王妃は昨日昼頃から出産の兆候があり、宮殿中は緊張感が漂っていた。
世子を過酷な環境で出産したため、この先は子を授かることは難しいとされていたが、宮殿に戻り数年後にスンスク君を出産し、その後スンミ公主、スンギ君を出産し、弱っていた体の回復に時間は掛かったが、床に伏している時間はあったが、公務で忙しい王との時間よりも恵景妃と日中過ごしていた。

世子が妃を迎え、恵景妃が仏門に入ると宮殿を出てからは、寂しそうにしている王妃を気遣って、少しずつ世子に公務を任せていた。

優れた医官が揃っていても、40代になり双子を授かったとなれば、命に関わってくる。
授かった子よりも王妃を助けたいと言った王に、王妃は授かった子をこの世に生まれさせたいと、頑なに子を諦める事を拒んだ。

中殿から聞こえる苦しんでいる王妃を励ます尚宮の声が、遅い時間に聞こえていた。

「母上な様子は・・」
世子は母が心配になり、妃を伴って中殿を訪れた。
「明け方になると思われます。」
「体の弱い母上が双子を出産するのは父上も心配だと思う。大事に至らないよう皆もしっかりと母上を気遣ってください。」
世子は父と母が、恐らく初めてだと思う喧嘩をしていたのを知っている。
どちらも譲らなかった、今回の王妃の妊娠。
単体なら渋々でも王は許したが、多胎となると年齢もあり反対する気持ちも理解したが、何度も聞いた二人の喧嘩の会話に、どちらも頑固で譲らない所は幼い時からずっと近くにいたのだから似ているのだと思った。

「御医を!」
と医女が外に控えている尚宮にそう告げると、急いで内医院に向かった。



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