スンジョは、スンの気持ちに気づいていないことに気が付いた。
自由に動く事が出来、家族団欒の毎日。
父親代わりのジュングは、ハニの話では一時も離れずスンを可愛がっていた。

スンが登っている木のある庭に行くと、大勢の女官や宦官が集まっていた。
その中で声高に叫んでいるスンハが髪を乱していた。
お洒落で毎日高価なテンギや髪飾りを付け、時には一日に何度も着替えるのに合わせて、全ての装飾品を替えていたが、その装飾品はひとつも付いていなかった。

「スンハ、髪が乱れて・・」
ハニがスンハの髪に手を伸ばすと、スンハはハニの手を叩いた。
叩いた時に聞こえた音は思ったよりも大きくて、辺りに響いた。
「私よりあの猿を早く木から下ろして!」
ハニを避けているスンハが、本当は別の意味でハニの手を叩いたのはスンジョもわかっている。

「スンハ、猿ではない、弟のスンだ。いつまでも人見下すのでは無い。」
ぷいっとむくれた顔をして、スンハは自分付きの女官に部屋に行くと伝えて怒ってその場から離れた。
ハニは、幼い頃のスンハの記憶しかない。
離れ離れになった時は、今のスン位の年齢で、あの時はスンを身ごもり、体調が良くなかった事と
世子の長子が誕生するかもしれないということで、別邸で静養していた。
だが、聞き分けの良い子で我儘を言うことは無かった。

「惠景妃に、スンハの母親代わりを頼んだのが間違いだったのかも・・しかし、今はスンをあの場から下ろさないといけない。ここは私とスンだけにして、他の者達は下ってくれないか?妃は少し離れた所で見ていて。」
世子の言葉に従って、内官も女官もその場から離れると、ハニもその場から離れた。
あの高さの木に登ったことはないが、スンはジュングから木登りを教えてもらっているから、そんなに簡単に落ちたりすることはない。
記憶がない頃のことでも、ハニはジュングがスンに危険になることはさせたりしていないことは知っていた。

「スン、そこから何が見える?」
人払いをして、ここにいるのは自分と父だと気がついたのか、落ちたりしたら大変だと慌てている内官や女官たちもいないし、キャンキャンと叫んでいる姉もいない。

「宮中に仕えている人しかいない・・・・・・」
「スンは何か見たくて木に登ったのじゃないか」
「父さんとばあちゃんに会いたい・・・・」
本当の父親がスンジョで、祖母が王妃であることはわかっていても、生まれてから三年間そばで自分を大切にしてくれた人を簡単に忘れることは出来ない存在だ。
「そうか・・・・会いたいというのなら、まず木から降りてこないと会いに行けないのじゃないかな・・・・」
しばらく声も聞こえず物音もしなかったが、しばらくしてカサカサと葉と枝が擦れ合う音が聞こえるとスンは木から降りてきた。
下着姿でポソンもスンは履いていなかった。




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