「幸せになるんだよ。」
「コウイチさんも・・セヒさんも・・」
「今度はどんな事があってもコウイチの妻としてこのペンションを手伝って行くわ。」
コウイチとセヒの間に隠れてハナは出て来ようとしなかった。
ハニはしゃがんでハナの顔を見ようとするが、ハナは顔を隠してしまう。
無理もない。
物心ついたころからハニがずっと世話をして来たのだから。
「ハナちゃん・・また来るからね。」
そう言うと、ハニはコウイチとセヒに会釈をして、スンジョと一緒にペンションを出た。
「荷物は本当にこれだけか?」
「うん、三日分の着替えと服を数枚だけ持って家を出たの。あ・・・この袋のワンピースはセヒさんから貰ったのだけど。」
セヒから貰った白いワンピースは、きっと着る事がないだろう。
ヘラとスンジョの結婚式には、自分は行かないつもりだから。
それを思うと、ソウルに帰っても辛いだけだが、片想いをして自分は生涯誰とも結婚をしないでいようと思った。
「スンジョ君・・・麓から歩いて来たの?」
「いや・・・グランドホテルに泊まっているんだ。」
ハニが持っていた荷物をそっと受け取ると、スンジョはハニとは反対の方の手に持ち帰ると、顔を前に向けたまま手を握った。
「スンジョ君?どうしたの?」
「ヘラとの婚約を破棄したよ。」
「どうして!そんな事をしたらおじさんの会社が・・・・」
「ユン会長はそんな事で、融資を中止する人じゃない。親父の会社も軌道に乗ったし、オレは自分の心をもう抑え込むのはやめるよ。」
期待をしてはいけないと思っているが、思えば思うほど期待をしたくなってしまう。
「片想いを続けてもいい?」
「片想いを続けるな。」
「そんな・・・・」
握っていた手をスンジョは強く握り直した。
「これからはオレだけを見ていればいい。」
「どういう事?」
「ハニはオレ意外を好きになれないだろ?」
「そりゃあ、まぁ・・・」
「結婚しよう・・・・・」
「え?」
聞き間違い、聞き間違いに決まっている。
スンジョ君は大学を出たばかりだし、そんな事を考える暇なんてないはず。
グランドホテルに着くと、そのままエレベーターホールに向かうスンジョの手をハニは離そうとした。
「今日泊まるなら、私空いている部屋があるか聞いて来る。」
「いいよ、このまま12階のホールに行くから。」
12階のホール?
まるで誰かの結婚式に参列でもするように聞こえる。
スンジョがエレベーターの12階のボタンを押すと、その理由が知りたくなったが聞けないほど狭い空間にスンジョといる事にドキドキとした。
「降りるぞ・・・ハニはホール横の部屋で着替えて。」
「え?どうして着替えるの?」
ハニとスンジョの声がホール横の部屋にいる人に聞こえたのか、ドアが勢いよく開いた。
「ハニちゃん、待っていたわよ。」
「おばさん・・・・」
ドレスアップしたグミに続いて、スチャンとギドンが出て来た。
「パパとおじさん・・・・どうして?」
「どうしてって・・パパも驚いたよ。ハニが自分からいる場所を教えてくれたと思ったら、スンジョ君がお前と結婚したいと言って。何が何だかわからないよ。」
「話は後よ。ミナちゃんやジュリちゃん、ジュング君が式場で待っているから、こっちの部屋で着替えて準備をしましょうよ。パパとギドンさんは、ホールの方で待っていて。」
スンジョの手からハニの手を取ると、グミは開いているドアの方にハニを連れて行った。
着替えをするその部屋いっぱいにスノーフレークの甘い香りと、スノーフレークの花のようなウエディングドレスが掛けられていた。
季節は冬から春に変わり、コウイチとセヒの二人の間の雪が解け、スノーフレークの花が咲き始めたと同時に、スンジョとハニの間に会った冷たくてかたい雪が解けてスノーフレークのようなドレスが温かな幸せを連れて来てくれた。
《番外編に続く》
「コウイチさんも・・セヒさんも・・」
「今度はどんな事があってもコウイチの妻としてこのペンションを手伝って行くわ。」
コウイチとセヒの間に隠れてハナは出て来ようとしなかった。
ハニはしゃがんでハナの顔を見ようとするが、ハナは顔を隠してしまう。
無理もない。
物心ついたころからハニがずっと世話をして来たのだから。
「ハナちゃん・・また来るからね。」
そう言うと、ハニはコウイチとセヒに会釈をして、スンジョと一緒にペンションを出た。
「荷物は本当にこれだけか?」
「うん、三日分の着替えと服を数枚だけ持って家を出たの。あ・・・この袋のワンピースはセヒさんから貰ったのだけど。」
セヒから貰った白いワンピースは、きっと着る事がないだろう。
ヘラとスンジョの結婚式には、自分は行かないつもりだから。
それを思うと、ソウルに帰っても辛いだけだが、片想いをして自分は生涯誰とも結婚をしないでいようと思った。
「スンジョ君・・・麓から歩いて来たの?」
「いや・・・グランドホテルに泊まっているんだ。」
ハニが持っていた荷物をそっと受け取ると、スンジョはハニとは反対の方の手に持ち帰ると、顔を前に向けたまま手を握った。
「スンジョ君?どうしたの?」
「ヘラとの婚約を破棄したよ。」
「どうして!そんな事をしたらおじさんの会社が・・・・」
「ユン会長はそんな事で、融資を中止する人じゃない。親父の会社も軌道に乗ったし、オレは自分の心をもう抑え込むのはやめるよ。」
期待をしてはいけないと思っているが、思えば思うほど期待をしたくなってしまう。
「片想いを続けてもいい?」
「片想いを続けるな。」
「そんな・・・・」
握っていた手をスンジョは強く握り直した。
「これからはオレだけを見ていればいい。」
「どういう事?」
「ハニはオレ意外を好きになれないだろ?」
「そりゃあ、まぁ・・・」
「結婚しよう・・・・・」
「え?」
聞き間違い、聞き間違いに決まっている。
スンジョ君は大学を出たばかりだし、そんな事を考える暇なんてないはず。
グランドホテルに着くと、そのままエレベーターホールに向かうスンジョの手をハニは離そうとした。
「今日泊まるなら、私空いている部屋があるか聞いて来る。」
「いいよ、このまま12階のホールに行くから。」
12階のホール?
まるで誰かの結婚式に参列でもするように聞こえる。
スンジョがエレベーターの12階のボタンを押すと、その理由が知りたくなったが聞けないほど狭い空間にスンジョといる事にドキドキとした。
「降りるぞ・・・ハニはホール横の部屋で着替えて。」
「え?どうして着替えるの?」
ハニとスンジョの声がホール横の部屋にいる人に聞こえたのか、ドアが勢いよく開いた。
「ハニちゃん、待っていたわよ。」
「おばさん・・・・」
ドレスアップしたグミに続いて、スチャンとギドンが出て来た。
「パパとおじさん・・・・どうして?」
「どうしてって・・パパも驚いたよ。ハニが自分からいる場所を教えてくれたと思ったら、スンジョ君がお前と結婚したいと言って。何が何だかわからないよ。」
「話は後よ。ミナちゃんやジュリちゃん、ジュング君が式場で待っているから、こっちの部屋で着替えて準備をしましょうよ。パパとギドンさんは、ホールの方で待っていて。」
スンジョの手からハニの手を取ると、グミは開いているドアの方にハニを連れて行った。
着替えをするその部屋いっぱいにスノーフレークの甘い香りと、スノーフレークの花のようなウエディングドレスが掛けられていた。
季節は冬から春に変わり、コウイチとセヒの二人の間の雪が解け、スノーフレークの花が咲き始めたと同時に、スンジョとハニの間に会った冷たくてかたい雪が解けてスノーフレークのようなドレスが温かな幸せを連れて来てくれた。
《番外編に続く》
