「ハナは勝気で元気そうに見えるが、幼い頃より体が弱かった。預かっている娘だから、大変な事になってはいけないとギドンと引き離そうと、あの手この手を尽くしたが、一度こうと決めたらどんな手を使ってもハナのギドンへの想いは強くなるばかり・・・・両班の娘という地位を捨ててもギドンと一緒になると食事も摂らず・・・」
いつも毅然としているパルボクの瞳に涙が滲んでいた。
パルボクにとってハナは兄の娘というだけの存在ではなかったのかもしれない。

「日に日にやつれて弱って行くハナの為に、ギドンを両班の養子にしてハナと一緒にさせる事にした。だが、ギドンは自分に学はなく両班としての振る舞いが出来ないからと身を引くと言って生まれ育った故郷に帰って行った。後々、ハナに負担がかかると考えての事だと思うが、ハナはもう立ち直れないくらいに気力を失くして歩くことも出来ないくらいに弱ってしまった。だが・・・別れ離れになってしまったが、ハナが子を宿している事がわかり・・・実家に帰そうにも身重の体ではかえって命を縮めてしまうと思い、ペク家の離れに住まわせた。同じ頃にスチャンとグミにも子供が産まれるから、産まれたら双子として世間に思わせようとした。運がよかったのか悪かったのかは分からないが、お前たちは同じ日に産まれてくれたよ。」

自分達がこの世に生を受けてから一緒にいたのは事実だった。
ハニは実の父親に母と一緒に忘れ去られているのなら、スチャンが父親だと信じていた方が幸せなのかもしれない。
だがスンジョはハニをどこかの両班に嫁ぐ事はさせたくなかった。
血縁関係はないのなら、親の時代にどこかの両班に養子にさせよとしたハニの父親と同じようにすれば。

スンジョの考えている事が大人たちに分かるはずはないかもしれないが、スンジョのハニへの想いは姉弟としての想いとは違うと気が付いていた。
ハニの出生の秘密をスンジョに話したのは、過去の過ちを繰り返さない為でもあった。
ハニの父が漢陽に来ているかもしれない事は、パルボクやスチャンたちが予想もしていない事で、ハナを探しにペク家を訪れたらハニの存在も知られる可能性があった。

ギドンがハナの前から立ち去る時に、子供を宿している事を知っていたなら、ハニを連れて行くかもしれない。
だが、スンジョの母グミは、ハニを溺愛しているし、ハニは自分はペク家の娘だと思っている。
幼い頃は明るくてお転婆だったハニが、成長するにつれて俯いている事が多くなっている。
また昔のように明るく笑うハニの顔を見たかった。



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