「お大事にぃ~」
緊張感もない気の抜けたハニの話し方に、会計をして帰っていく患者は無関心だ。
古くて老齢の医師を頼ってくる若い患者は、事情があって訪れるから会計さえ済んでしまえばもう用なしだ。
「午後は休診だ!」
珍しく老齢の医師は不機嫌だった。
「先生、どうかしたのですか?」
「どうもこうも、あの患者は頭がかしい。」
「頭がおかしい?」
「ハニはあの患者の顔を覚えていないか?」
「顔?」
覚えていないわけではないが、毎回クリニックに来るときは大きなフレームの黒いサングラスをかけ、つばの広い帽子をかぶっていたり、派手な高級なスカーフで頭から口元まで覆っていた。
ハニは見覚えがないが、明らかにハニの視線を避けているのは鈍感なハニでも気が付いていた。
「診察を断ったのですか?」
「違う!レントゲンの準備をしたのに、レントゲンで体の中を見られるのは嫌だと?」
クリニックと名前が付いていても、萬診療をし専門診療科がなくてハニ自信この年老いた医師の専門が何かよく知らなかった。
「ん~そんな風には見えなかったですけど、お金だけを置いて行ってしまいましたよ。」
「胸が苦しいのならレントゲンを撮らなければ、この先の治療計画が立てられんと言ったら『構わない、自分がこうなったのはハニのせいだ』とか!」
「私のせい?」
心のどこにもそんなことを言われる理由は思い浮かばない。
誰かと特別にトラブルを起こしたことのないハニが、何度も診察に訪れる人と知り合った覚えなどなかった。
「で・・先生はどうしたの?」
「どうもせんかったよ。どうもせんかった代わりに、遊びに来るのなら他に行けと言ってやったよ。」
人生経験同様に様々な理由で訪れる患者を診てきたから、この老齢の医師は患者に逆切れされても全く動じることはなかった。
「あんな患者がいると思えば、ハニみたいに全く男気も無くて遊びにも行かない看護師もいるから不思議なもんだ。新しい病院に行ったら、仕事はもちろん大切だがいい男を見つけて遊びに行けよ。」
医者が言う言葉ではないが、ハニはこの老齢医師が嫌いではなかった。
本当なら大きな病院の院長でもおかしくないこの医師は、テハン大を優秀な成績で卒業したのに、先代の院長が倒れた時に世話になったからとこのクリニックを受け継いだのだった。
「私・・・聞きたいのですけど、先生はテハン大の出身なのに、どうしてテハン大付属病院ではなくパラン大付属病院に私を紹介したのですか?」
「ふん!お前の頭じゃテハンでは迷惑になる。パランなら、わしの教え子がたくさんおるから目をつむってくれるさ。」
口が悪いこの医師がどうしてハニをパラン大附属病院に紹介した理由はわからないが、ここで働きいろいろなことを教えてもらったのはこの先もきっと役に立つ自信はハニにもあった。

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緊張感もない気の抜けたハニの話し方に、会計をして帰っていく患者は無関心だ。
古くて老齢の医師を頼ってくる若い患者は、事情があって訪れるから会計さえ済んでしまえばもう用なしだ。
「午後は休診だ!」
珍しく老齢の医師は不機嫌だった。
「先生、どうかしたのですか?」
「どうもこうも、あの患者は頭がかしい。」
「頭がおかしい?」
「ハニはあの患者の顔を覚えていないか?」
「顔?」
覚えていないわけではないが、毎回クリニックに来るときは大きなフレームの黒いサングラスをかけ、つばの広い帽子をかぶっていたり、派手な高級なスカーフで頭から口元まで覆っていた。
ハニは見覚えがないが、明らかにハニの視線を避けているのは鈍感なハニでも気が付いていた。
「診察を断ったのですか?」
「違う!レントゲンの準備をしたのに、レントゲンで体の中を見られるのは嫌だと?」
クリニックと名前が付いていても、萬診療をし専門診療科がなくてハニ自信この年老いた医師の専門が何かよく知らなかった。
「ん~そんな風には見えなかったですけど、お金だけを置いて行ってしまいましたよ。」
「胸が苦しいのならレントゲンを撮らなければ、この先の治療計画が立てられんと言ったら『構わない、自分がこうなったのはハニのせいだ』とか!」
「私のせい?」
心のどこにもそんなことを言われる理由は思い浮かばない。
誰かと特別にトラブルを起こしたことのないハニが、何度も診察に訪れる人と知り合った覚えなどなかった。
「で・・先生はどうしたの?」
「どうもせんかったよ。どうもせんかった代わりに、遊びに来るのなら他に行けと言ってやったよ。」
人生経験同様に様々な理由で訪れる患者を診てきたから、この老齢の医師は患者に逆切れされても全く動じることはなかった。
「あんな患者がいると思えば、ハニみたいに全く男気も無くて遊びにも行かない看護師もいるから不思議なもんだ。新しい病院に行ったら、仕事はもちろん大切だがいい男を見つけて遊びに行けよ。」
医者が言う言葉ではないが、ハニはこの老齢医師が嫌いではなかった。
本当なら大きな病院の院長でもおかしくないこの医師は、テハン大を優秀な成績で卒業したのに、先代の院長が倒れた時に世話になったからとこのクリニックを受け継いだのだった。
「私・・・聞きたいのですけど、先生はテハン大の出身なのに、どうしてテハン大付属病院ではなくパラン大付属病院に私を紹介したのですか?」
「ふん!お前の頭じゃテハンでは迷惑になる。パランなら、わしの教え子がたくさんおるから目をつむってくれるさ。」
口が悪いこの医師がどうしてハニをパラン大附属病院に紹介した理由はわからないが、ここで働きいろいろなことを教えてもらったのはこの先もきっと役に立つ自信はハニにもあった。

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