静かなリビングでハニはマグカップを両手で持って、窓の外に積もる雪を眺めていた。
一人でいるのが怖くて何かに怯えていたのは随分と前の事。
小さなスンハを膝にのせて、壁際のソファーに座っていたのは今から20年以上前の事。
ふとサイドボードの上のフォトスタンドを眺めると、近づいて最近写したと思われる写真の入ったフォトスタンドを手にした。
「初めて会った時のウンジョ君とよく似て・・・・・」
人のよさそうなインスンに寄り添うようにこちらを見て幸せな笑みを浮かべているスンハと、二人の前に立っているスンジョとハニの孫のインハ。
傷ついた顔で帰って来た時から慌ただしく結婚をして、二人で本当に努力していた。
「もうすぐスンハも二人目の赤ちゃんが産まれるし・・・・春にはスンリはパラン高校生。この家にスンジョ君と二人だけになっちゃう。」
スンジョと二人だけで生活をした事もなければ、二人だけで外出もした事がなかった。
高校生の時に片想いをした時は、ずっと『ペク・スンジョの彼女』と言われたらどんなに嬉しいかと、叶わない思いをいつも抱いていた。
付き合うとか付き合わない、好きだとも言われた事もなかったが、こっそりと家族に分からないようにハニの部屋で過ごすようになった時は、何も言わなかったがこうして過ごす事が自然な事だと思うようになっていた。
お互いに何も言わなかったが、いつか結婚をすると自然とそう思っていた。
ハニにとって予想外の妊娠だったかもしれないが、スンジョにとってはもしかしたら計画的だったのかもしれない。
「あ・・・帰って来た。」
両手に持っていたマグカップをテーブルに置くと、ハニは家族が出入りする入り口のドアを開けた。
「お帰り・・遅いから心配しちゃった。」
「これ、お袋から・・それとこれがスンハとインスン君からハニへ渡してくれって。」
ペーパーバックを二つ受け取ると、その中を少し見てスンジョの上着を受け取った。
「スンリは、オレが使っていた部屋を気に入ってくれたよ。」
「お義母さんが、いつでも私たちが帰って来られるようにしていてくれたんだよね。なんだか申し訳ないな。」
スンジョの部屋を二人が帰って来る事になったら使えるようにリフォームをしてくれていた。
「気にする事はないさ。スンリだけをソウルに行かせると最初から話していたのに、勝手にお袋がオレ達もかえるとおもっていただけだから。」
今夜からはこの決して広くはない家にスンジョとハニの二人だけになる。
いつかは子供たちも親元を離れて行く事は分かっていたが、実際にスンジョと二人だけになると家の中が緊張するくらいに静かだった。
「お義父さんが亡くなってから、お義母さんはスンハも結婚して淋しかったんだよね・・・」
「それは分かっているけど、まだお袋は活動的だから数年はオレたちは二人だけの生活を楽しめばいいさ。いずれはここを一度は離れるけど、ここは都会とは違って時間の流れがゆっくりでいい所だから、ハニのお母さんが好きだった星空を見て昔の話をするのもいいのじゃないかな・・・」
「そうだね。」
雪空で今日は星を見る事は出来ないが、母が好きだった星空を見て越える事が出来そうにもなかった山を越える事が出来、ハニも母が好きだった星空が最近は好きだった。

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一人でいるのが怖くて何かに怯えていたのは随分と前の事。
小さなスンハを膝にのせて、壁際のソファーに座っていたのは今から20年以上前の事。
ふとサイドボードの上のフォトスタンドを眺めると、近づいて最近写したと思われる写真の入ったフォトスタンドを手にした。
「初めて会った時のウンジョ君とよく似て・・・・・」
人のよさそうなインスンに寄り添うようにこちらを見て幸せな笑みを浮かべているスンハと、二人の前に立っているスンジョとハニの孫のインハ。
傷ついた顔で帰って来た時から慌ただしく結婚をして、二人で本当に努力していた。
「もうすぐスンハも二人目の赤ちゃんが産まれるし・・・・春にはスンリはパラン高校生。この家にスンジョ君と二人だけになっちゃう。」
スンジョと二人だけで生活をした事もなければ、二人だけで外出もした事がなかった。
高校生の時に片想いをした時は、ずっと『ペク・スンジョの彼女』と言われたらどんなに嬉しいかと、叶わない思いをいつも抱いていた。
付き合うとか付き合わない、好きだとも言われた事もなかったが、こっそりと家族に分からないようにハニの部屋で過ごすようになった時は、何も言わなかったがこうして過ごす事が自然な事だと思うようになっていた。
お互いに何も言わなかったが、いつか結婚をすると自然とそう思っていた。
ハニにとって予想外の妊娠だったかもしれないが、スンジョにとってはもしかしたら計画的だったのかもしれない。
「あ・・・帰って来た。」
両手に持っていたマグカップをテーブルに置くと、ハニは家族が出入りする入り口のドアを開けた。
「お帰り・・遅いから心配しちゃった。」
「これ、お袋から・・それとこれがスンハとインスン君からハニへ渡してくれって。」
ペーパーバックを二つ受け取ると、その中を少し見てスンジョの上着を受け取った。
「スンリは、オレが使っていた部屋を気に入ってくれたよ。」
「お義母さんが、いつでも私たちが帰って来られるようにしていてくれたんだよね。なんだか申し訳ないな。」
スンジョの部屋を二人が帰って来る事になったら使えるようにリフォームをしてくれていた。
「気にする事はないさ。スンリだけをソウルに行かせると最初から話していたのに、勝手にお袋がオレ達もかえるとおもっていただけだから。」
今夜からはこの決して広くはない家にスンジョとハニの二人だけになる。
いつかは子供たちも親元を離れて行く事は分かっていたが、実際にスンジョと二人だけになると家の中が緊張するくらいに静かだった。
「お義父さんが亡くなってから、お義母さんはスンハも結婚して淋しかったんだよね・・・」
「それは分かっているけど、まだお袋は活動的だから数年はオレたちは二人だけの生活を楽しめばいいさ。いずれはここを一度は離れるけど、ここは都会とは違って時間の流れがゆっくりでいい所だから、ハニのお母さんが好きだった星空を見て昔の話をするのもいいのじゃないかな・・・」
「そうだね。」
雪空で今日は星を見る事は出来ないが、母が好きだった星空を見て越える事が出来そうにもなかった山を越える事が出来、ハニも母が好きだった星空が最近は好きだった。

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