ジェウクには可哀想だけど、パパが誤解をするといけないから今日は連れて行かないね。
「女将さん、いつもすみません。夕方には戻って来ますから。」
明日には済州島に向かう二人は、最後になるこの日にギドンの店に二人で行く事にした。
ここ数日つわりもなく落ち着いているからなのか、顔色も良く頬が赤みを指している。
少しふっくらしたのは、妊娠によるものだが、これなら合わなかった10年間、父に元気でいた事は伝わる。
あえて一度流している事も言わなくていいだろう。
言えば、父の性格上、自分の責任にしてしまう。
そんな所は、いつも自分と似ていると思う。
ここに来てからあまりようもなく外に出たことはなかったが、ダニエルの用事で買い物に出たり、妊娠の傾向があったから病院に行ったりしたくらいで、地下鉄に乗ったりバスに乗るのは10年ぶり。
バスを降りて、≪ソ・パルボクククス≫に向かって歩くまでの道のり、緊張はしていたが自分の中でスンジョを吹っ切ることが出来て新たな道を選んで気持ちが清々しくも感じる。
ソウルに戻って来てから一度だけ遠く離れた所から店内の様子を見たが、店の前の『welcome』と書かれたマットの上に乗るのは10年ぶり。
客に料理を運んでいる女の子はバイトの子だろうか。
明るい髪の色で少し派手な女の子だと思ったけど、ドアを開けた瞬間にこちらを向いたその女の子は元気な外人の女の子だった。
「いらっしゃいませぇ~~」
言葉の語尾を極端なほどに伸ばすその女の子は、ダニエルの顔を見て親しそうな笑顔を向けた。
「ダニエル、久しぶりだね。最近来なかったけど・・・彼女が出来たの?」
ダニエルの横に並んで立っているハニを見て、ニコニコと笑っていた。
「オレの奥さんだよ。」
そう言いながら、ダニエルは厨房の方を覗き込んで見ていた。
「シェフは?いないの?」
「うん、今日はね、ダーリンと一緒に組合の集まりに行って明日の夜帰って来るの。」
「そうか・・・それなら仕方がないな。」
やっと店に来る気持になれたのに、これが運命というものだろうか。
「ところで・・・・ダーリンって?」
「ジュングよ・・ほら、いつもシェフと一緒にいる人。彼に結婚して欲しいって言ってるんだけど、何だかね・・・・昔の彼女が忘れられないって・・・結婚式の直前にどこかに消えちゃった酷い女なのに、ダーリンには大切な人なんだって。」
事情も知らない女の子は、二人が座ったテーブルに、ウォーターピッチャーとコップを置いた。
「ハニ、折角来たのだから食べて行こうか?」
パパに会いたかったけど、いないのなら仕方がない。
「ランチ・・・を、多分こんなに食べられないから・・・・」
「オレがハニが食べられない分を食べてやるから、食べておかないと後悔するぞ。」
「ランチ二人分ね・・・待っててね。ランチの分だけシェフとダーリンが朝早くから準備していてくれたから、他の人は温めて出すだけなの。」
そう言って厨房に向かってランチのオーダーが入ったことを告げた。

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「女将さん、いつもすみません。夕方には戻って来ますから。」
明日には済州島に向かう二人は、最後になるこの日にギドンの店に二人で行く事にした。
ここ数日つわりもなく落ち着いているからなのか、顔色も良く頬が赤みを指している。
少しふっくらしたのは、妊娠によるものだが、これなら合わなかった10年間、父に元気でいた事は伝わる。
あえて一度流している事も言わなくていいだろう。
言えば、父の性格上、自分の責任にしてしまう。
そんな所は、いつも自分と似ていると思う。
ここに来てからあまりようもなく外に出たことはなかったが、ダニエルの用事で買い物に出たり、妊娠の傾向があったから病院に行ったりしたくらいで、地下鉄に乗ったりバスに乗るのは10年ぶり。
バスを降りて、≪ソ・パルボクククス≫に向かって歩くまでの道のり、緊張はしていたが自分の中でスンジョを吹っ切ることが出来て新たな道を選んで気持ちが清々しくも感じる。
ソウルに戻って来てから一度だけ遠く離れた所から店内の様子を見たが、店の前の『welcome』と書かれたマットの上に乗るのは10年ぶり。
客に料理を運んでいる女の子はバイトの子だろうか。
明るい髪の色で少し派手な女の子だと思ったけど、ドアを開けた瞬間にこちらを向いたその女の子は元気な外人の女の子だった。
「いらっしゃいませぇ~~」
言葉の語尾を極端なほどに伸ばすその女の子は、ダニエルの顔を見て親しそうな笑顔を向けた。
「ダニエル、久しぶりだね。最近来なかったけど・・・彼女が出来たの?」
ダニエルの横に並んで立っているハニを見て、ニコニコと笑っていた。
「オレの奥さんだよ。」
そう言いながら、ダニエルは厨房の方を覗き込んで見ていた。
「シェフは?いないの?」
「うん、今日はね、ダーリンと一緒に組合の集まりに行って明日の夜帰って来るの。」
「そうか・・・それなら仕方がないな。」
やっと店に来る気持になれたのに、これが運命というものだろうか。
「ところで・・・・ダーリンって?」
「ジュングよ・・ほら、いつもシェフと一緒にいる人。彼に結婚して欲しいって言ってるんだけど、何だかね・・・・昔の彼女が忘れられないって・・・結婚式の直前にどこかに消えちゃった酷い女なのに、ダーリンには大切な人なんだって。」
事情も知らない女の子は、二人が座ったテーブルに、ウォーターピッチャーとコップを置いた。
「ハニ、折角来たのだから食べて行こうか?」
パパに会いたかったけど、いないのなら仕方がない。
「ランチ・・・を、多分こんなに食べられないから・・・・」
「オレがハニが食べられない分を食べてやるから、食べておかないと後悔するぞ。」
「ランチ二人分ね・・・待っててね。ランチの分だけシェフとダーリンが朝早くから準備していてくれたから、他の人は温めて出すだけなの。」
そう言って厨房に向かってランチのオーダーが入ったことを告げた。

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