ハニを静かにベッドに降ろすと、室内の電気を点けた。
「ハニ・・・分かるか?」
コクンと頷くが、声が出ないのか少し開いた唇が震えていた。
ハニの異変は明らかだった。
熱があるから瞳は潤んでいたが、その瞳は見えていないのかスンジョを通り越して遠くを見ていた。
「冷蔵庫の中を見て来るから、そのまま横になっていろよ。」
一人で起き上る事が出来る状況でないのは明白だった。
初めて入ったハニの部屋だが、冷蔵庫の中に何も入っていないとは思ってはいなかった。
「お袋・・・どれだけ実の息子よりもハニが可愛いんだよ。」
冷蔵庫の中にはグミが定期的に訪れては、食料や飲料水を補充されていた。
一本のペットボトルとグラスを持って、スンジョはまた寝室に向かった。
ハニはスンジョが部屋から出た時と一㎜も変わらず動いていなかった。
人形のようにと言うより、生きた屍と言った方がいいくらい、覇気がなく熱は高くても温かみのない生き物のように見えた。
「よく冷えているから、ゆっくりと飲めよ。起きられるか?」
こちらの問いにはわずかに反応はするが、熱の影響で体が動かない。
身体を支えるようにして起こすと、背中にいくつかのクッションを当ててもたれさせた。
ハニの目に映るのは自分の姿なのか、それとも何も見えていないのか見当もつかない。
専門外の症状に、自分の知識でも対応できないのは歯がゆい。
医師である自分にどうすることも出来ない。
「ハニ・・・待っていろよ。」
ハニの部屋を出て自分の部屋に行けば、専門知識のある医師仲間を呼ぶ事は出来るが、ハニの部屋を一度出てしまえばキーを持っていなければ部屋に入れない。
アイツは今日は非番だ。
非番でも治療に必要な薬を持って来る事は可能だ。
「非番の時に悪い・・・・今から話す事を聞いて、必要な物をオレの自宅に持って来てほしい・・・ちゃんと理由を言えばきっと協力してくれるはずだから、一緒に来てほしい・・・」
ハニの性格はよく知っていたが、こんな風になるとは予想もしていなかった。
明るく笑いながら仕事をしているハニを見て、パラン大病院を去るつもりだった。

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「ハニ・・・分かるか?」
コクンと頷くが、声が出ないのか少し開いた唇が震えていた。
ハニの異変は明らかだった。
熱があるから瞳は潤んでいたが、その瞳は見えていないのかスンジョを通り越して遠くを見ていた。
「冷蔵庫の中を見て来るから、そのまま横になっていろよ。」
一人で起き上る事が出来る状況でないのは明白だった。
初めて入ったハニの部屋だが、冷蔵庫の中に何も入っていないとは思ってはいなかった。
「お袋・・・どれだけ実の息子よりもハニが可愛いんだよ。」
冷蔵庫の中にはグミが定期的に訪れては、食料や飲料水を補充されていた。
一本のペットボトルとグラスを持って、スンジョはまた寝室に向かった。
ハニはスンジョが部屋から出た時と一㎜も変わらず動いていなかった。
人形のようにと言うより、生きた屍と言った方がいいくらい、覇気がなく熱は高くても温かみのない生き物のように見えた。
「よく冷えているから、ゆっくりと飲めよ。起きられるか?」
こちらの問いにはわずかに反応はするが、熱の影響で体が動かない。
身体を支えるようにして起こすと、背中にいくつかのクッションを当ててもたれさせた。
ハニの目に映るのは自分の姿なのか、それとも何も見えていないのか見当もつかない。
専門外の症状に、自分の知識でも対応できないのは歯がゆい。
医師である自分にどうすることも出来ない。
「ハニ・・・待っていろよ。」
ハニの部屋を出て自分の部屋に行けば、専門知識のある医師仲間を呼ぶ事は出来るが、ハニの部屋を一度出てしまえばキーを持っていなければ部屋に入れない。
アイツは今日は非番だ。
非番でも治療に必要な薬を持って来る事は可能だ。
「非番の時に悪い・・・・今から話す事を聞いて、必要な物をオレの自宅に持って来てほしい・・・ちゃんと理由を言えばきっと協力してくれるはずだから、一緒に来てほしい・・・」
ハニの性格はよく知っていたが、こんな風になるとは予想もしていなかった。
明るく笑いながら仕事をしているハニを見て、パラン大病院を去るつもりだった。

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