ハニがいない事は分かっていた。
マンションの玄関のドアの鍵を開けてドアを引くと、リビングから明るい光が漏れていた。
それが普通の事で当たり前と思っていた。
子供の頃から専業主婦の母ががっ国から帰宅する子供たちを笑顔で迎え、学校で会った事や友達の事を毎日聞いていた。
勉強をしなさいや、テストの点数はどうだったかは一度も聞かれた事はなかった。
明るく笑い世話を焼く母を煩わしく感じるようになったのは、思春期になった中学生の頃から。
そんな事は子供から大人になる成長期にある普通の事だ。
スンジョの場合、それほど親を煩わしいと思う事はなかったが、ある日突然自分の行動する範囲に入って来た同じようなタイプのハニに戸惑っていた。
親に対してはそれほど気にしてはいなかったが、同年齢のハニに対しては妙な感情が芽生えていた。
それが人に対する特別な想いと知って、ハニをずっと自分のそばに置いておきたいと思った。
誰もいないリビングに残るハニがいた痕跡は見られなかった。
ハニが使っていたイストクッション、マグカップにミニボールはそこにあるのに、それをどんなふうに使っていたのかが全く記憶がなかった。
一度見たり聞いたりしたことは忘れる事がないスンジョが、どんなふうにしてハニがこの部屋で動いていたのかも思い出せなかった。
鞄をソファーに置き寝室のドアを開けてクローゼットを開けた。
ハニが来ていた服が並んでいるのに、今の季節に着ていたはずのハニのその姿を思い出せない。
後ろを振り返ってカバーが掛けられているベッドに目をやると、ハニがどんな顔をして自分を待っていたのかも思い出せない。
実家にいる時の結婚した当初は、掛け布団の上に両手を置いて、甘えたような瞳でスンジョを待っていた。
その表情をこの部屋に来てから見た事があっただろうか。
たった数週間の生活でも見ていたのなら覚えているはず。
ハニが先に風呂に入って、ハニが先にベッドに入って、ハニが先に眠りについて・・・・・
夫婦なのに夫婦として過ごさなかったこの数週間。
ハニが先に眠っていたから、夫婦として過ごさなかったから?
ハニは本当に眠っていたのだろうか。
遅い時間にベッドに入っても、ハニと気まずくなる前は些細な事で喧嘩をしてもハニから伝わる物があったのに、何か心をシールドしている気もしていた。
ふたりだけで生活をすれば何もかも元に戻ると思っていたのは間違いだったのか。
もう一度結婚した時の二人に戻るつもりで、グミやスチャンとウンジョがいない生活をしようと思っていた。
「何が本当に間違っていたのか・・・・」
ハニがいないベッドの上に寝転んで、スンジョは自分の今までのハニに対する態度を思い出そうとしていた。

マンションの玄関のドアの鍵を開けてドアを引くと、リビングから明るい光が漏れていた。
それが普通の事で当たり前と思っていた。
子供の頃から専業主婦の母ががっ国から帰宅する子供たちを笑顔で迎え、学校で会った事や友達の事を毎日聞いていた。
勉強をしなさいや、テストの点数はどうだったかは一度も聞かれた事はなかった。
明るく笑い世話を焼く母を煩わしく感じるようになったのは、思春期になった中学生の頃から。
そんな事は子供から大人になる成長期にある普通の事だ。
スンジョの場合、それほど親を煩わしいと思う事はなかったが、ある日突然自分の行動する範囲に入って来た同じようなタイプのハニに戸惑っていた。
親に対してはそれほど気にしてはいなかったが、同年齢のハニに対しては妙な感情が芽生えていた。
それが人に対する特別な想いと知って、ハニをずっと自分のそばに置いておきたいと思った。
誰もいないリビングに残るハニがいた痕跡は見られなかった。
ハニが使っていたイストクッション、マグカップにミニボールはそこにあるのに、それをどんなふうに使っていたのかが全く記憶がなかった。
一度見たり聞いたりしたことは忘れる事がないスンジョが、どんなふうにしてハニがこの部屋で動いていたのかも思い出せなかった。
鞄をソファーに置き寝室のドアを開けてクローゼットを開けた。
ハニが来ていた服が並んでいるのに、今の季節に着ていたはずのハニのその姿を思い出せない。
後ろを振り返ってカバーが掛けられているベッドに目をやると、ハニがどんな顔をして自分を待っていたのかも思い出せない。
実家にいる時の結婚した当初は、掛け布団の上に両手を置いて、甘えたような瞳でスンジョを待っていた。
その表情をこの部屋に来てから見た事があっただろうか。
たった数週間の生活でも見ていたのなら覚えているはず。
ハニが先に風呂に入って、ハニが先にベッドに入って、ハニが先に眠りについて・・・・・
夫婦なのに夫婦として過ごさなかったこの数週間。
ハニが先に眠っていたから、夫婦として過ごさなかったから?
ハニは本当に眠っていたのだろうか。
遅い時間にベッドに入っても、ハニと気まずくなる前は些細な事で喧嘩をしてもハニから伝わる物があったのに、何か心をシールドしている気もしていた。
ふたりだけで生活をすれば何もかも元に戻ると思っていたのは間違いだったのか。
もう一度結婚した時の二人に戻るつもりで、グミやスチャンとウンジョがいない生活をしようと思っていた。
「何が本当に間違っていたのか・・・・」
ハニがいないベッドの上に寝転んで、スンジョは自分の今までのハニに対する態度を思い出そうとしていた。
