大好き!<イタズラなKiss>

韓国版イタズラなKissが大好きです。 切ないお話しか書いていないので、お好みではない方はスルーしてください。

2022年02月

桜色の想い 45

ジュングの足音が遠くなると、スンジョは書物を広げて手巾を手にした。
誰にも言えない想い。
両親や祖母には気が付かれていたが、どれくらいハニが大切なのは隠していた。
桜の木の下で泣いていたハニは、まだ幼くて覚えていないかもしれないが、つい昨日のことのようにスンジョは記憶していた。
産まれた時からずっと一緒だった。
本当の兄妹じゃない事も、随分前に気が付いていたが敢えて知らないふりをしていた。
当たり前のようにハニがそばにいたから、ずっと傍にいてくれると思っていた。

ユン家のヘラとの事は突然ではあったが、自分を兄と慕うハニの為に自分の気持ちを閉じ込めた。
ヘラは自分の許嫁となっているが、そんな関係だとは一度もなかった。
父からも許嫁の事は聞いていなかったが、ただ成均館に入るためにユン家に赴いていた事がいつの間にかそうなっていた。

ハニが施した刺繍を指でなぞり、それを口づけるとハニの気持ちが伝わってくる気がした。
ジュングに嫁ぐのか?
大人になって自分に力が付いたらはっきりとするつもりでいた。
兄としか思っていなくても、一度も妹と思った事はなかった。
傍にいてくれるだけで、心が幸せに感じていたのは、ハニが自分だけを信じてくれていたから。
ポン家のジュングに嫁げば、もうその役割を自分がしなくなるのは・・・・・・

スンジョは書物を閉じると、思い立ったように立ち上がった。
部屋の戸を開けるとまだ陽は高く、寮生たちは外出をしているのか静かだった。

ジュングはハニに会うのだろうか。
ハニがジュングに笑いかけているのを見るのは辛いが、ジュングと会う前にハニと会いたかった。

「スンジョ・・・出かけるのか?」
そう声を掛けられたがスンジョの耳には聞こえない。
「珍しいな、あいつがこの時間に出かけるのは。」
「人の話に返事をしないくらい慌てているのも珍しい。」
いつも部屋で勉強ばかりをしているスンジョを悪く言う人はいなかった。
文武両道の模範生を、やっかむ人はいるかもしれないが、完璧すぎるスンジョに誰も対抗する人はいなかった。




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桜色の想い 44

ミナは不思議だった。
仕えている立場の自分から、何かをハニに言う事はしたくはないが、衝撃的な事実を知ったのに何事もなく毎日を過ごしていたから。
その何事もなく過ごしている様子も、本当はそうしようとしているのだろう。

「これは、ミナにあげるわ。」
薄緑色の淡い色はミナの好きな色。
絹の手巾はその薄緑色が不思議とハニの心を映しているように思える。
「私が絹の物を持つことは・・・・・」
「大丈夫よ。別に誰かに見せるのでもないし、私の日ごろの感謝の気持ちよ。」
ミナに渡した絹の薄緑色の手巾に、ハニが好きな桜の花の刺繍が施され、薄緑色に映える鶯がハニの心の中を表しているように泣いている姿だった。

「ねえ・・・これから街に出かけない?」
「奥様がお留守なので・・・」
「ウンジョはお昼寝中でしょ?乳母に言づけて行けばいいわ。」
ハニが自分から出かけるという事は今までほとんどなかった。
「すぐに準備をします。どちらに出かけられるのですか?」
「ヘラ様のおば様から教えていただいたお店よ。あのお菓子・・・私を産んでくださったお母様を思うの。顔も覚えていないのだけれど、事実を知ったらそれを見るだけでお母様を思いたいの。」
ミナはそれ以上何も聞かなかった。



「スンジョ・・・今いいか?」
「どうぞ。」
スンジョは開いていた書物に手巾を挟み閉じた。
「またお前は勉強をしていたのか。たまには街に出てみないか?門限までに戻れば大丈夫だろう。」
「人混みは好きではないので。」
「お前は真面目だな・・・たまに外出はするけど、自分の屋敷には帰らないのか?」
ジュングはスンジョがユン家に行く事は知っていたが、なぜ自分の屋敷に帰らないのか不思議に思っていた。
許嫁であるユン家のヘラに会いに行っているようでも、ヘラに愛情があるようには思えなかった。
家同士の繋がりでの許嫁でも、愛情を感じられないスンジョの態度に、ある疑問を持っていたがそれを口にすると、自分の婚姻にも関わってくるため口にする事はなかった。

「じゃあ・・・出かけるよ。お前の妹とオレとの結婚に承諾したよ。」
スンジョの瞳が一瞬動いたが、それにジュングは気が付く事はなかった。



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桜色の想い 43

一人で部屋に横になっていると、考えるのは孤独感だった。
天井を見ていると思い出すのは、兄と遊んでいる様子をいつも笑顔で見ていた父と母の顔。
産まれた時から一緒にいた兄は、血の繋がりのない兄。
自分を慕ってくれている弟も、血の繋がりのない弟。。

「私の居場所はない・・・・・」
溢れる涙が流れる顔を覆うようにハニは両手を乗せた。
声を押し殺し泣いていると、温かい手がハニのその手に触れた。
「ハニは私の娘よ。だからずっとこの屋敷にいてもいいのよ。」
涙が止まらなかった。
悲しみと絶望が、この先の人生を真っ暗にしていたが、母の優しい言葉に救われた。
「ハニはハナさんが産んだ大切な娘。体の弱かったハナさんは、一日のほとんどを布団の中で過ごしていたの。長くは生きられないと分かっていたから、ハナさんは自分がいなくなったらハニを娘として育て、嫁がせてほしいとよく言っていたわ。それがハニを苦しめたのね・・・・」
「お母様・・・・」

ハニは辛かった。
苦しいのはペク家の本当の娘ではないと知った事だけじゃない。
報われない兄への想いに苦しいだけではなく、実の父や母の事を知ったからだけでもない。
運命に逆らえないのなら、今までの自分から変わらなくてはいけない。

「ハニ・・・・スンジョが好きなのよね?」
「お母様。」
「知っていたわ。スンジョもハニの事を・・・うまくいくように・・・・」
ハニは自分の体に触れている母の手をそっと離した。
「産まれた時から一緒に育ったから、親しくしていた同じ年齢の友人もいない私に優しくしてくれただけで・・・・・」
自分の想いを封じ込めるのが、ペク家の娘として育ててくれた両親と、ずっと私をそばで守ってくれたお兄様への恩返し。
おばあ様の姪の娘というだけで、私はペク家とは関係のない娘。
お母様もお父様も、この屋敷が私の家と言ってくださる事は分かっている。

「お母様・・・この先もずっと私のお母様でいてくださいますか?」
「もちろんよ。ハニは私の大切な娘だから。」
ハニは決心した。
家族が幸せに暮らしていくのなら、これが一番いい事だと。


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桜色の想い 42

私はここに居られない。
お父様とお母様の娘として、お兄様の妹として、そして弟のウンジョの姉として、ペク家で暮す事は出来ない。
でも、行き場所はどこにあるの?

ハニの混乱は予想以上に大きかった。
事実を話す事をためらっていたのは、ハニを育てたスチャンとグミよりも祖母のパルボクだった。
ハニは可愛い姪のハナと顔も性格も所作の一つ一つがあまりにも似ていた。

フッと気が抜けたようなハニは、現実の世界に自分が置かれているのか夢の中にいるのか分からない感覚に陥っていた。
誰か温かい人の腕の中にいるのは確かでも、育ててくれた母の温もりではないが優しさと愛しさを兼ね添われた思いが伝わっていた。


「お嬢様・・・・気が付かれたのですか?」
「ミナ・・私はどうして・・・・」
「大奥様と旦那様と奥様と話されていた時に気を失われたのですよ。月の物の時でしたから、今日は休むようにと大奥様からの伝言です。」
ミナは何も言わないが、ハニたちの話は廊下にいても聞こえていた。
ハニが気を失った時に、グミに呼ばれてすぐに手を貸しに行ったが、その時のパルボクがハニの体を起こしながら袖で顔を隠してはいたが泣いている姿を初めて見た。

この人はハニを本当は可愛くて甘やかしたいのに、甘やかさないで厳しく接して自分に従うようにしていたのだと知った。
力で押さえつけてはいけない事でも、そうしなければいけなかったパルボクを気の毒の思った。

「奥様を呼んで来ますね。お嬢様が目覚めたら呼ぶように言われていましたので。」
今まで可愛がってくれた母の顔を見るのが怖かった。
何も知らない時は、母と一緒にいる事が好きだったが、血の繋がりの内はハニこれからどう接して言ったらいいのか分からなかった。
育ててもらった恩を返すには、祖母が決めた相手に嫁ぐしかない。
血の繋がりはなくても、兄は兄でそれ以上の関係になる事は出来ない。

ハニの淡い桜色の想いは、一気に曇って行った。



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桜色の想い 41

両班の娘としてハニは産まれた時から育った。
ハニの母も両班の娘で育ち、あのまま普通に過ごしていたのなら世子に見初められていたくらいに美しい娘だったから世子嬪になったかもしれない。

「母上、もうハニに話しましょう。」
パルボクがハニの出生に付いて話したくないのは、可愛がっていた姪の二の舞にさせたくないのもあったが、何よりも報われなかった思いを愛娘に注いで若くして命を落とした忘れ形見のハニの幸せを見届けるためだった。

「ハニの父親は、今はどこにいるのか分からない。なぜ、突然姿を消したのか。姿を消した時は彼を恨んだが、お前の母親・・・・ハナが選んだ男が間違っていたとは思いたくはない。ただ・・・ただ・・・」
パルボクは迷っていた。
この事実をハニが知る事になれば、苦労のない生活から一変するかもしれなかった。

「おばあ様・・・私のお父様は悪人だったのですか?」
「悪人どころか、欲のない善人だよ。」
安心したように笑ったハニの顔は、いつの間にか可愛がっていた姪のハナとよく似ていた。

「ハニの父親は、地方から出て来た料理人。縁があってソ家で料理人として仕えていたが、ハナといつ知り会ったのかは分からないが、ただ彼の作った料理で身体の弱かったハナは何度も救われた。ある日ハナが両親に両手をついて嘆願した・・・・この人と添い遂げたい・・と。だが許される事ではなかった。両親がいくら賛成しても、身分の低い男の妻になる事など出来ない。苦労知らずのハナが一族に迷惑が掛かる事を分かっていても、想いを叶えるために必死になって訴えた。体の弱いハナが食事も摂らず想いを訴えても、兄夫婦は認めることも出来ず、ハナではなく相手の男を説得していたのは知っていたが、ある日突然彼は目の前からいなくなった。兄は何も言わなかったが、二人の事を誰にも言わない代わりに黙ってソ家から出て行くように話したのではないかと思う。しかし時は遅く、彼が去った後にハニ・・・お前をハナは宿していたんだよ。」

報われない想いの辛さは、ハニにはそれがよく分かっていた。
この数年、産まれた時から一緒に育ったスンジョを特別な想いで見ていたのだから。
実の兄に想いを寄せていたとは、誰にも言えず一人で苦しんでいた。
ユン家のヘラに対して、兄の許嫁として思えず、ずっと嫉妬していた。
血の繋がりはないと分かった今も、兄であるスンジョへの想いは秘めていなければいけない。

「ハニを産む前から、心も身体も弱っていたハナがハニを産むために養生している事にして、漢陽のはずれのスチャンの屋敷の離れに住まわせた。スンジョとハニが同じ日に産まれたのを利用するして二人は双子としてずっとペク家で育てる事にした・・・・これがすべてだよ。ハニの幼い頃の記憶が無いのは、目の前でハナの命が途絶えたからだと、ペク家が信頼している医師からそう言われた。」
スンジョへの想いに苦しみ、似ていない双子と言われ兄とのあまりの違いに悩んだハニの心は、生い立ちを聞き更に深い傷を残した。


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