離れていくハ二の後ろ姿をスンジョは、賀美に刺している簪が目に入った。
あの年齢の娘が挿すには年相応ではないが、華やかでもないのにとても高価な品物に見えた。
「若様・・・どうかなされましたか?」
「・・ぁあ・・あのハ二の挿している簪は、彼女が挿すには年相応に見えないですが・・・」
「ハ二の母親の形見ですよ。」
形見・・・
「お披露目をきっと母が見たいと思って挿しているのです。お客の前に出る前の時間で、墓に眠っている母親に見せに行ったのですよ。」
「父親は・・・・・」
女将はクスッと笑った。
そしてスンジョはなぜ女将が笑ったのか分からず、その顔をしばらく眺めていた。
「若様・・・ハニは妓楼で生まれ育った娘です。父親とは一度もあったことはないのですよ。」
同じくらいの年頃なのに、ハニと自分が随分と環境が違うのだと知った。
妓楼で生まれ育ち、妓生になるしか無いハニと、両班の嫡子でいずれは官吏になり将来は安定している自分。
妓楼に来たことはなくても、妓楼にいる妓生は身請けをされない限り外に出ることもできないが、年齢を重ねれば居場所も無くなる。
華やかに着飾っても、将来が安定している自分とは全く違う環境だ。
身寄りがないハニの将来はどうなるのだろう。
人混みで隠れていくハ二の後ろ姿を探さずにはいられなくなり、スンジョはその後を付いて行った。
女将はあとをついていくスンジョに、なにか意味ありげな表情をしてみていたが、誰かに呼ばれて店の中に入っていった。
人混みから抜け出たハニは、誰かに付けられていることに気が付き、どこかに隠れようかと目で探しながら歩いた。
今までも母の墓に行く道だから、隠れる場所がどこにあるのかわかっているが、初めて感じるその視線に戸惑っていた。
妓生としてきれいに化粧をして結い上げた髪は、今までは人に見られることはなかったが、初めて感じるその視線に、緊張と恐怖で身体に力が入ってきた。

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あの年齢の娘が挿すには年相応ではないが、華やかでもないのにとても高価な品物に見えた。
「若様・・・どうかなされましたか?」
「・・ぁあ・・あのハ二の挿している簪は、彼女が挿すには年相応に見えないですが・・・」
「ハ二の母親の形見ですよ。」
形見・・・
「お披露目をきっと母が見たいと思って挿しているのです。お客の前に出る前の時間で、墓に眠っている母親に見せに行ったのですよ。」
「父親は・・・・・」
女将はクスッと笑った。
そしてスンジョはなぜ女将が笑ったのか分からず、その顔をしばらく眺めていた。
「若様・・・ハニは妓楼で生まれ育った娘です。父親とは一度もあったことはないのですよ。」
同じくらいの年頃なのに、ハニと自分が随分と環境が違うのだと知った。
妓楼で生まれ育ち、妓生になるしか無いハニと、両班の嫡子でいずれは官吏になり将来は安定している自分。
妓楼に来たことはなくても、妓楼にいる妓生は身請けをされない限り外に出ることもできないが、年齢を重ねれば居場所も無くなる。
華やかに着飾っても、将来が安定している自分とは全く違う環境だ。
身寄りがないハニの将来はどうなるのだろう。
人混みで隠れていくハ二の後ろ姿を探さずにはいられなくなり、スンジョはその後を付いて行った。
女将はあとをついていくスンジョに、なにか意味ありげな表情をしてみていたが、誰かに呼ばれて店の中に入っていった。
人混みから抜け出たハニは、誰かに付けられていることに気が付き、どこかに隠れようかと目で探しながら歩いた。
今までも母の墓に行く道だから、隠れる場所がどこにあるのかわかっているが、初めて感じるその視線に戸惑っていた。
妓生としてきれいに化粧をして結い上げた髪は、今までは人に見られることはなかったが、初めて感じるその視線に、緊張と恐怖で身体に力が入ってきた。
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