青白く透きとおる肌に長い睫毛が頬に影をつける。
目を閉じている母の顔を見て、どんな顔をしているのか、笑顔がどんなだったか記憶に無かった。
隣に座る弟は、幼いながらも落ち着いているのではなく、グッと涙を堪えているが、時々鼻を啜る音が聞こえた。
「こんな事前もあったの?」
「知らない。」
「知らないって、一緒に暮らしていたのはあなたしか宮殿にいないのだから、思い出しなさいよ。」
厳しく言う姉の言葉に、以前なら怒って手を挙げていたが、わずかな間に4歳の幼い子供でも自分の立場が理解できるようになったのか、落ち着いて母の姿を見つめていた。
「姉の言うことに無視するの?」
「師匠の教えを守っているだけです。」
「師匠って?」
スンはニコっと笑うだけで何も答えなかったが、思い起こせばスンが宮殿での生活に慣れてきた頃から、下着だけで裸足で庭園を走っている姿を見ることがなくなった。
東宮殿で両親と一緒に過ごしたのは一週間程。
その後、母の実家の遠縁にあたるソン・インが行動をともにするようになってからは、勉学にも熱心に取り組むようになったと女官の噂話を耳にした。
ソン・インとはどんな人なのか気になって東宮電の庭で遊ぶスンを見に来て、スンハはソン・インに心がときめいたのだ。
「スン?スンハもいたの?」
血色が戻った顔で、ハニは二人の子供に近くに寄るように頷いた。
「ごめんなさいね・・・驚かせて・・・」
「お・・・・驚かせないでください。お父様はいらっしゃらないし、御医は恵景妃の診察をしているからすぐに来られないと言うし・・・・独孤尚宮は薬も御医の指示通りに飲んでいると言っていたから、どうしてなのかわからないって・・・・」
スンハは少しずつソン・インに会いたくて東宮殿に来るようになってから、ハニに対しての気持ちが変わってきていた。
「ソン・インが母上を寝所まで連れてきてくれました。」
「ソン・イン・・・ありがとう。ただの貧血だから、この事は誰にも言わないでね。」
この一言が後に大変なことになるとは、誰も知らなかったが、恵景妃に出産の兆候が見られると連絡があったのはその日の夜だった。

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目を閉じている母の顔を見て、どんな顔をしているのか、笑顔がどんなだったか記憶に無かった。
隣に座る弟は、幼いながらも落ち着いているのではなく、グッと涙を堪えているが、時々鼻を啜る音が聞こえた。
「こんな事前もあったの?」
「知らない。」
「知らないって、一緒に暮らしていたのはあなたしか宮殿にいないのだから、思い出しなさいよ。」
厳しく言う姉の言葉に、以前なら怒って手を挙げていたが、わずかな間に4歳の幼い子供でも自分の立場が理解できるようになったのか、落ち着いて母の姿を見つめていた。
「姉の言うことに無視するの?」
「師匠の教えを守っているだけです。」
「師匠って?」
スンはニコっと笑うだけで何も答えなかったが、思い起こせばスンが宮殿での生活に慣れてきた頃から、下着だけで裸足で庭園を走っている姿を見ることがなくなった。
東宮殿で両親と一緒に過ごしたのは一週間程。
その後、母の実家の遠縁にあたるソン・インが行動をともにするようになってからは、勉学にも熱心に取り組むようになったと女官の噂話を耳にした。
ソン・インとはどんな人なのか気になって東宮電の庭で遊ぶスンを見に来て、スンハはソン・インに心がときめいたのだ。
「スン?スンハもいたの?」
血色が戻った顔で、ハニは二人の子供に近くに寄るように頷いた。
「ごめんなさいね・・・驚かせて・・・」
「お・・・・驚かせないでください。お父様はいらっしゃらないし、御医は恵景妃の診察をしているからすぐに来られないと言うし・・・・独孤尚宮は薬も御医の指示通りに飲んでいると言っていたから、どうしてなのかわからないって・・・・」
スンハは少しずつソン・インに会いたくて東宮殿に来るようになってから、ハニに対しての気持ちが変わってきていた。
「ソン・インが母上を寝所まで連れてきてくれました。」
「ソン・イン・・・ありがとう。ただの貧血だから、この事は誰にも言わないでね。」
この一言が後に大変なことになるとは、誰も知らなかったが、恵景妃に出産の兆候が見られると連絡があったのはその日の夜だった。

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