大好き!<イタズラなKiss>

韓国版イタズラなKissが大好きです。 切ないお話しか書いていないので、お好みではない方はスルーしてください。

2020年05月

風のように 30

目を閉じて風と花の香りに浸ると、遠い日の王様とパルボクが過ごした時間と同じ空間にいるような気持になった。

『おばあちゃん・・・幸せだった?』

「もうよろしいでしょうか・・・・」
「あ・・・」
スンジョのその声がハニを現実に戻した。
「ウネ様に町に出かける事を伝えてお着換えにならないといけないでしょう。」
着替えるのも自分一人で着替えないで、ウネが着替えの準備から着替えや髪を整える所までしてくれる。
何もかもが自分で出来ない生活に慣れ始めていたが、供を連れないで一人で出かける事にはなれなかった。

「スンジョさんと二人で出掛けたい・・・」
勇気を振り絞ると言うのはこう言う事なのかもしれない。
スンジョと話をした事もなければ、二人でいた事もないからどんな人物かもよく分からない。
「何を見ていらっしゃるのですか?」
「スンジョさんの顔を見ています・・・スンジョさんは、王族の方なのですか?」
「どうしてそう思われるのですか?」
「王様に似ていらっしゃるから・・・・」
スンジョはハニの顔から視線を外し、東屋から出て歩き始めた。

「母が、大妃様の遠縁にあたります。それでよろしいですか?」
「あ・・あと一つ・・・」
「あと一つだけですよ。ウネ様が、ハニ様を探してこちらにみえます。」
「スンジョさんの父親って・・・」
「ハニさんもお会いされたでしょう・・商人のスチャンですよ。商人の息子が医官としてどうして宮殿にいるのかとお聞きになりたいでしょうから、聞かれる前にお話します・・・宮殿に遊びに来ていた母と、清国からの品物を持って来ていた父が出会って夫婦になりました。」

王族の血を引く人間と商人が縁を持つことが、この時代はあり得ない事だった。
なぜだろうと思わなくても、分かるような気がする。
王様は実らなかった恋を、自分が知っている人にはそんな思いをさせたくないと思っていたのだろう。
東屋に近づいたウネに、スンジョは王様に頼まれてハニに町を案内する事を告げているのをハニは黙って見ていた。





人気ブログランキング

風のように 29

ハニは王様の横顔を黙って見ていた。
王様の若い頃の話を通じて、何も知らない祖母の話を時々話してくれるのを聞くことが出来てうれしかった。

風の音が聞こえたような気がしたが、それは風の音ではなかった。
「王様・・そろそろお部屋にお戻りにならないと・・・」
「スンジョがそう言ったのか?」
カン内官は声で返事をしなかったが、自分を見ているスンジョの表情を見て苦笑いをしていた。
「スンジョはまじめで自慢の人間だが、融通が利かないのが欠点だな。話の続きはまたにしよう。ところで・・・何か不便はないか?」
「私ですか?」
不便がないと言えばうそになるが、それを言ってはいけないとわかっていた。

「漢陽に来てからずっと宮殿の中で退屈だろう・・・スンジョ!」
王様は何かを思いついたように、スンジョを自分のいる場所に呼び寄せると、ハニの方に背中を強めに押した。
「お前が用意した薬はちゃんと時間通りに飲むから、ハニに町の中を案内してあげなさい。自然が豊富な所で育った娘だ、宮殿の限られた空間に閉じ込めておいたら消えてしまうかもしれない。」
「私は消えません・・・ずっといます・・・」
「そうだな・・・・でもお前はパルボクと似ているから、風と一緒に遠くに行ってしまいそうだ。漢陽の街を歩いて、スンジョと何か若者らしく楽しんでくるといい。」
チラッとスンジョの顔を見るが、スンジョはハニではなく王様の顔を見ていた。

「お前はが返事をしない時は、私に何か言いたいことがあるのだろ?私がお前の年齢の頃は、毎日が楽しくなくてパルボクに会うのだけが楽しみだった・・・私がいつもお忍びで行く茶屋はパルボクと過ごした場所だ・・・・ハニをそこに連れて行ってあげるといい。薬はちゃんと飲むから・・・」
王様が二人に背を向けると、そのままカン内官と部屋の方に歩いて行った。

無言のスンジョと二人だけになると、息をするのも苦しくなってきたハニは胸に手を当てて下を向いた。
自分にかかる影が大きくなると、ハニの胸元に置かれている手にスンジョの手が触れた。
「きゃ!」
「静かに・・・」
ハニの手をのけてスンジョの手がハニの細い手首で脈を診ていた。
「陽の当たる所に長時間いましたね。」
「・・・どうして・・・」
「顔が赤い・・・・こちらに・・・・」
顔が赤いのは長時間外にいたからではなかった。
間近で見るスンジョの顔は、あまりにもきれいで男性にそう思ってはいけないのだと思えば思うほど、胸が苦しくなってきていたからだ。
少し離れたところにある東屋にスンジョはハニの手を引いて行くと、池から上がってくる風が涼しくて心地よかった。

「東屋にしては、少し華やかですよね・・・・」
スンジョと二人でいるのに、無言でいる方が息苦しさを感じた。
「ここは、王様がパルボク様と話をするために造られた場所です。でも、パルボク様はこの東屋が出来る前にいなくなられたのです。」
一度も二人で過ごしたことのない東屋は、その周辺に咲いている華やかな花たちとは違い、王様の寂しさが伝わってくるような感じがした。



人気ブログランキング

風のように 28

「ハニは・・・スンジョとジュングのどちらが好きか?」
「え・・あ・・・」
そんな事を聞かれても、ジュングとは漢陽に来るまでの一度だけしか近くで顔を合わせていない。
初めて父以外の男性と間近で過ごしたのは、年頃のハニには恥ずかしかった。
父よりも背が高く、長い手で馬から落ちないように守られていた時は、ドキドキとしたがそれはスンジョに対して思ったドキドキとは違っていた。
スンジョとはジュングよりあっている回数は多いが、近づき撚りがたい雰囲気で話らしい話をした事はまだなかった。
ただ、初めて会った時からスンジョは忘れる日は一日もなかった。

「今日の天気はパルボクの様な風が吹いている・・・・」
顔も合わせた事のない祖母のパルボクとはどんな人なのか聞いてみたかった。
ただ、自分の立場的には、それを聞く事はいけない事でもあった。
「パルボクと出会った時は、妃を迎えたばかりの頃だった。私は19歳で妃は14歳。王位に就いたばかりで政も、宮殿でのことも何もかも自分の考えを言えない時期だった。世継ぎのために妃を迎えたが、母や伯父だ力の力が強くて心を休める場所はなかった。この池に来る時が、身体も心も休める事が出来た。」
そこにいるのは自分だけのような目をして、王様は遠い日を思い出していた。


透きとおった池の水を見ているだけで、何も余計な事や不満を考える事はなかった。
昼間に見ると太陽の光で水面が揺れ、夜は月灯りで水面がユラユラと揺れていた。
揺れる水面のように、自然の風に揺れて漂いたい。
疲れた・・・・妃を迎えたばかりなのに、母上たちは『世継ぎ、世継ぎ』とそればかりだ。
私は心を持ってはいけないのだろうか・・・・

若い王は立ち上がった途端、明るい太陽の光で眩暈がした。

「いけません!そんな浅い池では身を投げても死ぬ事は出来ませんよ!」
誰もいないと思っていたのに、誰かが自分の袖を引くとは思わなかった。
眩暈がする状況で、振り向いた瞬間にその人の方に倒れ掛かり、若い王よりも小柄なその人は必至にお互いの身体を支えたが、とても支えきれず倒れ込んだ。
「何があったのか知りませんが、人の上に立つお方が命を絶とうとしてはいけないです。」
「すまない・・・」
「宮殿を出たら、食事も摂れない人がいる事をご存じないから、命を粗末にするのでございましょ?」
「違う・・・誤解だ・・・ただ眩暈がしただけだ。」
「そ・・・そうなの?」
若い王は身体を起こすと、自分の下にいる小柄な女性は、自分の勘違いで恥ずかしかったのか、それとも若い王の身体が自分に覆いかぶさっていたのが恥ずかしかったのか、胸元を隠して顔を赤くしていた。
これが、パルボクと若い王の初めての出会いだった。



人気ブログランキング

風のように 27

ハニは朝からソワソワとしていた。
宮殿での生活は既に半月が過ぎ、この生活になれなければと思いながら日々過ごしていたが、村にいた時のように外を走り回る事もなく、ただ一日静かに過ごすだけだった。
王様の知人の東遠の娘として、王様の話し相手として宮殿に入った事になっていた。
ごくわずかな人しかハニの素性は知らない。
朝からソワソワしている理由は、王様がハニと会ってくれる日だから。
王様に会えるのが楽しみという以上に、ハニと少し離れた所で、王様様子を見ている視線があると思う事だけが幸せに感じてしまう。

「ハニ、私は世子に譲位しようと思っている。」
そう言われても、ハニはどう応えていいのか分かるはずがなかった。
黙っていると、王様は空の向こう側を見るような遠くを見ている瞳に変わった。
「私が王位に就いた時は、周りは信用が出来ない人ばかりだった。でも、世子が産まれてからは天災もなく平穏な日々が続いた。世子はおとなしい男だが、家臣たちの意見にも左右されず自分の考えを言う事が出来る。ヘラの静養先にあの村を選んだのも、わがままに育った娘に田舎での生活を教えるためでもあった。本当にいい王様になるよ。可哀想なのは、後を継ぐ子供がいない事だ。産まれても病弱で育たなかったり・・・・・」
王宮以外の人達が悲しんでいた事は、ハニも両親から聞いていたが、幼い頃はその理由は知らなかった。

「ヘラ様以外には産まれなかったのですか?」
「男の子はな・・・・ヘラが産まれてから、群主が続いたから側室を迎えたが県主(ヒョンジュ)しか授からず・・・・ヘラの子供が男の子ではなかったら・・・・・・」
王様が一瞬ふらつき少し離れた所から見ていたスンジョとカン内官が近寄ろうとしたが、大丈夫だとその動きを王様は止めた。

「ヘラには可哀想な事をしたよ。自分の父親よりも年が上の男に嫁がせて・・・・幼い頃よりスンジョの後ばかり付けていたから、その想いを諦めさせてしまった。」
ハニは自分の気持ちを思うと、ヘラの想いを知らなければよかったと思った。
一目見た時に好きになったと、そんな事は誰にも言えるはずはないし、心の中に納めて行くつもりだった。

「でも、ヘラ様が男の子をお産みになられてよかったですね。」
「よかったよ・・・・あとはハニの婿を探さないと・・・」
「私はずっと王様の傍にいます。」
王様は子供のように大きな声で笑った。
その笑っている様子を、スンジョとカン内官は驚いた顔をして見ていた。
王として人の前で、無防備な笑いをする事は普通はないが、きっと心から解放されて自然と笑ったのだろう。

「私とずっと一緒にいると、ハニは親を置いて逝く事になるのだぞ。王位を世子に譲ったら、私はハナを翁主(オンジュ)として迎え、ハニにもそれなりの地位を与えてあげたいと思っている。だから、スンジョかジュングのどちらかと一緒になってほしいと思っている。」



人気ブログランキング

風のように 26

王様の腰のすぐ後ろをスンジョは歩いていた。
自分を見ているハニという、田舎で生活をしていた娘。
父の知り合いの娘だと、父と入れ違いの寺を訪れたスンジョは聞いていた。
王様の体調を見ながらの移動は、一時間ごとに休憩を取らなければいけない。

「王様、具合はどうですか?」
「変りない・・・・ハニはどんな様子か?」
「はい、輿を降りてウネ様と景色をご覧になられていますが、お顔の色も変わりないご様子です。」
「そうか・・・・」
輿の小窓を開け、ハニがいる方向を見ていると、スンジョにしか聞こえないくらいの声で尋ねた。
「ヘラももうすぐ母親になる。
いつまでも子供の頃のように、スンジョを用もなく呼び付ける事も無くなるだろう。そうしたらお前も誰かを妻取る(めとる)といい。」
スンジョは黙って頷くだけだった。
元々スンジョは自分から何かを話しだす事はする性質ではなかった。
物静かで、必要最低限の事しか話さないが、仕事熱心で忠実な性格だった。

「お前かジュングのどちらか・・・ハニを妻取ってくれれば、私はパルボクの所に行く事が出来る。」
「私は・・・・」
「分かっている。お前は、もう少し学びたいと言うのだろう。そのために妻を迎えるのも必要だと思う。お前には話しておきたい・・・・ハニは、私が心を許したたった一人の女性の・・・孫だ。」
一瞬スンジョは顔の表情を変えたが、すぐにいつもの顔に戻っていた。
どうして王様が自分をいつも近くに置いてくれているのか、年齢も若く知識はあっても経験が浅い自分よりも優秀な医官はいる。

「私が元気なうちに、パルボクの娘・・・私の娘のハナを宮殿に呼び寄せたいが、それは叶うだろうか・・・」
スンジョとごくわずかな人間しか王様の今の体調を知らない。
公務を少しずつ後継者である世子に引き継いで行けるのは、今の世の中が争いごとが少ないからだろう。
人々から尊敬される王様が心残りなのは、人に知られる事なく過ごした一時の幸せだった時の想いだけだった。
輿はゆっくりと漢陽に向かう道を進み始めた。




人気ブログランキング
ギャラリー
  • お知らせ
アーカイブ
美容室美容院レーシックfx 口座開設美容整形キャッシング
デリヘルデリヘル 求人里親 募集求人情報美容室裏dvd保険出会い出会いエステ美容整形クレジットカード消費者金融
アクセスカウンター
キャッシング社長ブログseothink tank医薬品 買取ブログパーツお見合い結婚相談住宅ローン
アルバイト情報海外サーバー海外サーバーアクセスカウンター無料ブログカウンターオンラインカウンター借金時計ページランクアダルト動画
アダルト動画 比較裏dvd裏dvddvdレンタル 比較有料アダルト動画 比較月額アダルト動画 比較出会い系サイト 比較ライブチャット 比較裏dvd
ブログカウンター無修正dvdフェラチオキャバクラデリヘル風俗
無料カウンターデリヘル 求人高級 デリヘルキャバクラ 求人借金時計プロバイダ 比較ウォーターサーバー 比較レンタルサーバー 比較クレジットカード 比較生命保険 比較
etcカードエステ脱毛インプラントホームページ製作ドメイン取得化粧品 サンプル自動車保険 比較学資保険 比較おまとめローン 比較キャッシング 比較証券会社 比較fx 比較fx口座開設 比較
無料アクセスカウンターフレッツ光 auひかり 比較fx 初心者誕生日 プレゼント
東京 デートスポット消費者金融 一覧銀行 口座開設アクセスカウンター無料カウンターページランククレジットカード ランキング生命保険 ランキング自動車保険 ランキング学資保険 ランキング育毛剤 ランキング証券会社 ランキングプレゼント ランキングクレジットカード おすすめ
bto パソコンエアコン 工事エアコン クリーニング給湯器 交換犬 里親猫 里親エアコン 取り付けエアコン 取り外しガス給湯器 交換ホストクラブ新宿 デリヘル新宿 デリヘル歌舞伎町 キャバクラ渋谷 デリヘル


バラが降るオルゴール


  • ライブドアブログ