聞かれていたの?

スンジョの母ファン・グミは勘が鋭い。
特に若い人たちの気持ちには、そこらの母親たちよりも敏感に感じ取るから、あの日帰宅してからは何があったのか気づかれないようにしていた。
気づかれないようにしていても、ハニには隠し通せる能力はなかった。

「特に何も・・・・」
「何もなかったの?」
胡麻化しても胡麻化しきれるだろうか・・・
「何もなかったと言っても、おばさんには隠し事はできないですよね。」
話が聞き出せると思ったグミの瞳は、まるで噂話が好きな若い女性のように瞳を輝かせていた。

「またやってしまったんですよ・・・・大切な記念の日なのに・・・おばさんがツーショット写真を撮ってくれたのに、それが台無しだったんです・・・」
「そうなの?」
「AクラスとFクラスが偶然に謝恩会の会場でニアミスして、些細なことでスンジョ君と喧嘩をしたんです・・・・」
こんな嘘のような話を信じてくれるとは思わないけど、今はこの話でこの場の私の気持ちを誤魔化したい。

「どうしてスンジョは乙女心をわからないのかしら・・・帰ってきたときのハニちゃんの赤い顔に、スンジョの落ち着かない態度が気になったから、キスでもしたのかしらと思ったのに違っていたのね・・・」
やっぱり聞かれていた、聞いたのにおばさんは聞いていない振りをしてくれた。
いつものように気づいていないことにしてくれている。
おばさんは、私のためにいつも気を使ってくれて、本当にありがたい。

「入学式までは、バイトで忙しいと思うからスンジョと顔を合わせないけど、仲直りをして楽しい大学生活を始めてね・・・・・おやすみ・・・」
寝室に向かって歩いているグミの後姿を、ハニは黙って見送った。
母を早くに亡くしたから、恋愛相談やつまらない愚痴話などを同年齢の子たちのような母と娘の出来事を思い出としてもこの先も残ることはできない。
自分の心の中だけでも、母親代わりに話を聞いてくれるグミを母親と思いたい。

「おばさんの言う通り・・・なんだが眠れそう・・・」
雑誌をまとめ、空になったマグカップを片付けると、静かに二階へ通じる階段を上がって部屋に向かった。


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