スンジョとスンハと一緒の旅行に、ハニはどこに行こうか考えていた。
狭いハニの部屋で親子三人が一緒に時間を過ごすのは随分と久しぶりの事だった。
ソウルに出るまでは、広すぎる部屋、帰省のたびに使っていた時は気づかなかったが、狭い部屋でスンジョと過ごすのは少し気恥ずかしく感じた。
静かに部屋のドアが開いて、風呂から上がったスンジョとスンハが入ってくると暖かい空気が頬にあたった。
「ママ、お待たせ!パパをお返しします。」
元気にそう言うとベッドに飛び込み、ハニ達の方をニコニコと笑顔を見せていた。
「お返し?」
ハ二がスンハに聞き直すと、なにか意味ありげに笑う顔は、とても幼い子供とは思えない笑顔だった。
「ママ、パパが来てからすごく嬉しそう。スンハも嬉しいけど、一緒にお風呂に入ってお話したから返すの。」
それは『パパとママでたくさん話してね』という、スンハの言葉でもあった。
スンハは両親が仲良くしているのを見るのが好きだった。
子供の前でもスンジョはハニに心の中に秘めている思いを表していたことはなかったが、言葉で伝わらないことでも子供のスンハには伝わっていたの。
「旅行に行くってスンジョ君が言っていたけど、夏休みが近い時期だしホテルとか予約できるのかなぁ・・・」
「行き先は決まっている。」
「どこ?」
「今のハニの体では遠くへの旅行は無理だろう。」
「海外旅行じゃないなら・・・・」
ハ二が開いている旅行会社のパンフレットをスンジョは閉じると、横に椅子を持ってきてハニの肩に手を当てた。
「オレがハ二を悲しませていたから随分痩せたし、それにいつ子供が生まれてもおかしくない時期だ。よくソウルからここまでの移動にもなんともなかったけど、ここからソウルに戻るには少し心配だ。オレは多分先に渡米することになるけど、子供が生まれて落ち着いたらまた迎えに来る。向こうに行ったら帰国はいつになるのかわからないから、ハ二が生まれてからソウルに行くまでの間生活した街を見て過ごしたい。」
「つまらないよ、私の育った街って・・・・平和で静かで流れる時間がゆっくりで・・・」
「オレはそういう空間で育っていないから知りたいよ。ハ二がオレに一途に思ってくれる理由もわかる。それが分かれば、オレも素直に気持ちを伝えられるかもしれない・・・・」
スンジョはそう言うと、後ろからスンハが見ていることに気が付きながら、ハ二の唇にキスをした。
そのキスは、二人の気持ちと心がすれ違う前に味わったことのある甘くて酸っぱいキスだった。

人気ブログランキング
狭いハニの部屋で親子三人が一緒に時間を過ごすのは随分と久しぶりの事だった。
ソウルに出るまでは、広すぎる部屋、帰省のたびに使っていた時は気づかなかったが、狭い部屋でスンジョと過ごすのは少し気恥ずかしく感じた。
静かに部屋のドアが開いて、風呂から上がったスンジョとスンハが入ってくると暖かい空気が頬にあたった。
「ママ、お待たせ!パパをお返しします。」
元気にそう言うとベッドに飛び込み、ハニ達の方をニコニコと笑顔を見せていた。
「お返し?」
ハ二がスンハに聞き直すと、なにか意味ありげに笑う顔は、とても幼い子供とは思えない笑顔だった。
「ママ、パパが来てからすごく嬉しそう。スンハも嬉しいけど、一緒にお風呂に入ってお話したから返すの。」
それは『パパとママでたくさん話してね』という、スンハの言葉でもあった。
スンハは両親が仲良くしているのを見るのが好きだった。
子供の前でもスンジョはハニに心の中に秘めている思いを表していたことはなかったが、言葉で伝わらないことでも子供のスンハには伝わっていたの。
「旅行に行くってスンジョ君が言っていたけど、夏休みが近い時期だしホテルとか予約できるのかなぁ・・・」
「行き先は決まっている。」
「どこ?」
「今のハニの体では遠くへの旅行は無理だろう。」
「海外旅行じゃないなら・・・・」
ハ二が開いている旅行会社のパンフレットをスンジョは閉じると、横に椅子を持ってきてハニの肩に手を当てた。
「オレがハ二を悲しませていたから随分痩せたし、それにいつ子供が生まれてもおかしくない時期だ。よくソウルからここまでの移動にもなんともなかったけど、ここからソウルに戻るには少し心配だ。オレは多分先に渡米することになるけど、子供が生まれて落ち着いたらまた迎えに来る。向こうに行ったら帰国はいつになるのかわからないから、ハ二が生まれてからソウルに行くまでの間生活した街を見て過ごしたい。」
「つまらないよ、私の育った街って・・・・平和で静かで流れる時間がゆっくりで・・・」
「オレはそういう空間で育っていないから知りたいよ。ハ二がオレに一途に思ってくれる理由もわかる。それが分かれば、オレも素直に気持ちを伝えられるかもしれない・・・・」
スンジョはそう言うと、後ろからスンハが見ていることに気が付きながら、ハ二の唇にキスをした。
そのキスは、二人の気持ちと心がすれ違う前に味わったことのある甘くて酸っぱいキスだった。

人気ブログランキング