保育園で遊んでいるスンハとスンリを見ているハニは、数週間前のハニと表情が別人のように変わっていた。
数週間前は、ギョルとの関係に悩みながらも帰って来ないスンジョへの想いに諦めきれず、この先の人生に悩んでいたからどこか淋しそうで涙は見せなくても泣いているように見えた。
ハニが安心したような笑顔になったのは、スンジョが帰って来たからではなかった。
なぜか何もかもがいい方向に行くような気がしていたからだ。
「アッパ!!」
スンリがそう叫ぶとスンハも、声を出さなくてもすっかりとスンジョに心を開いた表情をして、二人一緒に手を繋いで走り出した。
「ただいま・・・帰ろうか。」
ハニも子供たちに合わせるように立ち上がると、スンジョがまた新たな表情を見せてくれた。
「ギョルが、ハニと似た彼女を見つけると言っていたよ。」
それだけを言うと自分の手をそれぞれ握っている二人を同時に抱き上げると、ハニの耳にそっと囁いた。
「アッパ・・・スンハにもないしょばなしして・・・」
ハニにしか聞こえない声で囁くと、それを見ていたスンハが自分も同じようにして欲しいと囁いた。
「スンハも大人になったら特別な人に言ってもらうんだよ。」
分からない・・・と言っているスンハはすっかりと泣き虫じゃなくなっていた。
『奥さんを大切にしてください』と言ったギョルの言葉をハニには伝えなかった。
もうハニに相談をしないで決めない。
どんな小さな事もハニに相談をして行く事が、もしかしたら本当に探していた事の一つなのかもしれない。
自分に欠けていた物はハニには普通な事で、それほど難しい事ではないが、なんでも簡単にできるスンジョには難しい事だった。
紛争地に行って気が付いた事は、緊張を要する時に支えてくれるのは家族の存在だった。
行ってずっと気にしていたのは、ハニは自分が行った場所を直前に聞いて反対しなかったのは、そのまま協力してくれる事だと思っていた。
本当はそうではなく、寂しくて仕方がないのにそれを口にしてしまったら、自分がスンジョの足を引っ張る事だと思っていた事だった。
自分が守らなければいけない事は、暖かい子供たちのぬくもりとハニの笑顔だ。
「アッパ、しあわせ?」
「ん?幸せだよ。スンハとスンリとオンマが笑っている時が一番幸せだ。」
子供たちのが自分を見るその瞳がキラキラと輝いて、それを見てスンジョが笑顔を向けてスンハが聞いたのだった。
「春だねぇ~アッパはオンマが大好きだから春だねえ~」
誰が言ったのかと聞かなくても分かっていた。
きっとグミが、ハニと一緒にいるスンジョの顔を見て、その様子を幼い子供たちの教えたのだろう。
「春だよ。冬が過ぎたら春が来るんだ。春が来たら夏が来て、新しい事に進むために秋が来て冬が来てまた春が来る。」
「むずかし~」
スンハが言うとスンリもうんうんと頷いていた。
「人間の人生の話だよ。」
スンジョの心の中は冬が長かった。
春と出会った事が春であり、結婚までの冬の期間よりも相談もしないで勝手に赴任をして予定より遅く帰って来るまでの冬は、極寒でいつ春が来るのか分からなかったが、やっと暖かい春が来て今度はきっと長い春になるだろう。

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数週間前は、ギョルとの関係に悩みながらも帰って来ないスンジョへの想いに諦めきれず、この先の人生に悩んでいたからどこか淋しそうで涙は見せなくても泣いているように見えた。
ハニが安心したような笑顔になったのは、スンジョが帰って来たからではなかった。
なぜか何もかもがいい方向に行くような気がしていたからだ。
「アッパ!!」
スンリがそう叫ぶとスンハも、声を出さなくてもすっかりとスンジョに心を開いた表情をして、二人一緒に手を繋いで走り出した。
「ただいま・・・帰ろうか。」
ハニも子供たちに合わせるように立ち上がると、スンジョがまた新たな表情を見せてくれた。
「ギョルが、ハニと似た彼女を見つけると言っていたよ。」
それだけを言うと自分の手をそれぞれ握っている二人を同時に抱き上げると、ハニの耳にそっと囁いた。
「アッパ・・・スンハにもないしょばなしして・・・」
ハニにしか聞こえない声で囁くと、それを見ていたスンハが自分も同じようにして欲しいと囁いた。
「スンハも大人になったら特別な人に言ってもらうんだよ。」
分からない・・・と言っているスンハはすっかりと泣き虫じゃなくなっていた。
『奥さんを大切にしてください』と言ったギョルの言葉をハニには伝えなかった。
もうハニに相談をしないで決めない。
どんな小さな事もハニに相談をして行く事が、もしかしたら本当に探していた事の一つなのかもしれない。
自分に欠けていた物はハニには普通な事で、それほど難しい事ではないが、なんでも簡単にできるスンジョには難しい事だった。
紛争地に行って気が付いた事は、緊張を要する時に支えてくれるのは家族の存在だった。
行ってずっと気にしていたのは、ハニは自分が行った場所を直前に聞いて反対しなかったのは、そのまま協力してくれる事だと思っていた。
本当はそうではなく、寂しくて仕方がないのにそれを口にしてしまったら、自分がスンジョの足を引っ張る事だと思っていた事だった。
自分が守らなければいけない事は、暖かい子供たちのぬくもりとハニの笑顔だ。
「アッパ、しあわせ?」
「ん?幸せだよ。スンハとスンリとオンマが笑っている時が一番幸せだ。」
子供たちのが自分を見るその瞳がキラキラと輝いて、それを見てスンジョが笑顔を向けてスンハが聞いたのだった。
「春だねぇ~アッパはオンマが大好きだから春だねえ~」
誰が言ったのかと聞かなくても分かっていた。
きっとグミが、ハニと一緒にいるスンジョの顔を見て、その様子を幼い子供たちの教えたのだろう。
「春だよ。冬が過ぎたら春が来るんだ。春が来たら夏が来て、新しい事に進むために秋が来て冬が来てまた春が来る。」
「むずかし~」
スンハが言うとスンリもうんうんと頷いていた。
「人間の人生の話だよ。」
スンジョの心の中は冬が長かった。
春と出会った事が春であり、結婚までの冬の期間よりも相談もしないで勝手に赴任をして予定より遅く帰って来るまでの冬は、極寒でいつ春が来るのか分からなかったが、やっと暖かい春が来て今度はきっと長い春になるだろう。

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