ハンダイ保養所の医務室のベッドではなく、総合病院のベッドの上に横たわって、お腹に手を触れると数時間前までそこにいた我が子は今となりの部屋のNICU にいる。
「ハニ、見て来たよ。」
「ふふ・・・ダニエル、3分おきに見て来ている・・・」
「だってさ、可愛くて・・・こぉんな小さな手を、ギュッと握って・・・もう少ししたら、ハニが授乳に行く時に付いて行っていいってさ。」
総合病院に来てからずっと興奮状態のダニエルは、頬が高揚して赤くなっていた。
「名前さ・・・どんな名前がいい?」
「私が決めていいの?」
「女の子だし、オレよりもハニの方が年上だし・・・ここは年長者であるハニが付けた方がいいと思って。」
「そう言う時だけ、年長者扱いなんだ・・・・いつもはオレがやるからって、言っているのはどこの誰なんでしょう?」
「はは・・・・・」
ふとその時私の頭の中で、その名前が思い浮かんだ。
「スンハ・・・・・」
「スンハ?」
どうしてその名前を思いついたのか判らないけど、その名前は子供がお腹にいると判った時から、心の中で呼びかけていた。
「スンハか・・・・可愛い響きだ・・・」
携帯で写してきた写真をハニの前に出すと、ハニのベッドに腰掛けてダニエルはそっと肩を抱いた。
「子どもの顔を見ていたら、お母さんがどうしてオレを置き去りにしたのか知りたくなった。そして、22年前に迎えに来た時にどうしてオレはお母さんの手を取らなかったのかを話したい。」
「ダニエル・・・お母さんと話をすると言う事?」
「あぁ・・・・オレは怖かったのかもしれない。親子関係がよくない人たちが言うじゃないか。『お前さえ産まれなかったら』ってさ・・・オレのお母さんは高校生の時にオレを産んだ。きっと悩んで、産むことを決意したと思う。園長から聞いた話では、オレのお父さんは留学生で帰国してしまったから、誰にも相談をする事も知らずきっと不安だったと思う・・・・・・・」
自分の子供が産まれたからそう言う考えになったのかもしれない。
ハニが陣痛で苦しんでいる時の、あんなに大変な思いをして女性は子供を産む。
男のオレが、産まれた子供を見てこれほど気持ちが温かくなるのなら、きっとお母さんはオレの顔を見てもっと温かい気持ちになったはずだ。
『迎えに来た時に分かるように、大好きな人の名前を付けた』
あの本に27年前に一度オレを置いて行った時に書いた言葉で、その5年後に来た時の為に書いたものだと知っていたらもっと違っていたのかもしれない。
医務室であった時のあの人は、オレが知っているお母さんとは随分と変わっていた。
「どうしたの?」
「ん?」
「さっきから黙っている。」
「子供の親になったと思ったら、初恋の人を思い出していた。」
「ダニエルの初恋の人?」
「今度話すよ・・・・初恋の人の話し。」
ただ、何も考えずに今はハニを抱きしめていたかった。

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「ハニ、見て来たよ。」
「ふふ・・・ダニエル、3分おきに見て来ている・・・」
「だってさ、可愛くて・・・こぉんな小さな手を、ギュッと握って・・・もう少ししたら、ハニが授乳に行く時に付いて行っていいってさ。」
総合病院に来てからずっと興奮状態のダニエルは、頬が高揚して赤くなっていた。
「名前さ・・・どんな名前がいい?」
「私が決めていいの?」
「女の子だし、オレよりもハニの方が年上だし・・・ここは年長者であるハニが付けた方がいいと思って。」
「そう言う時だけ、年長者扱いなんだ・・・・いつもはオレがやるからって、言っているのはどこの誰なんでしょう?」
「はは・・・・・」
ふとその時私の頭の中で、その名前が思い浮かんだ。
「スンハ・・・・・」
「スンハ?」
どうしてその名前を思いついたのか判らないけど、その名前は子供がお腹にいると判った時から、心の中で呼びかけていた。
「スンハか・・・・可愛い響きだ・・・」
携帯で写してきた写真をハニの前に出すと、ハニのベッドに腰掛けてダニエルはそっと肩を抱いた。
「子どもの顔を見ていたら、お母さんがどうしてオレを置き去りにしたのか知りたくなった。そして、22年前に迎えに来た時にどうしてオレはお母さんの手を取らなかったのかを話したい。」
「ダニエル・・・お母さんと話をすると言う事?」
「あぁ・・・・オレは怖かったのかもしれない。親子関係がよくない人たちが言うじゃないか。『お前さえ産まれなかったら』ってさ・・・オレのお母さんは高校生の時にオレを産んだ。きっと悩んで、産むことを決意したと思う。園長から聞いた話では、オレのお父さんは留学生で帰国してしまったから、誰にも相談をする事も知らずきっと不安だったと思う・・・・・・・」
自分の子供が産まれたからそう言う考えになったのかもしれない。
ハニが陣痛で苦しんでいる時の、あんなに大変な思いをして女性は子供を産む。
男のオレが、産まれた子供を見てこれほど気持ちが温かくなるのなら、きっとお母さんはオレの顔を見てもっと温かい気持ちになったはずだ。
『迎えに来た時に分かるように、大好きな人の名前を付けた』
あの本に27年前に一度オレを置いて行った時に書いた言葉で、その5年後に来た時の為に書いたものだと知っていたらもっと違っていたのかもしれない。
医務室であった時のあの人は、オレが知っているお母さんとは随分と変わっていた。
「どうしたの?」
「ん?」
「さっきから黙っている。」
「子供の親になったと思ったら、初恋の人を思い出していた。」
「ダニエルの初恋の人?」
「今度話すよ・・・・初恋の人の話し。」
ただ、何も考えずに今はハニを抱きしめていたかった。

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