「ウンジョ・・・まだ寝ないのか?」
「春休みだから。」
九つ離れたスンジョの弟のウンジョはいつもあこがれている兄のそばにいたかった。

「お兄ちゃんも卒業式が終わってからいつも寝るのが遅いのに・・・本を広げていても、もう何日も同じページだよ。」
ウンジョの方が気が付いていた。
確かに本は広げているけれど、読んでいるつもりでも頭に入っていない。

「いいから・・寝ろ。」
ウンジョは兄に言い返すことはしない。
小学生の子供が深夜近くまで春休みでも起きていることはよくないし、いくら春休みでもさすがにこの時間に起きているのはと思ったのか、ウンジョはベッドに入って眠ることにした。

スンジョが眠れないのは、謝恩会でハニと言い争った後の出来事が、自分らしくなく気持ちが落ち着かなかった。
ハニの唇は柔らかく、少しヒヤッとするが温かかった。
なぜそうしたのか自分でもわからなかった。
ただ、ハニが言った一言が癪に障り、その言葉を途中で封じたかったから。

『大学生になったら、スンジョ君以外の人と出会い、恋愛をして楽しい思い出を作るの』


あいつは大学に勉強をしに行くのじゃないのか?
目的もなく大学に行くのは自分も同じかもしれない。
冷めた目で世間を見ている自分と、遊ぶ楽しさを堂々と言葉にするハニとは大差ないかもしれない。
リビングで母と話しているハニの声だけが、スンジョの耳によく聞こえた。

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