その日のハニは風もなく穏やかだから外に出ていた。
ダニエルがハンダイの保養所に行ってしまうと、一人だけになってしまう。
居心地のいい家の中でも、天気が良い日は外に出て家の周りの景色を楽しんだり何も考えずに、ぼぅっとしたりしている。
「スンハ・・・・菜の花が綺麗に咲いているよ。お兄ちゃんは産まれたけど、生きる事が出来なかった。あなたはその代りに、オンマのお腹の中で元気に育ってね。」
少しづつ胎動を感じるようになり、今度の妊娠は無事に出産が出来ると思っていたかった。
顔に当たる風が日ごとに温かく感じる。
ここに立っていると、海から吹いてくる風で菜の花が踊っているみたいに見える。
あの海原は貴方で、この菜の花は私。
貴方が動けば私も動いていた。
戻りたいけど戻れない。
手を伸ばせば触れる事が出来るほど近くにいたのに、触れる事は出来なかった。
貴方の身体は触れられたかもしれないけど、あなたの心は触れるどころか、硬いからで覆われて小さな隙間さえも見えなかった。
パラン大で10年ぶりに再会して話をした。
済州島に来てから診察にに言った病院で見たスンジョ君は、昔の面影もないほどにやつれて驚いたけど、ヘラと幸せに暮らしているんだよね?
そうじゃないと私がスンジョ君への思い・・・・・・
「ハニ~・・・ハニ・・・・・」
菜の花の咲いている中を、昇って来る人がいた。
「パパ?」
ギドンにこの家の住所を教えたのは一週間ほど前。
まさかこんなに早く来てくれるとは思ってもみなかった。
ハニは、ギドンが昇って来る方の道に駈け出した。
「走らんでもいい・・・パパも歳を取ったから歩くのは遅いが、そっちに行くから・・・・・・」
ずっと親不孝をしていた娘に会いに来てくれた。
ギドンは今までハニを叱ったことはなかったが、それは叱らなくてもハニならずっと父と娘で過ごした年数気持ちが繋がっていたから、お互いに何も言わなくても判っていた。
「遠い所を来てくれてありがとう。」
「ハハ・・・・ハニがそんな言葉を言うなんて・・・・大人になったな。」
やっと父と娘が会う事が出来た。
父は年老いて娘はもうすぐ母になる。
ハニの気持ちに気づけなかったことをずっとギドンは気にしていた。
随分痩せてしまったが、済州島の気候に合っているのか、ほんの少し日焼けした顔が元気そうに見えた。

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ダニエルがハンダイの保養所に行ってしまうと、一人だけになってしまう。
居心地のいい家の中でも、天気が良い日は外に出て家の周りの景色を楽しんだり何も考えずに、ぼぅっとしたりしている。
「スンハ・・・・菜の花が綺麗に咲いているよ。お兄ちゃんは産まれたけど、生きる事が出来なかった。あなたはその代りに、オンマのお腹の中で元気に育ってね。」
少しづつ胎動を感じるようになり、今度の妊娠は無事に出産が出来ると思っていたかった。
顔に当たる風が日ごとに温かく感じる。
ここに立っていると、海から吹いてくる風で菜の花が踊っているみたいに見える。
あの海原は貴方で、この菜の花は私。
貴方が動けば私も動いていた。
戻りたいけど戻れない。
手を伸ばせば触れる事が出来るほど近くにいたのに、触れる事は出来なかった。
貴方の身体は触れられたかもしれないけど、あなたの心は触れるどころか、硬いからで覆われて小さな隙間さえも見えなかった。
パラン大で10年ぶりに再会して話をした。
済州島に来てから診察にに言った病院で見たスンジョ君は、昔の面影もないほどにやつれて驚いたけど、ヘラと幸せに暮らしているんだよね?
そうじゃないと私がスンジョ君への思い・・・・・・
「ハニ~・・・ハニ・・・・・」
菜の花の咲いている中を、昇って来る人がいた。
「パパ?」
ギドンにこの家の住所を教えたのは一週間ほど前。
まさかこんなに早く来てくれるとは思ってもみなかった。
ハニは、ギドンが昇って来る方の道に駈け出した。
「走らんでもいい・・・パパも歳を取ったから歩くのは遅いが、そっちに行くから・・・・・・」
ずっと親不孝をしていた娘に会いに来てくれた。
ギドンは今までハニを叱ったことはなかったが、それは叱らなくてもハニならずっと父と娘で過ごした年数気持ちが繋がっていたから、お互いに何も言わなくても判っていた。
「遠い所を来てくれてありがとう。」
「ハハ・・・・ハニがそんな言葉を言うなんて・・・・大人になったな。」
やっと父と娘が会う事が出来た。
父は年老いて娘はもうすぐ母になる。
ハニの気持ちに気づけなかったことをずっとギドンは気にしていた。
随分痩せてしまったが、済州島の気候に合っているのか、ほんの少し日焼けした顔が元気そうに見えた。

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