大好き!<イタズラなKiss>

韓国版イタズラなKissが大好きです。 切ないお話しか書いていないので、お好みではない方はスルーしてください。

2022年09月

秋桜の丘で 60

それが私だ・・・・

「パパ、その子供って私だよね?」
「いや・・・違うよ。その子は生まれなかったというか生まなかった。」
「どうして?」
父の表情が曇って聞いてはいけないことなのかもしれないと思ったが、それを聞きたい気持ちの方が強かった。

「強い薬で治療中だったからね・・・担当の医師に相談して、今回はあきらめようという事になった。ママは泣いていたよ。この先いつまで生きられるかわからないのに、母親になることができないのは辛いって・・・ばあちゃんは、医学の進歩はめまぐるしいから大丈夫だと言ってね。ばあちゃんはパパに聞いたんだ『ハナは何年生きられるかわからない。もしまた次に子供が出来たときに、その子の成長を見届けることが出来ないが、それでもハナを嫁にもらってくれるか?』ってね。物心ついているころからいつも一緒にいたから、これからも一緒にいたい。もしかしたら、いい治療が見つかって病気が治るかもしれない。ハナ以外の人とは結婚はしないって・・・・」

父の想いは母との思い出が少ないハニの心に響いた。
母が亡くなってから父と離れて暮らしていたが、一度も一緒に暮らせないことに不満を持ったことはなかった。
父と亡くなった母と祖母の想いが、理解できなくてもハニには伝わっていたのだ。

「ソウルは都会で、新しい治療法も国からの援助で負担なく続けられた。盛大な式は挙げられなかったけど、花嫁衣裳を生まれ育った土地で皆に披露もできた。担当の医師と相談して、どうしても子供が欲しいからと何度も頼んだけど、あまりいい返事はなかった。子供がおなかに出来たときに治療を中断しないといけない。その場合いい方に行くか悪い方に行くか判断ができないからね・・・でもママは、一つの夢は叶えられなくてもいいから、母親になりたい方を選んだ。結婚して7年後にハニが生まれたんだよ。」

父の涙が水晶のようにきれいに光って頬を伝っていた。
その涙は、きっと母への想いと同じくらいに尊い物だった。

「ハニがママのお腹にいるときは、仕事でパパの帰りが遅くなるからばあちゃんの家に戻って暮らしていた。何もしないよりは何かしていたいといつもママはそう言って、スチャンの家の別荘の庭をいつも手入れして、あの広い土地で秋桜がたくさん咲くようになったんだよ。」
秋桜の丘の花は、パパやママとスンジョ君のお父さんの思い出の場所なんだ。
そしてその思い出の場所は、また私の思い出の場所で・・・・・だから、私はスンジョ君と出会ったのかもしれない。

「ママの叶わないあきらめた夢って何?」
「ハニの成長だよ。いつか素敵な人と出会って、素敵な家庭を持って自分が叶えられなかった夢をハニに叶えてもらいたい。ママが亡くなる時のその願いがあるから、亡くなった後にばあちゃんの家に預けたんだ。」
一度も聞いたことのなかった、自分が父と離れて暮らした理由。
両親の想いは、ハニの心に深く残った。



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秋桜の丘で 59

ママの病気の進行速度はゆっくりだが、良くなる病気ではなかった。
大学を卒業しても、ママは治療があってアルバイトで生計を立てていた。ソウルは物価が高くていつまでもばあちゃんの仕送りに頼れないと心配していたから、それならパパと一緒に暮らそうと話したんだ。ただ夫婦でもない男女が一緒に住むのはいけないから結婚する事にした・・・・ばあちゃんは先の見えない病気のママと結婚するのにすぐに賛成はしなかった。
一緒に暮らしたけど、まだ見習のパパの給料は少なくて結局ママはアルバイトをして生活費を工面した。
毎日が忙しくて、いつの間にかスチャンと連絡も取らなくなった。
それどころかある日ママが突然姿を消して・・・・・

ママが姿を消して悲しそうな顔をするどころか、パパは嬉しそうな顔をしている。
どうしたのだろう・・・・

ソウルでの知り合いはそれほど多くなかった。
スチャンを頼ろうにも、親の会社のハンダイに行けば教えてくれるかもしれないが、あまりにも大きくて受付で聞く事も出来ず、住んでいる所も電話番号も聞いていなかったから途方に暮れていた。
ママが行きそうな所なんて、どこにもない。
ばあちゃんに会いに行って事情を話す事にした。

「おばさん・・・・」
「ギドン、来たのか?」
「はい・・・おばさんに謝らなければいけない事が・・・・・」
「謝らなければいけない事?疾しい気持ちがあるのか?」
「疾しい気持ちって・・・それはないです。ハナが突然いなくなって・・・」
ばあちゃんは笑っていたんだ。
笑って店の奥の方に顎を指したんだ。
するとママが奥から出て来た。
青い顔をして出て来たママとは反対に、ばあちゃんはニコニコと笑っていた。

「ハナや・・・ギドンが迎えに来たから自分の口でちゃんと言いなさい。」
ママから別れの言葉を聞かされると思った。
聞きたくない、聞きたくないけど聞かなければいけない。
収入も少ないし、病気のママにアルバイトまでさせていたのだから。
ママは消えそうなほどに小さな声で言ったんだ。

「春になる頃に・・・・母親になるの・・・・」


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秋桜の丘で 58

「ハニは、どうしてママが秋桜の種を蒔いたのか知りたいのだろ?」
「うん、知りたい。ママとの思い出が少ないから、どんな些細な事も知りたいの。」
対等に話ができるようになった娘に、ギドンは照れた笑顔を向けた。

「何から話していいのかな・・・・」
「何でもいいよ。」
ギドンは一口アイスクリームを頬張り、しばらく考えてから口を開いた。
「ママとは物心ついた時から一緒だった。特別に裕福な家庭ではなかったが、あの町ではそこそこ恵まれた家庭で育った。スチャンとは中学からの友達で、金持ちなのに気取らない所はペク家の血筋で、学校でも信頼が厚かったよ。三人はいつも一緒で、大学も同じ所に行こうと決めていたけど、パパもママもスチャンとは違いテハン大の楽に入れる成績ではなかった。パパの両親は高校の時に事故で亡くなって、それからはママの実家で世話になったよ。」

祖母の店≪パルボク食堂≫で世話になあった事は、祖母から『ハニの両親は幼馴染』と聞いていたから知っていたが、初めて父から聞く両親の話にワクワクとして聞いていた。

「不幸は続けて起きるのか、ママのお父さん・・・ハニのじいちゃんが長く患っていた病気で亡くなってしばらくした頃、ママも同じ病気になっている事が分ったんだ。週末にテハン大病院に治療に通っていたが、一人で行かせるのは不安だからと店を休めないばあちゃんの代わりにパパが付き添った。辛い治療にママも頑張ってな・・・・・」
涙ぐむ父にハニはティッシュを一枚渡した。

「その前に、秋桜の花の事を話さないといかんかったな。あれは、ママの病気が分った時にスチャンの今の別荘に種を蒔いたんだ。秋桜は花の少ない秋に風に揺らめいて咲くのが淋しさを感じない。白は自分でピンクはパパ、紫はスチャンと言っていた。」
「ママがピンクじゃないの?」
「パパはすぐに顔がピンク色になるからピンクで、スチャンは頭が良くて落ち着いているから紫。自分が白なのは、先が見えないから白だ・・・と言っていた。」
柔らかくなってきたアイスクリームをギドンは急いで食べると、空の容器をビニールの袋に入れた。

「病気の進行も小康状態になった時に急に医学部に行きたいと言い出した時は、ばあちゃんも学校の先生も驚いたよ。なにしろテハン大の医学部に行きたいと言うから。みんなが無理だというのに、ママは自分と父親が罹った病気について知りたいと言うのが理由だった。さすがに努力しても受かる事は難しいから看護学部を受験したよ。今はテハン大看護学部ではなく医学部看護学科だけど、それでも医者になる人たちと同じくらいに勉強をしたよ。」
「ママが看護師になったって、おばあちゃんから聞かなかったよ。」
「看護師の試験は受けなかったんだ・・・受験する頃にまた再発してしまったから。大学だけは卒業したけどね・・・・」



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秋桜の丘で 57

まだ眠る時間に早くはないが、買って来たばかりの雑誌を見るのにハニは夢中になっていた。
コンコン・・・
グミとは違うノックの音。
「パパ?」
「起きていたか?ハニの好きなアイスクリームを買って来た。食べないか?」
久しぶりに聞いた父の声。
店が忙しいと同じ家に住んでいても会う事はあまりなく、昔から父の所に来た時に遅い時間に好きなアイスクリームを食べながら過ごす時間も久しぶりだった。

「どうぞ・・・・」
ギドンはハニの部屋を見回して、アイスクリームの入った袋を持って入って来た。
「今時の娘はこんなに遅い時間にアイスクリームを食べたら太るというんじゃないか?」
「私はいいの・・・・・」
美味しそうに頬張っている娘の顔を、父は愛おしそうに見ていた。
長く一緒に暮らさなかったが、会いたくて仕方のなかった娘は、知らず知らずのうちに最愛の妻と面差しが似て来た。

「どうしたの?」
「ハニはママによく似て来たな。」
「本当?私はママの事をあまり覚えていないけど、似て来たと聞くと嬉しいし、寂しい時にママに会いたくなったら鏡を見るわ。」
自分をじっと見ている父の視線に照れたように、何か誤魔化そうと考えていた。

「どうした?」
「う・・・・ん・・・・」
ふと思い出した秋桜の花と母の事。
「おばあちゃんの家の裏の別荘の秋桜の花は、ママが種を蒔いたの?」
「誰に聞いた?グミおばさんから・・・」
「うん。私が秋桜が好きなのは、ママが種を蒔いたからなんだね。」
父のどこか悲しくて懐かしい表情に、ハニは父をもしかしたら悲しませてしまったのではないかと思った。



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秋桜の丘で 56

「二人っきりで緊張しているのか?」
それはハニに言ったようで、実はもしかしたら自分に言っていたのかもしれない。
「緊張なんて・・・お風呂に入っているときに覗かないでよ。」
「覗くか、お前の幼児体系を見て欲情するとでも思っているのか?」
「なっ!・・・・」
「ついでに言っておく、お前が寝ている間に忍び込むことなんてないから、心配ならバスルームも部屋もカギをかけておけ。」
ピンク色のハニの顔は秋桜のようで心が揺らめいたが、顔に血が上り真っ赤になったのを見て、スンジョは面白かった。

きっとこの先ずっとグミはこうして二人を結び付けるきっかけを作るだろうが、その度にうろたえたり怒ったり動揺していては切りがないだろう。
ここは自分の中で目覚めてきた想いを封じ込めるのが一番自分自身にもハニにもいいだろう。
お袋がどんなことを企てても、責任のとれない行動はしない。
それが自分自身のためにもなるのだから。

本人が否定しても、ハニはスンジョのことが好きになりかけていたし、その思いはスンジョにも伝わっていた。
幼い頃のトラウマが解消されるまで、人に心を許すことはしたくない。
あの秋桜の丘で出会った時の幼い頃の消えてしまいそうな淡い想いは、スンジョにとっては大切な想いだった。


二人っきりで過ごした夜から数日たってグミは向こうで合流したスチャンと一緒に帰ってきた。
「二人っきりの夜はどうだった?」
グミは『二人っきり』という所だけ強調して聞いてきた。
「パパもいないし、ちょっと不安だったけど大丈夫でした。」
「本当に?」
「本当です。」
もちろんハニが言ったことは本当だろう。
だけど、グミは違う意味で聞いていた。
「お兄ちゃんは無理をハニちゃんにしなかったかしら?」
「全然、むしろ優しかったです。私のオムライスも作ってくれたので。」
「オムライス・・・・・そうなの・・・」
少しがっくりしたような表情を見せたグミの顔を見て、スンジョは面白くてクスッと笑った。



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