三番目の転機でオレは心にゆとりが出来、広い範囲を見る事が出来るようになった。
自己判断をして自己決定をする事が、トラブルなく過ごせる事が出来ると思っていた高校生までの自分から、他人に興味を持つようになり、それが人生を共に過ごす相手と出会った。
平穏な人生を進む事が、自分の幸せと思っていたのは自分勝手な考えだった。
間違いを許せないと言うのは、自分の都合の良い考えで、それを正してくれたのがハニだった。
ハニは勉強は苦手で、失敗ばかりする決して優れた人とはお世辞にも言えない人物だったが、一番大切なものを持っていてそれをオレに教えてくれた。
ハニが気になりそれがどういう物か知る事になり、好きという気持ちに気が付くまでは苦しい日々だった。
今はどうかと聞かれたら、オレは『今が一番心が平穏でいられる』と、そう答えるだろう。
それが騒がしい事でも、自然と心が安らぎ笑みが浮かべられる。
「スンジョ君、ちょっと変わってくれる?」
「ぅん?」
スンジョは自分の横に来たハニの方を身体ごと向きを変えた。
「ミルクを持って来るから、その間抱っこしていて。」
三か月前に待望の娘が誕生し、お袋は涙を流して喜んでいた。
実際に一番喜んだのはオレだという事は、ハニもお袋も勿論親父も誰も知らない。
娘が可愛いと思えたのは、単純に親になったからではないかもしれない。
眠っている娘を抱きながら、その寝顔を見ていると着衣越しに伝わる温もり十の味くらいに温かな気持ちになった。
キッチンでミルクの用意をしているハニの騒がしい声を聞きながら、スンジョは恐らく誰も見た事のないような穏やかな表情をしていた。
「スンハ、お前もママのように育ってくれよ。太陽のように明るく笑う娘に育ってくれる事が一番の願いだ。勉強ができるできないとママは言うけど、それは大した問題ではないと思うけど、それなりの学力はあればいいよ。」
人生の転機は人によって違うかもしれない。
一人の女性の夫になり、そして親になり見えてくる物は人によって違う。
ハニはスンジョをいつも羨ましく思って見ているが、スンジョは自分の方が本当はハニが羨ましく見えると思っているとは知らない。
ミルクを持って部屋に戻って来たハニから、哺乳瓶を受け取るとスンハの口元に近づけた。
家の中だけで見せるスンジョのその行動でも、ハニはまぶしそうにいつも目を細めている。
「何だよ。自分の子供にミルクを飲ませているだけだぞ。」
「うふっ!その姿が太陽みたいで眩しいの。」
娘が産まれてからいつもハニはスンジョにそう言う。
その言葉を聞くだけでも、スンジョ自身はハニと結婚してよかったと思う。

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自己判断をして自己決定をする事が、トラブルなく過ごせる事が出来ると思っていた高校生までの自分から、他人に興味を持つようになり、それが人生を共に過ごす相手と出会った。
平穏な人生を進む事が、自分の幸せと思っていたのは自分勝手な考えだった。
間違いを許せないと言うのは、自分の都合の良い考えで、それを正してくれたのがハニだった。
ハニは勉強は苦手で、失敗ばかりする決して優れた人とはお世辞にも言えない人物だったが、一番大切なものを持っていてそれをオレに教えてくれた。
ハニが気になりそれがどういう物か知る事になり、好きという気持ちに気が付くまでは苦しい日々だった。
今はどうかと聞かれたら、オレは『今が一番心が平穏でいられる』と、そう答えるだろう。
それが騒がしい事でも、自然と心が安らぎ笑みが浮かべられる。
「スンジョ君、ちょっと変わってくれる?」
「ぅん?」
スンジョは自分の横に来たハニの方を身体ごと向きを変えた。
「ミルクを持って来るから、その間抱っこしていて。」
三か月前に待望の娘が誕生し、お袋は涙を流して喜んでいた。
実際に一番喜んだのはオレだという事は、ハニもお袋も勿論親父も誰も知らない。
娘が可愛いと思えたのは、単純に親になったからではないかもしれない。
眠っている娘を抱きながら、その寝顔を見ていると着衣越しに伝わる温もり十の味くらいに温かな気持ちになった。
キッチンでミルクの用意をしているハニの騒がしい声を聞きながら、スンジョは恐らく誰も見た事のないような穏やかな表情をしていた。
「スンハ、お前もママのように育ってくれよ。太陽のように明るく笑う娘に育ってくれる事が一番の願いだ。勉強ができるできないとママは言うけど、それは大した問題ではないと思うけど、それなりの学力はあればいいよ。」
人生の転機は人によって違うかもしれない。
一人の女性の夫になり、そして親になり見えてくる物は人によって違う。
ハニはスンジョをいつも羨ましく思って見ているが、スンジョは自分の方が本当はハニが羨ましく見えると思っているとは知らない。
ミルクを持って部屋に戻って来たハニから、哺乳瓶を受け取るとスンハの口元に近づけた。
家の中だけで見せるスンジョのその行動でも、ハニはまぶしそうにいつも目を細めている。
「何だよ。自分の子供にミルクを飲ませているだけだぞ。」
「うふっ!その姿が太陽みたいで眩しいの。」
娘が産まれてからいつもハニはスンジョにそう言う。
その言葉を聞くだけでも、スンジョ自身はハニと結婚してよかったと思う。

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