もう少し実家で過ごしたい
床に伏している母の傍で心配をさせたことを償いたい
一途に想っている夫と離れることは辛いが、記憶を無くしていたとはいえ苦楽をともにできなかったことが悔やまれた。
側室は娶らないと言っていた夫が、側室を娶り皇子が生まれていた。
正室のという立場は重いものだと心の中にあり、ただ一人の男性として慕いずっと一緒にいたいという想いだけでは世子嬪としているのは荷が重かった。
宰相として宮殿にいることの多い父の代わりに、お転婆な自分と違い物静かな兄がいてくれたから怪我をすることがなかった。
「お母様の病は重いのですか?」
「おそらく夏を迎えることはできない・・・・」
夏を迎えることはできない・・・・夏までそれほど日にちはない。
ハニは座っていても足から力が抜けていく気がした。
「ハニのこともあったが、ハナの残りの人生を静かに過ごしたいと思って宰相を退こうと決めた。しかし良かったよ・・・・」
「良かった?」
妻の看病と娘が行方不明になったことでやつれた父の顔に穏やかな笑みが浮かんだ。
「明日、ハナが好きな別邸に静養に行くことになっていたんだ。向こうにはギドクが家族を連れて行っているから・・そこで最期を迎えることになっている。」
父はそうハ二に伝えてから、あえて娘にを突き放すような言葉を告げた。
「父が文を届けるからいるべき場所に帰りなさい。今は呉家の娘ではなく、皇位継承者の妻だということを頭に入れなさい。父も母もそれが一番大切なことだと思う。」
きっぱりと言った父の言葉にハニ何も言葉を返すことができなかった。

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床に伏している母の傍で心配をさせたことを償いたい
一途に想っている夫と離れることは辛いが、記憶を無くしていたとはいえ苦楽をともにできなかったことが悔やまれた。
側室は娶らないと言っていた夫が、側室を娶り皇子が生まれていた。
正室のという立場は重いものだと心の中にあり、ただ一人の男性として慕いずっと一緒にいたいという想いだけでは世子嬪としているのは荷が重かった。
宰相として宮殿にいることの多い父の代わりに、お転婆な自分と違い物静かな兄がいてくれたから怪我をすることがなかった。
「お母様の病は重いのですか?」
「おそらく夏を迎えることはできない・・・・」
夏を迎えることはできない・・・・夏までそれほど日にちはない。
ハニは座っていても足から力が抜けていく気がした。
「ハニのこともあったが、ハナの残りの人生を静かに過ごしたいと思って宰相を退こうと決めた。しかし良かったよ・・・・」
「良かった?」
妻の看病と娘が行方不明になったことでやつれた父の顔に穏やかな笑みが浮かんだ。
「明日、ハナが好きな別邸に静養に行くことになっていたんだ。向こうにはギドクが家族を連れて行っているから・・そこで最期を迎えることになっている。」
父はそうハ二に伝えてから、あえて娘にを突き放すような言葉を告げた。
「父が文を届けるからいるべき場所に帰りなさい。今は呉家の娘ではなく、皇位継承者の妻だということを頭に入れなさい。父も母もそれが一番大切なことだと思う。」
きっぱりと言った父の言葉にハニ何も言葉を返すことができなかった。

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