木からスルスルと降りてきたスンは、父の前で少し恥ずかしそうにしていた。
スンジョはスンを見て、幼い頃にハニを思い出した。
ハニは木登りをすることはなかったが、頬を赤くするのではなく顔全体が赤くなっていた。
「スン、こっちにおいで。」
しゃがんでスンを両手を広げて迎えると、この人はいずれこの国の民が憧れる王になる人だと、幼いスンでもわかった。
「スン、スンはいつかこの国を治める王になる。今は帰ってきたばかりで元子と言う扱いでもないが、あと数日で元子として認めてもらえるだろう。」
生まれてから三年間、王族として育ってきたわけではないスンにとって『元子』であるかどうかはどちらでもよかったが、自分に従えている女官や内官を見ればそれとなく立場が理解できた。
「スンは、勉強をとても頑張っていると聞いたよ。まだお会いしていないお祖父様はとても喜ばれていた。もちろん父も嬉しい。」
「父さんは?」
スンにとって、まだ今はジュングが父親なのだろう。
これから少しずつ、ここでの生活にも慣れて理解する日は訪れるはず。
「あぁ、離れていても喜ばれていると思う。父さんのためにもここでの生活に早く慣れて行くといい。いつか、この国を治るスンにとって、喜んでもらうのは父さん一人ではないよ。塀の外の世界で生活している数え切れないほどの民が幸せに暮らす事を考えていくのがスンの仕事だよ。スンが目上の人たちの話をしっかり聞くことができるようになったら、母上と一緒に父さんに会いに行こう。」
本当?と言って目を輝かせているスンを見ると、この約三年間の空白は、そう簡単に埋める事ができない時間だった。

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スンジョはスンを見て、幼い頃にハニを思い出した。
ハニは木登りをすることはなかったが、頬を赤くするのではなく顔全体が赤くなっていた。
「スン、こっちにおいで。」
しゃがんでスンを両手を広げて迎えると、この人はいずれこの国の民が憧れる王になる人だと、幼いスンでもわかった。
「スン、スンはいつかこの国を治める王になる。今は帰ってきたばかりで元子と言う扱いでもないが、あと数日で元子として認めてもらえるだろう。」
生まれてから三年間、王族として育ってきたわけではないスンにとって『元子』であるかどうかはどちらでもよかったが、自分に従えている女官や内官を見ればそれとなく立場が理解できた。
「スンは、勉強をとても頑張っていると聞いたよ。まだお会いしていないお祖父様はとても喜ばれていた。もちろん父も嬉しい。」
「父さんは?」
スンにとって、まだ今はジュングが父親なのだろう。
これから少しずつ、ここでの生活にも慣れて理解する日は訪れるはず。
「あぁ、離れていても喜ばれていると思う。父さんのためにもここでの生活に早く慣れて行くといい。いつか、この国を治るスンにとって、喜んでもらうのは父さん一人ではないよ。塀の外の世界で生活している数え切れないほどの民が幸せに暮らす事を考えていくのがスンの仕事だよ。スンが目上の人たちの話をしっかり聞くことができるようになったら、母上と一緒に父さんに会いに行こう。」
本当?と言って目を輝かせているスンを見ると、この約三年間の空白は、そう簡単に埋める事ができない時間だった。

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