暑い夏でも、ここは夜間は窓を開けているだけで涼しい風が入って来る。
そこが都会とは違うところで、就職先にここを選んだ理由の一つだった。
近くに商店がないから、夜間は街灯だけで真っ暗になる。
「まだ寝ないのか?」
スンジョは読みかけの本にブックマークを付けて閉じると、いつまでも窓の外を見ているハニに声を掛けた。
「もう寝るよ・・」
レースのカーテンを引き、ベッドのスンジョの横に滑り込むように入ると、ヘッドボードのライトをつけて天井灯を消した。
「告白してもいい?」
「告白?」
スンジョがハニの方を見ると、いつもはその気配でスンジョの方を見るハニが、天井の一点を見つめていた。
「私ね・・・高校生の時にスンジョ君の家に同居した時・・すごくスンジョ君が怖かった。」
「悪かった。あの時のオレは自分でも腹が立つくらい、酷い男だと思っている。」
「そうじゃないの・・・・スンジョ君が怖いと思っていたから、スンジョ君は私が入り込めないように心にシャッターをしていたの。スンジョ君が初恋とは言えないかな?」
クスッと笑うスンジョの息が、ハニの額の前髪にかかった。
「まぁ、そうだろうな。大体お前の初恋は幼稚園の頃だろ?」
「知っていたの?」
「知らない・・・」
知らなくても、初恋が幼稚園の頃というのは、割とある方じゃないかと思っていた。
「その後も、何度か好きになった人はいたけど・・・一度も両想いにならなかった。また失恋するんだと分かっていたのもあるけど、好きな人が怖いと思った事はなかった。でも・・・スンジョ君に一目ぼれをした時は、同居する前から怖いと思っていた。嫌われたくない、困らせたくないといつも思っていたから、自然とスンジョ君の視線が気になって、きっと私のそんな様子にイライラとしていたから、スンジョ君は私が入り込めないようにしていたんだと思うの。」
窓の外の虫の声は静かに聞こえ、スンハが誰かと自分の部屋で電話で話している声が聞こえ、スンリはもう眠っているのか外に漏れる部屋の光はなかった。
ユシムは勉強をしているのか、ユシムの部屋の灯りが診療所の庭を照らしていた。
「パパと話してスンジョ君の家を出たのは、離れたらもしかしたら自然に話せるかもしれないと思ったけど・・・ダメだった・・」
ダメだったとハニが言った意味はスンジョには分かっていた。
その頃は、ヘラと付き合っていた頃だから、ハニはスンジョとヘラから少しでも離れていたいと思っていたのだと分かっていた。
「看護師になりたいと言う思いは、小さい頃からずっとあったから、スンジョ君の事を忘れるために、勉強嫌いな私が本当に別人みたいに看護学科に入ろうと思って必死に勉強したの。」
就職率がいいからと看護学科を受験する人は多く、倍率は医学部に次いで二番目に厳しいのに、一度で合格が出来たのだから、ハニの学力からすると奇跡に近いくらいに大変だった。
「近づけば逃げるって、よく人が言うけど、私がその言葉を知ったのは大学に入ってから。先生から大学時代に告白された話はしたよね?」
「あぁ、スウォンさんとのオレは知りたくない話もみんな教えてくれた。」
「ごめんなさい・・・それを言っておいた方がいいと思って。」
「まぁな、気になる事は聞けってオレはいつも高校時代に同居した時に言っていたからな。」
スンジョはユシムやスンハが少しずつ、ハニの手から離れ始めていると知って、きっと今まで誰にも話していない事を話したくなったのだろうと思った。
きっと今夜は空が明るくなるまで、ハニは細かく話してくれるのだろう。
夏の休暇で診療所も休診だから、朝寝坊をしてもおばさんも子供たちも二人を起こさないだろう。
もし起こしに来るとしたら、スンリがどこかに遊びに連れて行って欲しいと、遠慮なく部屋に入って来る時だけだろう。

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そこが都会とは違うところで、就職先にここを選んだ理由の一つだった。
近くに商店がないから、夜間は街灯だけで真っ暗になる。
「まだ寝ないのか?」
スンジョは読みかけの本にブックマークを付けて閉じると、いつまでも窓の外を見ているハニに声を掛けた。
「もう寝るよ・・」
レースのカーテンを引き、ベッドのスンジョの横に滑り込むように入ると、ヘッドボードのライトをつけて天井灯を消した。
「告白してもいい?」
「告白?」
スンジョがハニの方を見ると、いつもはその気配でスンジョの方を見るハニが、天井の一点を見つめていた。
「私ね・・・高校生の時にスンジョ君の家に同居した時・・すごくスンジョ君が怖かった。」
「悪かった。あの時のオレは自分でも腹が立つくらい、酷い男だと思っている。」
「そうじゃないの・・・・スンジョ君が怖いと思っていたから、スンジョ君は私が入り込めないように心にシャッターをしていたの。スンジョ君が初恋とは言えないかな?」
クスッと笑うスンジョの息が、ハニの額の前髪にかかった。
「まぁ、そうだろうな。大体お前の初恋は幼稚園の頃だろ?」
「知っていたの?」
「知らない・・・」
知らなくても、初恋が幼稚園の頃というのは、割とある方じゃないかと思っていた。
「その後も、何度か好きになった人はいたけど・・・一度も両想いにならなかった。また失恋するんだと分かっていたのもあるけど、好きな人が怖いと思った事はなかった。でも・・・スンジョ君に一目ぼれをした時は、同居する前から怖いと思っていた。嫌われたくない、困らせたくないといつも思っていたから、自然とスンジョ君の視線が気になって、きっと私のそんな様子にイライラとしていたから、スンジョ君は私が入り込めないようにしていたんだと思うの。」
窓の外の虫の声は静かに聞こえ、スンハが誰かと自分の部屋で電話で話している声が聞こえ、スンリはもう眠っているのか外に漏れる部屋の光はなかった。
ユシムは勉強をしているのか、ユシムの部屋の灯りが診療所の庭を照らしていた。
「パパと話してスンジョ君の家を出たのは、離れたらもしかしたら自然に話せるかもしれないと思ったけど・・・ダメだった・・」
ダメだったとハニが言った意味はスンジョには分かっていた。
その頃は、ヘラと付き合っていた頃だから、ハニはスンジョとヘラから少しでも離れていたいと思っていたのだと分かっていた。
「看護師になりたいと言う思いは、小さい頃からずっとあったから、スンジョ君の事を忘れるために、勉強嫌いな私が本当に別人みたいに看護学科に入ろうと思って必死に勉強したの。」
就職率がいいからと看護学科を受験する人は多く、倍率は医学部に次いで二番目に厳しいのに、一度で合格が出来たのだから、ハニの学力からすると奇跡に近いくらいに大変だった。
「近づけば逃げるって、よく人が言うけど、私がその言葉を知ったのは大学に入ってから。先生から大学時代に告白された話はしたよね?」
「あぁ、スウォンさんとのオレは知りたくない話もみんな教えてくれた。」
「ごめんなさい・・・それを言っておいた方がいいと思って。」
「まぁな、気になる事は聞けってオレはいつも高校時代に同居した時に言っていたからな。」
スンジョはユシムやスンハが少しずつ、ハニの手から離れ始めていると知って、きっと今まで誰にも話していない事を話したくなったのだろうと思った。
きっと今夜は空が明るくなるまで、ハニは細かく話してくれるのだろう。
夏の休暇で診療所も休診だから、朝寝坊をしてもおばさんも子供たちも二人を起こさないだろう。
もし起こしに来るとしたら、スンリがどこかに遊びに連れて行って欲しいと、遠慮なく部屋に入って来る時だけだろう。

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