顔も知らない女人との婚儀
祖父母や両親のように幼い頃から知っている相手でもない
『世子、そんな顔をしないで・・せめて口角を上げるだけでも・・・』
母さんは王宮ではなく、小さな島で幼少を過ごすことになったのを気にしている。
そうじゃない、どうせ政略結婚で皇室に取り入りたい派閥の両班の家柄の娘なら、せめて見た目だけでも自分の好みの女人がいい。
頭は悪くてもいい、純粋でいつまでも乙女な女人・・そう、母さんの様な娘が良い。
スンリ世子としての公の場が、自分の婚儀の日だった。
参列している臣下達からは背中しか見えない。
スンいやスンリは、そっと横目で隣に並んでいる世子嬪の顔を見た。
横顔には不満はない。
ゆっくりと視線を下に向けると、僅かに体が震えていた。
内官より聞いた年齢は13歳になったばかりと聞いたばかりだから、自分よりも3歳年齢が下だ。
「世子様、移動してくださいませ。」
尚宮が囁き移動をしようと顔を上げた時、先に動いていた世子嬪と視線が合った。
ポッと顔が赤くなった表情に、スンリはドキンとした。
まだ幼児みたいな顔だ
化粧をしているが、表情は幼い子供の様だった。
なぜか、初めて会う世子嬪に身体全体に雷が落ちた様にピリピリとした。
宴は、好きではないしつまらない。
自分は慣れているが、こんな時にこの世子嬪は、何を考えているのだろう。
楽器の演奏が途切れた瞬間に、聞こえてきた小さな声。
「お腹が空いた・・」
その言葉にスンリは笑い声を上げたいほどだった。
早朝から着付けで何も口にしていないのだろう。
食べたくても、衣装などの装飾品があっては手が届かない。
スンリは、自分の前の食べやすそうな物を見つけて箸でそれを挟んだ。
「ほら、 臣下に見えない様にこっちを向いて口を開けろ。」
「えっ!」
挟んだ料理を婚儀の最中に世子嬪に食べさせるのは前代未聞だ。
決まりではないが、世子嬪が人前で夫になったばかりの世子に食べさせて貰う事は考えられなかった。
その様子に気づいた内官や尚宮初め女官が慌てたが、臣下達は思わず『おー』と声を漏らしていた。
恐らく実家から連れてきた乳母なのか、世子嬪を嗜めていた。
「嬪宮、私にも食べさせてくれないか?」
それはスンリが、実家から連れてきた乳母に嗜めてられ悲しそうにした世子嬪を庇っての言葉だった。
その行いが、この先の世子の婚儀での恒例となる事は誰も考えられないだろう。

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祖父母や両親のように幼い頃から知っている相手でもない
『世子、そんな顔をしないで・・せめて口角を上げるだけでも・・・』
母さんは王宮ではなく、小さな島で幼少を過ごすことになったのを気にしている。
そうじゃない、どうせ政略結婚で皇室に取り入りたい派閥の両班の家柄の娘なら、せめて見た目だけでも自分の好みの女人がいい。
頭は悪くてもいい、純粋でいつまでも乙女な女人・・そう、母さんの様な娘が良い。
スンリ世子としての公の場が、自分の婚儀の日だった。
参列している臣下達からは背中しか見えない。
スンいやスンリは、そっと横目で隣に並んでいる世子嬪の顔を見た。
横顔には不満はない。
ゆっくりと視線を下に向けると、僅かに体が震えていた。
内官より聞いた年齢は13歳になったばかりと聞いたばかりだから、自分よりも3歳年齢が下だ。
「世子様、移動してくださいませ。」
尚宮が囁き移動をしようと顔を上げた時、先に動いていた世子嬪と視線が合った。
ポッと顔が赤くなった表情に、スンリはドキンとした。
まだ幼児みたいな顔だ
化粧をしているが、表情は幼い子供の様だった。
なぜか、初めて会う世子嬪に身体全体に雷が落ちた様にピリピリとした。
宴は、好きではないしつまらない。
自分は慣れているが、こんな時にこの世子嬪は、何を考えているのだろう。
楽器の演奏が途切れた瞬間に、聞こえてきた小さな声。
「お腹が空いた・・」
その言葉にスンリは笑い声を上げたいほどだった。
早朝から着付けで何も口にしていないのだろう。
食べたくても、衣装などの装飾品があっては手が届かない。
スンリは、自分の前の食べやすそうな物を見つけて箸でそれを挟んだ。
「ほら、 臣下に見えない様にこっちを向いて口を開けろ。」
「えっ!」
挟んだ料理を婚儀の最中に世子嬪に食べさせるのは前代未聞だ。
決まりではないが、世子嬪が人前で夫になったばかりの世子に食べさせて貰う事は考えられなかった。
その様子に気づいた内官や尚宮初め女官が慌てたが、臣下達は思わず『おー』と声を漏らしていた。
恐らく実家から連れてきた乳母なのか、世子嬪を嗜めていた。
「嬪宮、私にも食べさせてくれないか?」
それはスンリが、実家から連れてきた乳母に嗜めてられ悲しそうにした世子嬪を庇っての言葉だった。
その行いが、この先の世子の婚儀での恒例となる事は誰も考えられないだろう。

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