もう陽が上がる頃か

公務が残っていたわけではない。
寝殿に戻って休む気持ちにもならず、そのまま夜を過ごしていた。
尚膳に休む様に伝えても、王が起きているのに休むはずはない。
静かな空気が流れていたのが、少し怒りの混じった足音が聞こえると、尚膳が世子から取り次がよう言われている声が聞こえた。
尚膳が王の前に現れると、王が先に言葉を発した。

「世子を通しなさい。」
尚膳は王のそういった勘に驚くことはない。
足音だけで誰が来たのか王にはわかるのだから。
「父上!」
世子は顔を赤くして王を見ていたが、平然としていると思っていた王の顔は疲れていた。

「なぜ、母上の様子を見に行ってくださらないのですか?」
王は筆を置くと立ち上がり場所を移動して、自分の向かい側に世子を座らせた。

「今はお前の父でハニの夫としての時間で話す。お前の気持ちはわかる。ハニが辛い思いをしていても、出産には夫であっても付き添えない。このお産が命懸けで、年齢に加えお前を産んだ時に大変だったから、子を設けては行けなかった。それなのにお前を産んでからふたりも出産し、今回は双子だと告げられた時、母子とも危険な事だともわかる。だが、ここからは王としての考えを尊重しなければいけない。決して私情を出してはいけないと・・」

「母上は何度も気を失っています。」
「知っている。」
「それならどうして。」

王は机の上の紙を世子に見せた。
その内容に世子は立ち上がりそうなほどに驚き、父の顔を見て震え出した。

「無理です、まだ無理です。」
「王妃と相談して決めた。双子のどちらか或いはふたりとも皇子であってもそうではなくても決めた事だ。お前の弟や恵景妃の子供もいるが、後継者は世子・・スンリだ。それは変わらないが、お前の子供はその後継者として元子とする。早いかもしれないが、仲の良いお前たちでも野心を持つことになるかもしれない。それを避けるために決めた。」
わかっていだことではあるが、それ以上に驚いたのは別の事だった。

「半年後に、お前に譲位しようと決めた。」




人気ブログランキング