父に言われてスンジョは迷った。
ここで本当の事を言うべきか、それともハニを守るために心を隠すか。
「ハニは、自分にとってずっと傍にいて欲しい大切な妹と思っています。」
「そうか・・・そうか・・・」
妹と言った言葉にスチャンは安心したように頷いたが、祖母と母に心をごまかしても通用する事はない。

「随分と前になりますが・・・・・」 
スンジョは祖母にハニと離れで一緒に暮らしていた人の事を聞く事にした。
「離れで・・・離れで暮していた人は誰ですか?」
心の内を見せない祖母がビクッとし、母もあわてたような表情に変わった。
「一時期、間借りをさせていた人がいたわ。その人の事かしら・・・」
スンジョが物心ついてから間借りしていた人は、ハニと一緒に暮らしていた女性。
幼い時のハニは、いつもその人を「お母様」と呼んでいた。

「ハニと一緒に暮らしていた人です。」
スチャンがスンジョから顔を逸らし、パルボクは拳を固く握っていた。
「ハニはその人を『お母様』といつも呼んでいました。父上に『ハニは一生ぼくが守ります』と言った日を憶えていますか?ハニは幼い頃から私の事を『お兄様』と呼んでいましたが、妹ではない事は幼くても認識していました。あの日、離れで暮していたあの女性が亡くなった日までの、ハニの記憶はありませんがハニのあの時の泣いている顔を一生忘れる事は出来ません。あの女性はハニのお母様・・・ですか?」

沈黙が続いた。
両親はきっと話さない。
ペク家は、パルボクが健在なうちは家長がスチャンでも、スンジョが聞いたことに答える権限はない。
祖母が離れに住んでいた人の事を、今まで一言も話さなかったのだから話すはずはない。
だが、パルボクは意を決したようにポツリと話し出した。

「離れに住んでいた女性は、私の実家の遠縁の兄の娘だ。ハニに厳しくしたのは苦しめるためではない。あの子はあまりにもハナに似ていたから、ハナのように悲しみ苦しみ病に罹ってしまわないようにしたかっただけ。時期が来たら私が認めた家に嫁がせたいと思っていた。」
ハニをどこかの家に嫁がせるため厳しくしていた。
ポン・ジュングは何も考えていないようでも、スンジョから聞いた妹のハニの話で、休暇に家に戻る日の一日をスンジョと一緒にペク家に来てハニと会った。
友達という人を持たないスンジョにとって、ジュングや唯一ハニ以外気を使わなくて話せる相手だった。

「ハニのお父様は、どんな方ですか?それとも父上がハニのお父様でですか?」
スンジョがハニの父親の事を聞いたのは、スンジョにある決意があったからだった。


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