オ家の屋敷は10数年ぶりに人の気配があった。
当時の使用人の数ほどではないが、 オ・ギドンの濡れ衣が晴れて復職の話が進んでいると人づてに聞いた使用人が戻り始めていた。
「旦那様、奥様の部屋も以前のままになりました。」
「ご苦労様・・・・」
妻のハナが自分の部屋に戻ることはないと分かっていても、使用人が整えてくれたのはそれだけハナが使用人にも慕われていたことを証明していた。
この屋敷でたくさんの子供と暮らしたい・・・・
それがハナと婚礼を挙げた日の夜に二人で誓った言葉だった。
ギドンは戦や病で3歳年上の兄と年の離れた弟と妹を亡くしたが、ハナの姉は異国の地に嫁いで行き両親もハナが嫁いで数年で相次いで亡くなり天涯孤独の身になった。
お互い両班でもつましく暮らすことを好んでいたから、オ家の屋敷もあまり華やかな暮らしではないが、庭の紅梅と白梅にはとても手をかけていた。
病弱なうえなかなか子宝に恵まれないからと、ハナはこの紅梅と白梅をとても大切にしていた。
ペク家の白梅ほどではないが、立派な白梅の木は親友の証として科挙の試験に仲の良い3人が一緒に合格したことを記念に枝をもらい受けて、紅梅はハナが実家の庭から移植してきたのだった。
「旦那様・・・紅梅と白梅は、奥様の乳母のパルボクさんが手入れを欠かさなかったのですよ。」
「そうですか。毎年花はどんな様子に咲いていたのですか?」
「それはそれはとても見事に咲き、この屋敷だけではなくご近所の方の家にも香りが届くようでしたよ。」
「パルボクさんも呼んだら戻ってきてくださるでしょうか。」
「きっと、戻ってきてくださいますよ。奥様の忘れ形見の娘様のお嬢様に会えるのを楽しみにしていましたから。」
パルボクにはハナが生んだ娘と再会したことを伝えていた。
パルボクは乳母としてハナを自分の家に連れてこなかったことを、とても悔やんでいたがそれはハナが望んだことだった。
たとえ濡れ衣でも、罪を犯した者の妻を匿うわけにはいかない。
いつかそれが晴れた日に、必ずパルボクの元に訪れるとハナがパルボクを説得したのだった。
庭を見ていたギドンが、部屋の方に体の向きを変えたとき、慌ただしく門から入ってくる人の気配を感じた。
「オさん、オ・ギドンさん・・・・お見えでしょうか!」
「あの声は、ポン様のご子息さんの声ですね。慌てているようですよ。」
ギドンは急いで玄関に行くと、ポン家のジュングと気を失っている妓生を抱いたペク家のスンジョが立っていた。
スンジョの胸に抱かれているのは、ハナの忘れ形見のハニだとはっきりと分かった。

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当時の使用人の数ほどではないが、 オ・ギドンの濡れ衣が晴れて復職の話が進んでいると人づてに聞いた使用人が戻り始めていた。
「旦那様、奥様の部屋も以前のままになりました。」
「ご苦労様・・・・」
妻のハナが自分の部屋に戻ることはないと分かっていても、使用人が整えてくれたのはそれだけハナが使用人にも慕われていたことを証明していた。
この屋敷でたくさんの子供と暮らしたい・・・・
それがハナと婚礼を挙げた日の夜に二人で誓った言葉だった。
ギドンは戦や病で3歳年上の兄と年の離れた弟と妹を亡くしたが、ハナの姉は異国の地に嫁いで行き両親もハナが嫁いで数年で相次いで亡くなり天涯孤独の身になった。
お互い両班でもつましく暮らすことを好んでいたから、オ家の屋敷もあまり華やかな暮らしではないが、庭の紅梅と白梅にはとても手をかけていた。
病弱なうえなかなか子宝に恵まれないからと、ハナはこの紅梅と白梅をとても大切にしていた。
ペク家の白梅ほどではないが、立派な白梅の木は親友の証として科挙の試験に仲の良い3人が一緒に合格したことを記念に枝をもらい受けて、紅梅はハナが実家の庭から移植してきたのだった。
「旦那様・・・紅梅と白梅は、奥様の乳母のパルボクさんが手入れを欠かさなかったのですよ。」
「そうですか。毎年花はどんな様子に咲いていたのですか?」
「それはそれはとても見事に咲き、この屋敷だけではなくご近所の方の家にも香りが届くようでしたよ。」
「パルボクさんも呼んだら戻ってきてくださるでしょうか。」
「きっと、戻ってきてくださいますよ。奥様の忘れ形見の娘様のお嬢様に会えるのを楽しみにしていましたから。」
パルボクにはハナが生んだ娘と再会したことを伝えていた。
パルボクは乳母としてハナを自分の家に連れてこなかったことを、とても悔やんでいたがそれはハナが望んだことだった。
たとえ濡れ衣でも、罪を犯した者の妻を匿うわけにはいかない。
いつかそれが晴れた日に、必ずパルボクの元に訪れるとハナがパルボクを説得したのだった。
庭を見ていたギドンが、部屋の方に体の向きを変えたとき、慌ただしく門から入ってくる人の気配を感じた。
「オさん、オ・ギドンさん・・・・お見えでしょうか!」
「あの声は、ポン様のご子息さんの声ですね。慌てているようですよ。」
ギドンは急いで玄関に行くと、ポン家のジュングと気を失っている妓生を抱いたペク家のスンジョが立っていた。
スンジョの胸に抱かれているのは、ハナの忘れ形見のハニだとはっきりと分かった。

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