「主人が帰国してから気が付いたの、ダニエルを妊娠している事に。その時は嬉しいと思うよりも・・・・・どうしよう・・と言う気持ちだった。いつか好きな人と結婚をして、それから子供を授かる物だと思っていたから。仕事やお付き合いで忙しかった両親に相談をする事も出来ず、母親が私の妊娠に気が付いたのは、もう処置をする事も出来ず産むしかなかった。勿論その前に親が気が付いても、私は産むつもりだった。生れて初めて対面したダニエルは、主人とそっくりで・・・・・見るのも辛かった。ダニエルを見ると、帰国した主人に会いたくて・・・オッパイを欲しがっても上手く飲ませられないから、人工乳に頼っていた。オッパイを飲ませないと、乳房が張って痛くなる事も、私の母親は教えてくれなかった。痛くて痛くて・・・服の胸元に染み出て来ても、ダニエルに乳房を加えさせなかった。このままでいたらこの子は死ぬかもしれない。主人に似たこの子が死んだら、私も死のうと思ってあの孤児院に行ったの。」
そこから先の話は、園長から聞いていた。
「あの子・・・ダニエルが拒絶してもイギリスに連れて行けばよかったと何度も思っていたわ。ケントが産まれダニエルにしてあげられなかったことをしてあげようと思っても、それはダニエルではないから、私の気持ちはいい方に向かなくなっていた。メアリーを産んだ時は、あの頃は一番私にとって幸せと苦悩が混在していて、メンタル面でドンドン悪い方に進んで行った時期だった。主人も仕事に忙しかったけど、その分主人の両親が私を気に掛けてくれて・・・ただ、ダニエルを思うと・・・・」
ダニエルは母を口と心は反対に会いたがっていた。
素直になれないから、いつも口にする事はなかったし、面と向かって優しい言葉を掛けるよりも素っ気無かった。
「お義母様・・・・ダニエルはずっとお義母様に会いたがっていました。孤児院の恋慕の丘・・・ご存知ですよね?」
「勿論、あの丘から遠く異国にいる主人を想っていたのですから。」
「ダニエルは、あの恋慕の丘からお義母様を想って見ていました。」
あの丘からは何人の人が、遠くにいる人に想いを馳せていたのだろう。
私もあの丘からずっとスンジョ君の事を想ってダニエルと暮らしていた。
「お義母様が、あの丘から遠くにいるお義父様を想っていた姿を、ダニエルはずっと見ていました。お義母様の手を拒んで、孤児院に残った後もずっとお義母様がもしかしたら来てくれるのかもしれないと思っていたと聞きました。でも・・・」
ダニエルはもう何もお義母様に対して拒絶する気持ちは無くなっている。
だから、定期的にイギリスの家に行き、アンダーソン家の長男としての役割をして来ている。
「いけない・・・早く帰らないとスンハの幼稚園が終わる時間になるわ。ハニ、ずっとダニエルの傍にいてね。」
直ぐに返事が出来なかった。
ずっとダニエルの傍にいるのが当たり前で、自分でもそのつもりでいるのに、返事をする事が出来なかった。
ダニエルとのこの先の生活が、自分の中で思い描けない。
どうしてなのだろう。
ダニエルと子供たちと一緒に幸せな生活をするのが当たり前で、この間まで子供たちが成長して、家の中が賑やかで・・・・と思い描いていた未来が見えなくなっている。
その代わりに、スンジョ君の笑顔だけが目の前でチラチラとしている。
何かがあるような気がする・・・・・私のただの妄想だけなのかもしれないけど。

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そこから先の話は、園長から聞いていた。
「あの子・・・ダニエルが拒絶してもイギリスに連れて行けばよかったと何度も思っていたわ。ケントが産まれダニエルにしてあげられなかったことをしてあげようと思っても、それはダニエルではないから、私の気持ちはいい方に向かなくなっていた。メアリーを産んだ時は、あの頃は一番私にとって幸せと苦悩が混在していて、メンタル面でドンドン悪い方に進んで行った時期だった。主人も仕事に忙しかったけど、その分主人の両親が私を気に掛けてくれて・・・ただ、ダニエルを思うと・・・・」
ダニエルは母を口と心は反対に会いたがっていた。
素直になれないから、いつも口にする事はなかったし、面と向かって優しい言葉を掛けるよりも素っ気無かった。
「お義母様・・・・ダニエルはずっとお義母様に会いたがっていました。孤児院の恋慕の丘・・・ご存知ですよね?」
「勿論、あの丘から遠く異国にいる主人を想っていたのですから。」
「ダニエルは、あの恋慕の丘からお義母様を想って見ていました。」
あの丘からは何人の人が、遠くにいる人に想いを馳せていたのだろう。
私もあの丘からずっとスンジョ君の事を想ってダニエルと暮らしていた。
「お義母様が、あの丘から遠くにいるお義父様を想っていた姿を、ダニエルはずっと見ていました。お義母様の手を拒んで、孤児院に残った後もずっとお義母様がもしかしたら来てくれるのかもしれないと思っていたと聞きました。でも・・・」
ダニエルはもう何もお義母様に対して拒絶する気持ちは無くなっている。
だから、定期的にイギリスの家に行き、アンダーソン家の長男としての役割をして来ている。
「いけない・・・早く帰らないとスンハの幼稚園が終わる時間になるわ。ハニ、ずっとダニエルの傍にいてね。」
直ぐに返事が出来なかった。
ずっとダニエルの傍にいるのが当たり前で、自分でもそのつもりでいるのに、返事をする事が出来なかった。
ダニエルとのこの先の生活が、自分の中で思い描けない。
どうしてなのだろう。
ダニエルと子供たちと一緒に幸せな生活をするのが当たり前で、この間まで子供たちが成長して、家の中が賑やかで・・・・と思い描いていた未来が見えなくなっている。
その代わりに、スンジョ君の笑顔だけが目の前でチラチラとしている。
何かがあるような気がする・・・・・私のただの妄想だけなのかもしれないけど。

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