「責任がある役目だけど・・・・王命だからなぁ・・・」
ジュングは内密に渡された書簡と馬牌を夢でも見ているような目で眺めた。
馬牌の馬の数は2つでも、力のない行商人が持つには余りあるものだった。
「無理なら無理と言って返したら?」
「そんなことできるか!王命に逆らったら、オレだけでなくお前や年老いたお袋に、やっと授かったジュンユンの命もない。この国の民として、なんの力もない人間でも役に立つのなら・・・・王様はそれ以上に与えてくれたその役目は、世子様と会える機会を作ってくださったのかもしれない。」
ジュリは何も言わなかった。
王命を断ることはできないこともわかっていたし、夫であるジュングの心の中に消えない思い出があるから。
夫婦になって子宝に恵まれても、数年一緒に生活した王妃と世子との生活を忘れないようにしているから。
「わかったよ。私は旦那であるあんたを応援するよ。」
「ジュリ・・・・」
「国中を回る行商人なんだから、きっとあんたはちゃんと役目を果たせるよ。行商人として国中を回って色々な人とのつながりを持っているのだから、大人しく農作業や薬草摘みをするよりも、そこがあんたの居場所なんだよ。」
二人に付いている女官が、宴をしている方に向かっていた。
「ジュリ・・・・帰ろうか・・・」
「私はあんたに従うよ。」
言葉を交わさなくてもお互いにわかっていた。
送られた綺麗な服を着ていても、着慣れないせいもあるが落ち着かず場違いな気分だった。
世子に会って帰るより、言葉も交わさず会わないでこのまま宮殿を出た方がいい。
もう、泥だらけになって木に登り、坂道を走っていたスンではないのだから。
美しい嬪と並んで座っている姿を見ただけで十分だった。
あの小さいときから賢い子どもだったスンの居場所は、貧しい島の隙間風の入るあの家ではなく、広くて裸足で歩いても床のトゲが刺さることのないこの宮殿なのだから。
「あの・・・女官さん。出口の方に案内してくれないだろうか。」

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ジュングは内密に渡された書簡と馬牌を夢でも見ているような目で眺めた。
馬牌の馬の数は2つでも、力のない行商人が持つには余りあるものだった。
「無理なら無理と言って返したら?」
「そんなことできるか!王命に逆らったら、オレだけでなくお前や年老いたお袋に、やっと授かったジュンユンの命もない。この国の民として、なんの力もない人間でも役に立つのなら・・・・王様はそれ以上に与えてくれたその役目は、世子様と会える機会を作ってくださったのかもしれない。」
ジュリは何も言わなかった。
王命を断ることはできないこともわかっていたし、夫であるジュングの心の中に消えない思い出があるから。
夫婦になって子宝に恵まれても、数年一緒に生活した王妃と世子との生活を忘れないようにしているから。
「わかったよ。私は旦那であるあんたを応援するよ。」
「ジュリ・・・・」
「国中を回る行商人なんだから、きっとあんたはちゃんと役目を果たせるよ。行商人として国中を回って色々な人とのつながりを持っているのだから、大人しく農作業や薬草摘みをするよりも、そこがあんたの居場所なんだよ。」
二人に付いている女官が、宴をしている方に向かっていた。
「ジュリ・・・・帰ろうか・・・」
「私はあんたに従うよ。」
言葉を交わさなくてもお互いにわかっていた。
送られた綺麗な服を着ていても、着慣れないせいもあるが落ち着かず場違いな気分だった。
世子に会って帰るより、言葉も交わさず会わないでこのまま宮殿を出た方がいい。
もう、泥だらけになって木に登り、坂道を走っていたスンではないのだから。
美しい嬪と並んで座っている姿を見ただけで十分だった。
あの小さいときから賢い子どもだったスンの居場所は、貧しい島の隙間風の入るあの家ではなく、広くて裸足で歩いても床のトゲが刺さることのないこの宮殿なのだから。
「あの・・・女官さん。出口の方に案内してくれないだろうか。」

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