大好き!<イタズラなKiss>

韓国版イタズラなKissが大好きです。 切ないお話しか書いていないので、お好みではない方はスルーしてください。

2025年12月

帰るところ 6

いつもと変わらない坂道を多少は急いでいるが、なぜなのか体が思うように動かない
こんなに不安なのは、あの日以来避けているからなのか
イタズラにしたkissの理由をハニは知らないし、自分自身もよくわからないが、ハニは気になる存在ではある

スンジョは門の扉を急いで開けると、玄関に通じる階段を二段おきに駆け上がり、玄関のドアノブに手をかけて深呼吸をして何事もなかったような顔をして開けた。

静かな家の中はいつもと同じで、玄関にきちんと揃えて置かれているハニの靴を見て少し安心したような気持になった。

「あら!お帰り・・・どうしたの?早かったわね。」
大学生らしく変えた髪型が気恥ずかしかったことさえ忘れていた。
「いい感じになっているわ。これで少しは柔らかい感じに見えるわね。」
グミの言葉などスンジョの頭の中に入っていない。
家の中を見回すと、特に変わった所もなく、いつもと同じに見える。

「どうしたの?」
「あいつは?」
「あいつ?」
「ハニだよ。」

ニヤッと笑ったグミの顔を見てスンジョはしかめっ面をすると、手に持っていた物をグミの顔の近くに上げた。
「ウンジョが好きなアイスクリームを買うために立ち寄ったら姿が見えないから、どうしたのかと聞いたら早退したけど上着を忘れていったと預かった。」
「あなたがアイスクリームを?滅多に買わないのにどういう風の吹き回し?」
「ウンジョに買うためだ。」
アイスクリームの袋とハニの上着をグミに突きつけるようにして渡すと、むっとした顔をしながら自分の部屋のある二階への階段を上がりかけると、背後からグミが声をかけた。

「ハニちゃんが心配なんでしょ?でもね・・・今はそっとしてあげて。夕食までにはよくなるから。」
「別に心配なんて・・・」
「いい?絶対に部屋をノックしたりしたら駄目よ。男には今のハニちゃんの辛さはわからないのだから。」
その言葉だけで、ハニの体調不良が何だったのかスンジョにはすぐに分かった。
肩越しに階下のグミの様子を確認して、ハニの部屋の前を通り過ぎる時にドアの向こうからわずかに聞こえた声を確認してクスッと笑った。




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帰るところ 5

いたた・・・
冷えたかなぁ

顔面蒼白のハニは、ブランケットを腰にしっかりと巻いてトイレから出てきた。
廊下にはハニの体調を心配して待っていた。

「大丈夫?」
「さっき薬を飲んだからもう少ししたらよくなると思います。」
ハニの体を支えるようにして部屋まで連れて行き、ベッドに横になったハニの体に布団を掛けた。
「びっくりしたわよ。運転していたらハニちゃんがしゃがみこんでいる姿を見かけて・・・・今朝は元気に出かけたのに・・・・・湯たんぽでおなかを温めるのもいいわよ・・・」
小さな湯たんぽを掛布団の中から差し込むと、ハニはその優しい気遣いがありがたくて涙が出てきた。

「泣かなくても・・・・」
「今まではこんな時に誰にも相談ができなくて・・・嬉しくて・・・・」
布団で顔を隠すハニの頭を、グミの優しい手が触れると温かくて体調もすぐに良くなるような気がした。

「家は帰る場所・・・そこで家族を迎えるのが妻であり母なの。今までは、ハニちゃんはお父様に心配かけたくないから一人では悩んでいたと思うけど、私をお母様だと思って頼ってくれていいのよ。」
「おばさん・・・・」
いつになく静かに話してくれていたグミだったが、すぐに気楽で明るい子供のようないつものグミの表情に変わった。

「いっそのことうちの娘にならない?」
とんでもない言葉に、体調が悪いことを忘れかけた。
「お・・おばさん・・・」
「本気よ。もちろんハニちゃんのお父様に許可を得てからだけど、うちには息子二人しかいないけど、その一人はスンジョで年齢も同じでちょうどよくない?」

な・・なに・・え?
おばさんは何を言っているの?

その心の声がグミに聞こえたのか、意外と真剣な眼差しで顔を近づけた。

「だって・・ハニちゃん、スンジョのことを好きでしょ?結婚してしまえば娘ではないけど、ペク家の嫁として本当の家族の一員になるじゃない。そうすれば、私もハニちゃんと楽しみたいことが堂々とできるわ。」
返す言葉も出ないうちに、グミはフフフと笑いながら部屋から出て行った。

いつの間にか体調が悪くてバイトから帰ってきたことを忘れていた
おばさんは、体調が悪くつらい私の気持ちを和らげるために言ってくれたのだけど、もしかしたらやっぱり本当にあの時呟いた言葉が聞こえていたのかもしれない

薬が効いてきたのか、グミと話をしたことで気持ちが和らいだのか、ウトウトと眠り始めた。



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帰るところ 4

卒業式が終わって半月
同じ屋根の下で生活をしているのに、半月で顔を合わせたことが一度もないのは故意に会わないようにしているとしか思えない。
毎日毎日バイトに夢中になっているのもいいが、大学生として自覚を持った方がいい。

「お客様、いかがですか?」
「ん・・・・」
手鏡を渡され後ろ横を見せられても、パーマをかけて髪の毛を染めて、気に入らないと言ったらどうする。
「ごめんなさいね・・・
この子ったら不愛想でファッションとかにも無関心なの。何も言わないのは気に入ったからだと思うわ。ありがとう、十分素敵に仕上がっているわ。」

何が十分だ
昔から自分の思う通りだろう

ケープを自分で取り外すと立ち上がて不機嫌そうに母に強い言葉をかけた。
「先に帰る・・・」
スンジョは大学の入学式前に、大学生らしく髪形を変えた。
自分の意志ではなく母のきまぐれに付き合ったが、新しい髪形は嫌ではなかった。
垂れた前髪を一筋引っ張って太陽の光に照らして見せた。
思ったより赤い色だが、不思議と心も軽くなった気がした。
確かこの通り沿いに、ハニがバイトをしているアイスクリーム店がある。
ちょっと覗いていこうか、と最近避けているハニをからかってみたくなった。

しかし、ハニがバイトをしているアイスクリーム店には、ハニの姿を見つけることができなかった。

どうしたんだ?
今朝はバイトに行ってくると言っていた声が聞こえたのに。

「いらっしゃいませ、店内で召し上がりますか?お持ち帰りですか?」
「持ち帰りで、ナッツとキャラメルとミルクティをそれぞれカップに入れて・・・・」
口に出たアイスクリームはハニが好きなフレーバーだ。
「忙しそうですね・・・・」
無表情のスンジョが聞いたことに店員は驚いた顔をしたが、すぐに動じていないような表情で返事が返ってきた。

「一人、体調不良で帰ったんです。」
朝の話している声は体調不良には聞こえなかった。
病気もしたことのないほど元気なハニが、体調不良で帰ったと聞くと心配になってきた。




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帰るところ 3

「ウンジョ・・・まだ寝ないのか?」
「春休みだから。」
九つ離れたスンジョの弟のウンジョはいつもあこがれている兄のそばにいたかった。

「お兄ちゃんも卒業式が終わってからいつも寝るのが遅いのに・・・本を広げていても、もう何日も同じページだよ。」
ウンジョの方が気が付いていた。
確かに本は広げているけれど、読んでいるつもりでも頭に入っていない。

「いいから・・寝ろ。」
ウンジョは兄に言い返すことはしない。
小学生の子供が深夜近くまで春休みでも起きていることはよくないし、いくら春休みでもさすがにこの時間に起きているのはと思ったのか、ウンジョはベッドに入って眠ることにした。

スンジョが眠れないのは、謝恩会でハニと言い争った後の出来事が、自分らしくなく気持ちが落ち着かなかった。
ハニの唇は柔らかく、少しヒヤッとするが温かかった。
なぜそうしたのか自分でもわからなかった。
ただ、ハニが言った一言が癪に障り、その言葉を途中で封じたかったから。

『大学生になったら、スンジョ君以外の人と出会い、恋愛をして楽しい思い出を作るの』


あいつは大学に勉強をしに行くのじゃないのか?
目的もなく大学に行くのは自分も同じかもしれない。
冷めた目で世間を見ている自分と、遊ぶ楽しさを堂々と言葉にするハニとは大差ないかもしれない。
リビングで母と話しているハニの声だけが、スンジョの耳によく聞こえた。

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帰るところ 2

聞かれていたの?

スンジョの母ファン・グミは勘が鋭い。
特に若い人たちの気持ちには、そこらの母親たちよりも敏感に感じ取るから、あの日帰宅してからは何があったのか気づかれないようにしていた。
気づかれないようにしていても、ハニには隠し通せる能力はなかった。

「特に何も・・・・」
「何もなかったの?」
胡麻化しても胡麻化しきれるだろうか・・・
「何もなかったと言っても、おばさんには隠し事はできないですよね。」
話が聞き出せると思ったグミの瞳は、まるで噂話が好きな若い女性のように瞳を輝かせていた。

「またやってしまったんですよ・・・・大切な記念の日なのに・・・おばさんがツーショット写真を撮ってくれたのに、それが台無しだったんです・・・」
「そうなの?」
「AクラスとFクラスが偶然に謝恩会の会場でニアミスして、些細なことでスンジョ君と喧嘩をしたんです・・・・」
こんな嘘のような話を信じてくれるとは思わないけど、今はこの話でこの場の私の気持ちを誤魔化したい。

「どうしてスンジョは乙女心をわからないのかしら・・・帰ってきたときのハニちゃんの赤い顔に、スンジョの落ち着かない態度が気になったから、キスでもしたのかしらと思ったのに違っていたのね・・・」
やっぱり聞かれていた、聞いたのにおばさんは聞いていない振りをしてくれた。
いつものように気づいていないことにしてくれている。
おばさんは、私のためにいつも気を使ってくれて、本当にありがたい。

「入学式までは、バイトで忙しいと思うからスンジョと顔を合わせないけど、仲直りをして楽しい大学生活を始めてね・・・・・おやすみ・・・」
寝室に向かって歩いているグミの後姿を、ハニは黙って見送った。
母を早くに亡くしたから、恋愛相談やつまらない愚痴話などを同年齢の子たちのような母と娘の出来事を思い出としてもこの先も残ることはできない。
自分の心の中だけでも、母親代わりに話を聞いてくれるグミを母親と思いたい。

「おばさんの言う通り・・・なんだが眠れそう・・・」
雑誌をまとめ、空になったマグカップを片付けると、静かに二階へ通じる階段を上がって部屋に向かった。


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