大好き!<イタズラなKiss>

韓国版イタズラなKissが大好きです。 切ないお話しか書いていないので、お好みではない方はスルーしてください。

2020年01月

春の訪れは遠く 3

「ペク先生、今日も行かれなかったのですか?」
「情けないですが・・・娘の成長も写真や動画でしか知る事が出来ないので、今度は行こう明日は行こう今日は行こうと思っているのですが、いざ行く時になると足が向かなくて・・・」
「誰が悪いわけじゃないですけど、先生が前に進まないと奥さんも戻らないのじゃないですか?」
分かっていた。
誰が悪いわけじゃないと、オレとハニに関わった人たちはそういうが、妻を守る事が出来なかった自分に責任はある。
それも目の前で起きた事なのに、このオレが身体が動かなかったとは情けなくて言い分けにもならない。
目を閉じてハニを想うと、三年前の出来事でも昨日のことのように思い出される。

机の引き出しから一枚の写真を取り出すと、そこに移っているハニを指でなぞった。
何度もそうしていたのか、所々色が変わっていた。
写真のハニは恐らく臨月に近い時期なのか、大きくなったお腹に手を添えて産まれてくる我が子を待っているように幸せな笑みを浮かべていた。

三年前のあの時は、穏やかな春の陽射しが降り注ぐ明るい日だった。
産休になったハニはあの日、定期健診に病院に来た時にスンジョと待ち合わせをしていた。
病院向かい側の公演で待っているとハニからのメールがあり、夜勤明けのスンジョはハニと一緒に定期健診に行く事になっていた。

「じゃあ、お先に・・・・」
「奥さんとデートですか?鼻の下が長くなっていますよ。」
「定期健診ですよ。恐らくこのまま入院になるのじゃないかな。」
顔に表情を出さなかったスンジョも、ハニと結婚をしてからは気が付かないうちに心の中で思っている事が顔に表れるようになった。
特に結婚5年後に待ち望んでいた子供を妊娠したとハニから連絡が来てからは、誰から見てもいつも幸せそうに見えたと言われた。

「今、通用口を出たけど公園のどの辺りにいる?」
<もう終わると思って、今から公園前の横断歩道を渡る所!>
スンジョは通用口を出て左に廻ると見える公園の方を見た。
どんなに遠くにいても、ハニはスンジョの素箍を見つける事が出来る。
大きく手を振ると聞こえるはずのないハニの声が聞こえてくるのは、スンジョだけにしか分からないお互いの空気の流れだろう。
「走るなよ。お腹が大きくなっているから、前に転びやすい。」
<分かってる!分かっているけど、スンジョ君に会えると思うとスピードが速くなるの>
「じゃあ、電話を切るから・・・」
スンジョは白い歯を見せて、嬉しそうな表情を浮かべていた。

一瞬携帯を上着のポケットに入れようと、視線をハニの方から自分の上着の方に変えた時、猛スピードで走ってくる車のエンジン音が聞こえた。
「ん?」
公園近くでたまに猛スピードで走る車は見かけるが、危ないなぁとただそう思うだけで何も気にしないで顔を上げた。
公園前の道路の横断歩道の信号が緑に変わり、歩行者たちは普通に渡り始めた。
ハニはそれよりも少し遅れて横断歩道に足を出した時に、その集団の中にさっき聞こえたエンジン音の車がスンジョが見ていたハニの姿と重なった。

「ハニ!」
スンジョがそう叫ぶと同時に悲鳴とガードレールや街頭にぶつかる大きな音が響いた。





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春の訪れは遠く 2

客が店内に増えると、スンハは手伝いをしないで、テーブルの上のノートに熱心に何かを書いていた。
時々ハニがスンハに何かを話すと、ニッコリと笑って応えていた。

「ハニ、もう上がってスンハと食事を食べていいぞ。」
「じゃあ、空いたテーブルの上の食器を片付けたら上がります。」
幼いスンハを夕方になるまで店にいてはいけないと、ハニは自分が育った時と同じように18時過ぎると店の手伝いを止めて二階に上がって行く。
厨房の片隅に置かれている二人分の賄を持って上がって行くハニを、ギドンは悲しみの混じった笑顔で見送った。

数年前のスンハが産まれる前までは、今のような生活になるとは思ってもいなかった。
店の従業員たちは数人を除いて、ハニの身に起きた事をあまり知らない。
あの頃店にいたジュングも自分で店を持ち、時々訪れるくらいがかえってギドンはハニと孫娘の三人での生活をそれなりに楽しんでいた。
そうは言っても、孫娘が成長すると同じように自分も年齢を重ね、いつまでも今のままではいけない事は分かて吐いたが、自然に任せるしか方法はなかった。

「春の訪れは遠いなぁ・・・時々パラン大病院時代の医師や看護師が訪れるけど、一番来てほしい人は相変わらず忙しくて来てくれないし・・・・スチャンもグミさんも来てくれても、ハニは何も思い出せなくて・・・・スンハが父親の事も祖父母の事も分からないままじゃ・・・・不憫だ・・・・」
そう声に出さないと従業員や客がいる前でも声を上げて泣き出したくなるほど、ギドンは辛くて仕方がなかった。

何が原因か、何があったのかは当の本人が思い出せなければどうにもならない事だけど、ただ言える事は、ハニも娘婿のスンジョも新しく誕生する命を楽しみにしていたという事だけ。
ドラマか漫画のような娘の記憶が消えた出来事。
無事に孫が産まれて、娘が元気に店の手伝いをしてくれている事だけが、ギドンの今の幸せだった。

「店長、オーダーが入りました。」
「ん、伝票を・・・・」
アルバイトが伝票をギドンに渡すと、いつもの仕事をしているギドンの表情に変わった。


二階でスンハと夕食の賄を食べているハニは、時々ある頭痛に顔をしかめていた。
スンハは、母のその表情を見るといつも心配そうに見て、チェストボードの上に飾られているフォトスタンドを持って来た。
「ママ・・これを見たら治るよ。」
「ありがとう・・・」
思い出せない記憶でも、そのフォトスタンドを見ると頭痛が治まる。
「大丈夫だよ・・・」
フォトスタンドをまたスンハはチェストボードに戻した。




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春の訪れは遠く 1

「スンハ、お客さんが来る時間だからこっちの席に移ってね。」
「はい。」
三歳くらいの女の子は、母親から席を移るように言われると、読んでいた絵本を閉じて店の奥のテーブルに移動した。
幼い子供のわりに整った顔立ち、色白の肌に大きな瞳がとても愛らしい。
少し明るめの絹のような三つ編みに編まれた髪は、母親譲りでとても艶やかだ。

スンハが奥のテーブルに移って数分後に、一人目の客がドアを開けて入って来た。
「いらっしゃいませ・・お二人様ですか?」
「あとからもう一人来るかもしれないので、四人席をお願いします。」
二人の客を四人席に案内をすると、すぐにスンハが水の入ったグラスを運んで来た。

「いらっしゃいませ・・・」
客はスンハの顔を見ると、しばらくじっとその愛らしい顔を眺めていた。
「誰かに似ているな・・」
「誰だっけ・・」
その大人のやり取りに、きらりといたずらっ子のように瞳が光った。

「ママに似ているの!」
その声は大きく厨房の奥まで聞こえた。
「スンハや、お客さんにそんな言葉使いをしたらだめだよ。水を出したらすぐに戻りなさい。」
お茶目なその女の子は、厨房の方で自分を呼んだ人の方を見て、ベーっと舌を出すと小さな声で二人の客に囁いた。

「私のママね、ハニと言うの。美人だからお客さんが私と仲良くしてママのご機嫌を取る人が多くて困るの。」
幼い子供と思えないその発言に、客の二人は驚いた顔をしたが大きな声で笑っていた。
一人の客の携帯に着信音が聞こえると、数回頷いて電話を切った。
「すいませ~ん、もう一人来る予定だったけど仕事が終わらなくて来れなくなりました。」
「いいですよ。」
スンハの傍にいた母親のハニは、二人の客に近寄ってオーダーを取りに来た。
客は店内に入って来てから、スンハと母親のハニの顔を何度も見ては小声で何かを話しているが、客同士の会話をハニはいつも聞かないようにしていた。
ただずっと気になっていたのは、その二人の客の一人の方が持っていた専門書のような分厚い本の背表紙に書かれている名前だった。

「ハニさんだったっけ?さっきあそこに座っている女の子が名前を教えてくれたんだけど。」
「娘が教えたのですか?」
「ええ『美人だからお客さんが私と仲良くしてママのご機嫌を取る』って言ってましたよ。」
ハニは振り向いて娘の顔を一睨みした。



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長い一週間 🈡

『一緒に帰ろう』特別な言葉でもなく、また特別な言葉でもあった。
ハニは通用口近くのベンチに座り、スンジョが来る方向を見て待っていた。
挨拶をしてハニの前を通りすぎる人を見送り、人の出入りが無くなってもイライラとしたり不安になったり不思議としなかった。
まだ誰の姿も見えない廊下の先を見てほほ笑むと、すくっと立ち上がった。
その方向に走り出したい気持ちを押さえて待っているのは、とても長く感じたがこの一週間の事を思うとどうって事ないと思った。

スンジョの姿が見えると、ハニは大きく手を振った。
いつもは嫌がるスンジョも、今日は小さく手を上げてそれに応えて小走りに近づいた。
「珍しい・・・」
「なにが?」
「スンジョ君が手を振ったのに応えてくれたから。初めてだよね?どうして?・・・ねぇ・・・・」
「行くぞ。」

子犬の用に纏わりつくハニがこんなに安心する存在だと思わなかった。
「家に帰る方じゃないよ。」
「よくわかったな。」
「だって、家に帰るのなら左に行くのに、右に廻ったじゃない。いくら方向音痴の私でも、家がどっちの方向かくらいわかるわよ。」
いつものハニの話し方に戻った。
少し黙れといつも冗談めかして言っていたが、今日はその話し方が聞いていたかった。

「グアムに行く。」
「グアムって・・・新しいカフェとか?」
「違う、空港から飛行機に乗ってグアムに行く。」
「だめだよ。明日は休みだけど、明後日から仕事だから。」
「ずっと当直だったから休暇を取った。ついでにお前の分も取ったから安心しろ。」
「安心しロッテ・・・パスポートも着替えも何も準備をしていないよ。」
右手でスンジョが後部座席を指すと、二人のスーツケースが置いてあった。
「全部用意してある。パスポートはオレの上着のポケットに入っている。」
助手席でブツブツと言っているハニを見ながら、スンジョはニヤッと笑った。

「ふたりだけの旅行も、新婚旅行以来だ。今回はお袋たちも来ないから、一週間ずっと二人で過ごせば
きっと何かが変わるよ。」
「何かって?」
「何か・・・だよ。」
何が変わるかなんて知らない。
この一週間が口を利かない顔を見ないで過ごしたから長く感じたのなら、これからの一週間はずっと一緒に過ごすからきっと長く感じるはず。
でもこの日から10ヶ月後にはきっと二人の関係が変わっているはずだった。



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長い一週間 14

寝付けなくて一度起きてから寝直したのは交代する2時間前。
はっきり言って『寝不足』なはずなのに、眠くないのはスンジョ君の気持ちを知ったからなのかもしれない。
なぜ話してくれなかったのかと聞くより、なぜ私は聞かなかったのだろう。
そう思うのは私の心にゆとりができたからなのだろう。

「う~ん清々しぃ~」
誰もいない仮眠室で大きくのびをすると、両頬をパンパンと叩いてステーションに向かった。
途中でスンジョに会うだろうかと思ったが、休憩時間が違っていたのか会うことはなかった。
日勤の看護師たちとの申し送りまでまだ時間はある。
スンジョの気持ちを知ったからと言って緊張感ない仕事をしていては、自分を信じてくれている気持ちを裏切ってしまう。
謝ろう・・どちらが悪いか言わないで、ただ私らしく『ごめんなさい』と一言だけ謝ろう。

スキップをしてしまいそうになるのを押さえて歩いていると、いきなり後ろから肩を掴まれた。
「キャッ!」
手の感触と温もりでスンジョだとすぐに分かったが、いきなり掴まられて意外と大きな声が出た。
「驚かせないでよ。」
「それはこっちだよ。オレの前を通り過ぎたのに、気が付かないでスキップをして行くから。」
「しそうになったけど、スキップはしていないわ。」
お互い喧嘩腰に言わないようにしようとしていた。

「久しぶりだな・・・」
「一週間ぶりだね・・・」
「夫婦なのに、仕事のシフトで合わない時は今まであったけど、喧嘩をしたあの日から今日まで長かったよ。」
スンジョの台詞になぜか照れくさい気持ちになった。
「スンジョ君らしくないよ・・・」
「そうかな・・・」
2人が話している横を看護師が数人、軽く挨拶をしながら通り過ぎる。

誰もスンジョとハニが喧嘩をしていたとは知らない。
いつもと変わらず仲がいい二人だとしか、他人からはそう見えているのだろう。
「今日、一緒に帰ろう。いつもの所で待っているから。」
じゃあ・・と言ってスンジョはハニの傍から離れて行くと、廊下の少し先を歩いていた医師に声を掛けて何かを話しながら先を進んで行った。




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