「スンはどう思う?」
「どう・・・・て・・」
今は子供でも、いつかは自分で決めて応えを出さなくてはいけない時が来る。
人の見本になる時は、まだ先でも自分で決めなければ、人の分別も見極めなければいけない。
「もし、キョンが言った事が事実なら、スンは弟として考えられなくなるの?」
「母さん・・・・分からないよ・・・・ずっとキョンは僕の弟だと思っていたから。」
今は母として答えてあげよう。
スンなりの答えが出た時は、スンの答えを尊重すればいいのだから。

「スンがキョンを弟と思っているのなら、それでいいのじゃないかしら。母さんは記憶が無い時に、スンを可愛がってくれたポン・ジュングの妻と思っていたし、おばあちゃんはスンのおばあちゃんと思っていたわ。二人ともスンは血の繋がりのない子供でも、自分の子供で自分の孫と思って大切にしてくれたでしょ?母さんは、あの時は記憶が無い事に毎日がとても不安で、何度も死んでしまおうと思ってたの。でもお二人の温かい心遣いに、ここがもしかしたら本当の居場所かもしれないと思えるようになったの。でも、それは母さんの考えで、それに左右されないでスンがどう思っているかという事が大切なの。」

スンは私の言っている事を理解できる。
まだ子供でも、自分が迷っている事の答えを出す事の出来る子供だ。

「どうしてキョンの父上は西欧人かは知らないけど、父上もキョンをスンの弟だと言っていたし、姉上も キョンを弟として可愛がっていたから、僕もキョンを弟と思うよ。」
いずれは出自を知るかもしれない。
その時に、スンがキョンを守り助けてあげて欲しい。
血の繋がりのないスンハを大切に育ててくれた恵景妃に、嫉妬した時もあったけど、恵景妃も自分が生んだ子供でもない公主が慕ってくれていると知って可愛がってくれた。いつキョンの事を誰かに知られるかと不安になっていたのだから、心に余裕などなかったはず。

「母さん、インと弓の稽古をして来ます。」
まだ、女官たちの前でもハニを母上ではなく『母さん』と呼ぶけれど、少しずつ世子らしく成長しているスンの姿を見て、幼馴染だったスンジョと日に日に容姿が似て来るスンが愛おしかった。


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