周りの人たちの助けで気が付いたらもうすぐ出産予定日になっていた。
長期休暇の時は病院で過ごし、週の半分は病院での実習授業。
授業担当の先生と病院の実習担当の先生の計らいで、私は産科での実習授業を受けていた。
お陰で少しは自分に役立つ事が出来たと思っていた。
産科での実習授業も、身体に負担のかからない事を中心に勉強をしていた。
「随分貯まったな。」
「うん、あと数枚で終わりかな?」
検診の度に貰ってくるエコー画像を、帰宅するとすぐに専用に用意したアルバムに貼っていた。
「一番前のページに最初に出来たスンジョ君の赤ちゃんのエコー画像も貼ったの。リャンさんの病院に残っていたのを送ってもらったから、一番最初の写真と一緒に貼って兄弟がいた事を教えてあげたくて。」
胎動を感じる頃に亡くなった自分とスンジョの産まれなかった子供。
「リャンさんの子供のエコーも貼っておいたらどうだ?」
ハニは心臓が飛び出しそうに驚いた。
夏季休暇にリャンとミレイがパラン大病院に入院をしていたハニを見舞う時に、2枚のエコー画像写真を持って来てくれたのをスンジョが知っていた。
「オレは気にしていない。その子もハニの子供だから、産まれたらその二人の産まれる事が出来なかった兄弟の分も愛情を注いであげたらいい。そうしてずっと思い出の糸として繋いで行こう。」
スンジョの優しい言葉を聞きながら、ハニは不安を感じていた。
「どうした?」
「大丈夫・・・・ちょっとお腹が・・・」
時折眉間に皺を寄せるハニの表情が気になった。
「痛いのか?」
我慢が出来ないほどの痛みではなかった。
アルバムを閉じてサイドテーブルの上に置き立ち上がろうとした時、パンと弾けるような感じがして足に生温かいものを感じた。
「あ・・・・」
「大丈夫だ、すぐに病院に連絡を入れる。」
予定日に近かったがまだ産まれないと思っていたが、軽い陣痛が始まったと同時に破水をした。
スンジョの慌てる声がグミに何かを言って、抱きかかえるスンジョにしがみ付きながら痛みをこらえるだけで誰が何を話しているのか分からなかった。
それでもハニは確信をしていた。
【やっと産まれてくれる・・・】
痛みで辛いのに、ハニの心は穏やかでいれた。
もしかしたら今日のこの日のために、ずっと私は絡まっていた糸に苦しんでいたのだろうか。
痛みの合間に、亡くした顔も知らない子供二人と、子供の頃に亡くした母がほほ笑んでいる顔が浮かんだ。
もうダメ・・・
人生で初めて知った痛みに耐えられそうにもなかった時に、3人がハニの手を掴んだような気がした。
『ハニ・・・お母さんは子供のために乗り越えられるの。』
『ママ、頑張って・・ぼくたちの妹がもうすぐ産まれる。』
顔も知らなければ声も知らない小さな二人が、ハニを元気づけてくれた。
元気な泣き声と、スンジョが奇麗なタオルに包まれた小さな赤ちゃんを連れて来た。
「女の子が産まれたよ。ハニとよく似た可愛い女の子だ。」
産まれたばかりの娘が包まれているタオルは、何本もの糸で織られた強くて温かで柔らかで大きな布だった。
人は一人では生きていけない。
糸と糸が織りあって一枚の布になる。
そのタオルは傷ついたり弱った心をいやす家族のようでもあった。

人気ブログランキングへ
長期休暇の時は病院で過ごし、週の半分は病院での実習授業。
授業担当の先生と病院の実習担当の先生の計らいで、私は産科での実習授業を受けていた。
お陰で少しは自分に役立つ事が出来たと思っていた。
産科での実習授業も、身体に負担のかからない事を中心に勉強をしていた。
「随分貯まったな。」
「うん、あと数枚で終わりかな?」
検診の度に貰ってくるエコー画像を、帰宅するとすぐに専用に用意したアルバムに貼っていた。
「一番前のページに最初に出来たスンジョ君の赤ちゃんのエコー画像も貼ったの。リャンさんの病院に残っていたのを送ってもらったから、一番最初の写真と一緒に貼って兄弟がいた事を教えてあげたくて。」
胎動を感じる頃に亡くなった自分とスンジョの産まれなかった子供。
「リャンさんの子供のエコーも貼っておいたらどうだ?」
ハニは心臓が飛び出しそうに驚いた。
夏季休暇にリャンとミレイがパラン大病院に入院をしていたハニを見舞う時に、2枚のエコー画像写真を持って来てくれたのをスンジョが知っていた。
「オレは気にしていない。その子もハニの子供だから、産まれたらその二人の産まれる事が出来なかった兄弟の分も愛情を注いであげたらいい。そうしてずっと思い出の糸として繋いで行こう。」
スンジョの優しい言葉を聞きながら、ハニは不安を感じていた。
「どうした?」
「大丈夫・・・・ちょっとお腹が・・・」
時折眉間に皺を寄せるハニの表情が気になった。
「痛いのか?」
我慢が出来ないほどの痛みではなかった。
アルバムを閉じてサイドテーブルの上に置き立ち上がろうとした時、パンと弾けるような感じがして足に生温かいものを感じた。
「あ・・・・」
「大丈夫だ、すぐに病院に連絡を入れる。」
予定日に近かったがまだ産まれないと思っていたが、軽い陣痛が始まったと同時に破水をした。
スンジョの慌てる声がグミに何かを言って、抱きかかえるスンジョにしがみ付きながら痛みをこらえるだけで誰が何を話しているのか分からなかった。
それでもハニは確信をしていた。
【やっと産まれてくれる・・・】
痛みで辛いのに、ハニの心は穏やかでいれた。
もしかしたら今日のこの日のために、ずっと私は絡まっていた糸に苦しんでいたのだろうか。
痛みの合間に、亡くした顔も知らない子供二人と、子供の頃に亡くした母がほほ笑んでいる顔が浮かんだ。
もうダメ・・・
人生で初めて知った痛みに耐えられそうにもなかった時に、3人がハニの手を掴んだような気がした。
『ハニ・・・お母さんは子供のために乗り越えられるの。』
『ママ、頑張って・・ぼくたちの妹がもうすぐ産まれる。』
顔も知らなければ声も知らない小さな二人が、ハニを元気づけてくれた。
元気な泣き声と、スンジョが奇麗なタオルに包まれた小さな赤ちゃんを連れて来た。
「女の子が産まれたよ。ハニとよく似た可愛い女の子だ。」
産まれたばかりの娘が包まれているタオルは、何本もの糸で織られた強くて温かで柔らかで大きな布だった。
人は一人では生きていけない。
糸と糸が織りあって一枚の布になる。
そのタオルは傷ついたり弱った心をいやす家族のようでもあった。

人気ブログランキングへ