慣れていたはずの宮中での生活。
寂しさを感じるのは、人の往来で聞こえる音が無いからではなく、いつも側にスンが遊び、ジュングの母が薬草の話や染物の話をして聞いていたからなのかもしれない。
「独狐尚宮、スンはどうしていますか?」
「まだ宮中での生活に慣れておられないようで・・」
「慣れていないと言っても、ここでの生活にならなければいけないのに。」
スンはまだ冊封されていないため、大君ではないままだった。
「詳しく様子を教えて。」
独狐尚宮は言いにくそうだ。
ハニの耳にはスンの様子は伝わっていた。
勉強はするにはするが、休憩がしたいからひとりにして欲しいと言っては、自分に付いている女官が離れている隙に、部屋から出て宮廷内ではあるが庭の隅で空を見ていたり、部屋の戸を外から開けない様にしたりと、島にいた頃とは違う行動をしていた。
女官たちにしてみれば、子供とはいえ身分が高い人に怒ることもできず、怪我をさせては行けないと心配ばかりの日々だった。
それもあって、スンに就くことを嫌がる女官や宦官たちさえもいた。
「実は、木に登られて降りていらっしゃらなくて・・・」
「木登りはスンは慣れているから大丈夫よ。」
「それが・・郡主様のお部屋の前の宮殿の中でいちばん高い木なんです。」
木登りに慣れているスンでも、あの高さは初めてかもしれない。
「困ったわね。あの高さは初めてかもしれないわ、誰か登れる人がいればいいけれど。」
「私が行こう。」
その声はスンジョだった。
「いきなり慣れない環境で過ごすことになり、ずっと一緒にいた母とも別の離れた部屋で過ごし、寂しいのだと思う。」
「でも世子邸下が木に登られるのは・・・」
「登らないよ。」
木に登らないのならどうするのかは伝えてくれなくても、何か考えがあるのなら世子の言うことに従う事か正しいとハニは知っていた。

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寂しさを感じるのは、人の往来で聞こえる音が無いからではなく、いつも側にスンが遊び、ジュングの母が薬草の話や染物の話をして聞いていたからなのかもしれない。
「独狐尚宮、スンはどうしていますか?」
「まだ宮中での生活に慣れておられないようで・・」
「慣れていないと言っても、ここでの生活にならなければいけないのに。」
スンはまだ冊封されていないため、大君ではないままだった。
「詳しく様子を教えて。」
独狐尚宮は言いにくそうだ。
ハニの耳にはスンの様子は伝わっていた。
勉強はするにはするが、休憩がしたいからひとりにして欲しいと言っては、自分に付いている女官が離れている隙に、部屋から出て宮廷内ではあるが庭の隅で空を見ていたり、部屋の戸を外から開けない様にしたりと、島にいた頃とは違う行動をしていた。
女官たちにしてみれば、子供とはいえ身分が高い人に怒ることもできず、怪我をさせては行けないと心配ばかりの日々だった。
それもあって、スンに就くことを嫌がる女官や宦官たちさえもいた。
「実は、木に登られて降りていらっしゃらなくて・・・」
「木登りはスンは慣れているから大丈夫よ。」
「それが・・郡主様のお部屋の前の宮殿の中でいちばん高い木なんです。」
木登りに慣れているスンでも、あの高さは初めてかもしれない。
「困ったわね。あの高さは初めてかもしれないわ、誰か登れる人がいればいいけれど。」
「私が行こう。」
その声はスンジョだった。
「いきなり慣れない環境で過ごすことになり、ずっと一緒にいた母とも別の離れた部屋で過ごし、寂しいのだと思う。」
「でも世子邸下が木に登られるのは・・・」
「登らないよ。」
木に登らないのならどうするのかは伝えてくれなくても、何か考えがあるのなら世子の言うことに従う事か正しいとハニは知っていた。

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