ギドンはスンジョからの話を聞きしんみりとした。
「そうか・・・記憶が少し戻ったか・・・・」
「戻ったと言っても、ほんの一瞬ですから何も変わりません。まだ、自分の名前さえ今使っている名前でいいのかもわからないのですから。」
ギドンの空になった器にスンジョは酒を注ぎ入れた。
「父さん・・・・ハニも来たよ。」
「ぉお・・・来たか・・・まぁここに座りなさい。」
温かい湯に浸かり幾分顔色が戻り落ち着いた様子のハニだが、男に襲われた事がショックで震えていた。
「ハニや・・・・父さんと母さんがお前が外にいる時に奥に行って怖い思いをさせて悪かった。」
頭を下げる父にハニは首を横に振るだけ。
その時の恐怖が押し寄せたのか、ハニはまた大粒の涙を落とした。
「ハナ・・・ハニ・・・・この村を出ようと思うけど・・・」
「そうだね、さっきみたいなことがまた遭ったりしたら今度は助けられないかもしれないし・・・・」
「父さん・・・・母さん・・・私がいけないの・・・宿を閉めてこの村を出て行くなんて・・・」
ハニにしたら、生まれた時からこの村に住んで一度も出たことが無いから、村を出て行くことの選択肢は無かった。
「気にせんでいいよ、ハニ・・・・父さんも母さんも元々はこの村の人間じゃない。お前にも話していなかったが言っておいた方がいいな・・・・・スンジョさんも聞いてくれるか?」
「はい・・・」
「ハナ・・・例の物を・・・」
ギドンに“例の物”を持って来るように言われて、隣の自分たちの部屋に行って直ぐに七宝焼き(チルポコンイェ)の箱を持って来た。
ハニは昔、ハナが箱の中に有る物を手入れしている時に欲しいとせがんだ箱だと気が付いた。
「この箱はな、オ家に伝わる大切な思い出の箱だ。今から父さんが言う事は身内にしか伝えてはいけないと言われている事だが、スンジョさんにここにいてもらった理由はハナにもまだ言っていなかったが、ハニを嫁に貰ってくれると言う事でいて貰った。」
驚いて顔を上げたハニは、自分の思いを父がスンジョに伝えたのだと思っているようだった。
「そんな・・・・父さん・・私の身体は綺麗じゃない・・・スンジョ様はこんな私に同乗して・・・・」
「同情じゃないですよ。ハニさんと出会った時から、ハニさんと一緒にいる事が遠い昔から決まっていたように心が安らぐのです。ただ、どこの誰かも自分の名前さえ分からない私が、その思いをハニさんに言うことは出来なかった。」
「先日な・・・・父さんがスンジョさんに軽い気持ちで話したんだ。ハニを貰ってくれんかと・・・・・断られても仕方がないし、いずれ記憶が戻ったらハニとは別れて自分の生活に戻るから断ると思っていたら、ほとんど即答でハニと夫婦になりたいと・・・そう言ってくださった。」
ハナは何かピンと来たようで、ハニの腕に触れた。
「心当たりに今気が付いたよ。どうして1日一本づつハニの為に花を買って来るのか気になっていたよ。そうかそうか・・・・・」
ハニの悲しい出来事に家の中は暗くなっていたが、ギドンからスンジョがハニと夫婦になる子を望んでいることを知りハナは嬉しかった。
「ハニさん、私は自分の事を何もわかりませんが、ハニさんと夫婦になっていただけませんか?」
何もなければハニはスンジョのこの申し出を即答で来た。
自分の汚れた身体の事も気になるが、いつか記憶が全て戻った時に、本来のスンジョの生活に戻らなければならなくなった時のことを思うと、どう過ごしていのか解らなかった。

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「そうか・・・記憶が少し戻ったか・・・・」
「戻ったと言っても、ほんの一瞬ですから何も変わりません。まだ、自分の名前さえ今使っている名前でいいのかもわからないのですから。」
ギドンの空になった器にスンジョは酒を注ぎ入れた。
「父さん・・・・ハニも来たよ。」
「ぉお・・・来たか・・・まぁここに座りなさい。」
温かい湯に浸かり幾分顔色が戻り落ち着いた様子のハニだが、男に襲われた事がショックで震えていた。
「ハニや・・・・父さんと母さんがお前が外にいる時に奥に行って怖い思いをさせて悪かった。」
頭を下げる父にハニは首を横に振るだけ。
その時の恐怖が押し寄せたのか、ハニはまた大粒の涙を落とした。
「ハナ・・・ハニ・・・・この村を出ようと思うけど・・・」
「そうだね、さっきみたいなことがまた遭ったりしたら今度は助けられないかもしれないし・・・・」
「父さん・・・・母さん・・・私がいけないの・・・宿を閉めてこの村を出て行くなんて・・・」
ハニにしたら、生まれた時からこの村に住んで一度も出たことが無いから、村を出て行くことの選択肢は無かった。
「気にせんでいいよ、ハニ・・・・父さんも母さんも元々はこの村の人間じゃない。お前にも話していなかったが言っておいた方がいいな・・・・・スンジョさんも聞いてくれるか?」
「はい・・・」
「ハナ・・・例の物を・・・」
ギドンに“例の物”を持って来るように言われて、隣の自分たちの部屋に行って直ぐに七宝焼き(チルポコンイェ)の箱を持って来た。
ハニは昔、ハナが箱の中に有る物を手入れしている時に欲しいとせがんだ箱だと気が付いた。
「この箱はな、オ家に伝わる大切な思い出の箱だ。今から父さんが言う事は身内にしか伝えてはいけないと言われている事だが、スンジョさんにここにいてもらった理由はハナにもまだ言っていなかったが、ハニを嫁に貰ってくれると言う事でいて貰った。」
驚いて顔を上げたハニは、自分の思いを父がスンジョに伝えたのだと思っているようだった。
「そんな・・・・父さん・・私の身体は綺麗じゃない・・・スンジョ様はこんな私に同乗して・・・・」
「同情じゃないですよ。ハニさんと出会った時から、ハニさんと一緒にいる事が遠い昔から決まっていたように心が安らぐのです。ただ、どこの誰かも自分の名前さえ分からない私が、その思いをハニさんに言うことは出来なかった。」
「先日な・・・・父さんがスンジョさんに軽い気持ちで話したんだ。ハニを貰ってくれんかと・・・・・断られても仕方がないし、いずれ記憶が戻ったらハニとは別れて自分の生活に戻るから断ると思っていたら、ほとんど即答でハニと夫婦になりたいと・・・そう言ってくださった。」
ハナは何かピンと来たようで、ハニの腕に触れた。
「心当たりに今気が付いたよ。どうして1日一本づつハニの為に花を買って来るのか気になっていたよ。そうかそうか・・・・・」
ハニの悲しい出来事に家の中は暗くなっていたが、ギドンからスンジョがハニと夫婦になる子を望んでいることを知りハナは嬉しかった。
「ハニさん、私は自分の事を何もわかりませんが、ハニさんと夫婦になっていただけませんか?」
何もなければハニはスンジョのこの申し出を即答で来た。
自分の汚れた身体の事も気になるが、いつか記憶が全て戻った時に、本来のスンジョの生活に戻らなければならなくなった時のことを思うと、どう過ごしていのか解らなかった。

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