すぐにハニを探しに行かないと。
若い木々の緑が美しい時にハニは姿を隠した。
暑い夏が過ぎても、ハニがどこにいるのか消息はなかった。
何度もハニの父親のいる村を訪ねて、その後はにが父と妹を訪ねて来たのかを聞いても答えはいつも同じだった。
「ハニは、親にも気を使う娘だ。スンジョさんの所を出て来たのなら、ここには顔を出さないだろう。」
最愛の妻を亡くし、大切な娘が行方不明になり、見るからにやつれて来たギドン。
幼い妹も、大人たちの様子を敏感に感じ取っていた。
その妹も、言葉をかなり話すことが出来る様になり、幼心にも覚えているスンジョの顔を見ては姉を思い泣いていた。
「スンジョ、私と母上とウンジョはここでしばらく静養をするから、ギドンさんとハナちゃんの事は気にしないで探してくるといい。」
持病の心臓の治療に時々定期的に訪れる診療所。
ここが拠点で探すことが出来るのが一番スンジョにも負担にはならなかった。
「スンジョさん、花屋の女将さんは、色々な場所を移動する。冬場はあの村にはいないはずだよ。」
ヘラからハニがいる場所を知っているのは花屋のおばさんだと聞いてすぐにこれば良かった。
父のスチャンは迎えた嫁の不実が精神的に堪えて、実家に戻した後に心労で倒れてしまったのだ。
スンジョも父の仕事を代わりに行いながら、とても海辺の村に行く時間を作ることが出来なかった。
海辺の村は、診療所よりも北にあり、峠を越えて行く為には秋には到着し、出来るだけ時間を掛けないでハニを見つけたかった。
久しぶりにハニと暮らしたギドンとハナの住む小屋。
あの時は、記憶が無くこれからの事に不安だらけで、ハニの笑顔だけが救いだった。
ハナを見ていると、ソラを思い出す。
ハニはソラを見て、残してきた妹のハナを思っていたのだろう。
あの広い屋敷に、独りで話をする相手は侍女のギミだけ。
どれほどの孤独感と、不安感でいたのか想像も出来ない。
「雪が降りそうね・・・・」
グミは空を見上げてそう呟いた。
グミの前にはウンジョとハナが仲良く遊び、いつも一人遊びをしていたハナは嬉しそうだ。
「マゴジャを着て行って・・・・・それとこれはハニさんと生れているはずの二人の子供の分よ。」
ハニが出て行ってから季節が二度変わったが、スンジョは季節が変わっている事さえ忘れていた。
誰かが傍にいて、子供を取り上げてくれたのだろうか。
海辺の村と行き来するための通過地点のこの村なら、ハニを見かけた人もいるはず。
「父上、母上・・・・お義父さん、行ってまいります。」
「気を付けて行くんだ。」
心臓の病でやつれた父の顔も、不安で強張っている。
ハニを一目見た時から気に入った母は、ハナを相手しながら涙を浮かべていた。
「スンジョさん、山に行くためには花屋のポルさんに告げてから入るように。彼女は霊力もあるから、無事を祈ってくれる。」
家族の願いを背負うようにして、スンジョは診療所から馬に乗り、海辺の村へ向かった。

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若い木々の緑が美しい時にハニは姿を隠した。
暑い夏が過ぎても、ハニがどこにいるのか消息はなかった。
何度もハニの父親のいる村を訪ねて、その後はにが父と妹を訪ねて来たのかを聞いても答えはいつも同じだった。
「ハニは、親にも気を使う娘だ。スンジョさんの所を出て来たのなら、ここには顔を出さないだろう。」
最愛の妻を亡くし、大切な娘が行方不明になり、見るからにやつれて来たギドン。
幼い妹も、大人たちの様子を敏感に感じ取っていた。
その妹も、言葉をかなり話すことが出来る様になり、幼心にも覚えているスンジョの顔を見ては姉を思い泣いていた。
「スンジョ、私と母上とウンジョはここでしばらく静養をするから、ギドンさんとハナちゃんの事は気にしないで探してくるといい。」
持病の心臓の治療に時々定期的に訪れる診療所。
ここが拠点で探すことが出来るのが一番スンジョにも負担にはならなかった。
「スンジョさん、花屋の女将さんは、色々な場所を移動する。冬場はあの村にはいないはずだよ。」
ヘラからハニがいる場所を知っているのは花屋のおばさんだと聞いてすぐにこれば良かった。
父のスチャンは迎えた嫁の不実が精神的に堪えて、実家に戻した後に心労で倒れてしまったのだ。
スンジョも父の仕事を代わりに行いながら、とても海辺の村に行く時間を作ることが出来なかった。
海辺の村は、診療所よりも北にあり、峠を越えて行く為には秋には到着し、出来るだけ時間を掛けないでハニを見つけたかった。
久しぶりにハニと暮らしたギドンとハナの住む小屋。
あの時は、記憶が無くこれからの事に不安だらけで、ハニの笑顔だけが救いだった。
ハナを見ていると、ソラを思い出す。
ハニはソラを見て、残してきた妹のハナを思っていたのだろう。
あの広い屋敷に、独りで話をする相手は侍女のギミだけ。
どれほどの孤独感と、不安感でいたのか想像も出来ない。
「雪が降りそうね・・・・」
グミは空を見上げてそう呟いた。
グミの前にはウンジョとハナが仲良く遊び、いつも一人遊びをしていたハナは嬉しそうだ。
「マゴジャを着て行って・・・・・それとこれはハニさんと生れているはずの二人の子供の分よ。」
ハニが出て行ってから季節が二度変わったが、スンジョは季節が変わっている事さえ忘れていた。
誰かが傍にいて、子供を取り上げてくれたのだろうか。
海辺の村と行き来するための通過地点のこの村なら、ハニを見かけた人もいるはず。
「父上、母上・・・・お義父さん、行ってまいります。」
「気を付けて行くんだ。」
心臓の病でやつれた父の顔も、不安で強張っている。
ハニを一目見た時から気に入った母は、ハナを相手しながら涙を浮かべていた。
「スンジョさん、山に行くためには花屋のポルさんに告げてから入るように。彼女は霊力もあるから、無事を祈ってくれる。」
家族の願いを背負うようにして、スンジョは診療所から馬に乗り、海辺の村へ向かった。

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