらスンジョ君といるような気がして、それ以来朝食に飲むようになったの。」
少しずつハニにも笑顔が戻って来た。
考えてみれば、帰国して公園に迎えに行った時、ハニは嬉しそうにしてはいたが心からの笑顔を見せていなかった。
「コーヒーをブラックで飲んで、オレがそばに居るように思えたのか?」
「ううん、ダメだった。スンジョ君が好きなものを飲んでみても、声をすぐ近くで聞いているのでもないし・・・スンジョ君と手を繋ぎたい、抱きしめて欲しいと言う思いがどんどん強くなって・・・・」
そんな時にギョルと出会ったのだった。
スンハとスンリが産まれて、初めての育児はグミの助けもあって何とか出来てはいたが、スンジョがいないと思うだけで淋しいと思う気持ちはどうにもならなかった。
ハニがスンジョがいない時期の思いを、静かな朝の陽ざしの中で2人が向かい合っているから、素直な気持ちで話をする事が出来、素直な気持ちでその話を聞く事が出来た。
「スンジョ君、私がギョルとしたことてくれない事は分かってる・・・」
「そうだな・・・してしまった事は消せないし、オレはこの先も許せない。」
ビクッと肩に力を入ったハニを見て、ハニを許せるのも許せないのも自分しかいないと思った。
「ハニはオレとの約束を忘れたのか?」
「約束って・・・・結婚の誓いの・・」
「違う、オレが両親の前で結婚したいという少し前に言った言葉だ。」
「少し前に言った言葉?」
自分にとっての記念になるような小さな出来事でも分かっているのに、さすがにスンジョの言った言葉すべてを覚えているはずもなかった。
「オレ意外の男が好きだと言ったら簡単に好きになるのか?」
その言葉にハニは何をスンジョが言ったのか思い出した。
「ハニはオレ意外を好きになれないのだから、オレ意外の男に誘われてもその誘いに乗るんじゃない。分かったか?」
うんうんと頷くハニは涙を流しながら、子供みたいな笑顔を向けていた。
ハニが他の男の元に行くと、自分はこの先の人生を生きて行く自信がなくなると、本当は言いたいがその言葉は今はまだ言わないと決めていた。
「食べたら、車をレンタルしたからどこかに行こうか。」
差し出したスンジョの手は、大きくてずっとつなぎたいと思っていた手だった。
自分の犯した罪は消える事がないと分かっているから、遠慮しながらその手に触れた。

人気ブログランキング