スンハの熱が下がったのは、家に戻って一週間が経過してから。
それでも、スンハの口からは可愛い声は聞こえなかった。
ハニは精神的にかなり傷を負った娘の為に、期限を決めないで休職していた。
「アッパ、行ってらっしゃい。」
「ぁっあ・・・・あぁ~」
マスコミがどこで嗅ぎつけたのか、ハンダイの孫娘が誘拐され声を無くしたと、連日のように報道されていた。
世間の奇異な目に晒されることは、スンジョやハニだけではなく、ペク家の全員が望むことではない。
スンハの誘拐騒ぎは更に違う方向に行っている事は、スンジョは気が付いていたが、そのことをハニにだけは知られたくなかった。
玄関先でスンハとハニに見送られて、ガレージを開けるとリポーターの一人が近づいて来た。
「娘さんの誘拐は、確かな筋からの情報で、ペク先生が以前に交際していた女性が起こしたことだとか・・・・」
こんな下世話な質問に答える気はないが、答えなければ認めたことになってしまう。
「確かな筋と言うのは、どこからの話ですか?」
「それは・・・・・高校時代の、それに奥様とご結婚される前に、某企業のご令嬢とのご婚約していた事実がありますよね。」
ヘラの事を今でも時々持ち出されるが、ヘラはこんなくだらないリポートをする記者は相手にはしないし、今はお互い家庭もあり家族ぐるみでの交流がある。
「高校時代から付き合っていたのは妻だけです。某令嬢の婚約?その件は関係ないでしょう。お互いの夫婦は大学時代テニス部からの友人で家族ぐるみで交流しています。仕事に遅れますから。」
こんな事が、毎日あっては家の中からは見えないと言っても、天気のいい日にはスンハとハニと出かけたくても出かけることが出来ない。
インウの夫とは何度連絡をしても、全く取り合ってくれない。
あちらから何か情報を流しているはずもないが、このまま有耶無耶にだけはしたくない。
___ ブブ・・・ブブ・・・・
スマホに見知らぬ番号から電話が掛って来た。
ハンズフリーで電話に出るが、相手は何か戸惑っているのか無言のままだ。
「イ・インウだろ?」
<なぜ・・・・・>
「なぜ?それはこっちが聞きたい。」
<私・・・・・ずっと好きだったのよ>
「で?」
<でって・・・・どうしてあんなに嫌っていたハニと結婚したのよ。>
「ハニが好きだから・・・愛しているから。」
<嘘よ・・・・・何時も一緒だったでしょ私達・・・・・>
「何を言っているんだよ。いつも一緒だったって、成績の事だけだろ?お前がオレの事をどう思っていたか知らないが、ただのクラスメートとしか見ていない。」
<いいわ・・・・まだ気が付かないのなら・・・・・待ってるわ・・・・・>
何を言っているんだ?
錯乱しているのか?
少し間が開いて、また電話が掛って来た。
「はい」
<キム・ドンウです。ご自宅に電話をしましたが、出掛けられ後とお聞きして、今宜しいでしょうか?>
「運転中なので、手身近にお願いします。」
<明日、お会いします。>

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それでも、スンハの口からは可愛い声は聞こえなかった。
ハニは精神的にかなり傷を負った娘の為に、期限を決めないで休職していた。
「アッパ、行ってらっしゃい。」
「ぁっあ・・・・あぁ~」
マスコミがどこで嗅ぎつけたのか、ハンダイの孫娘が誘拐され声を無くしたと、連日のように報道されていた。
世間の奇異な目に晒されることは、スンジョやハニだけではなく、ペク家の全員が望むことではない。
スンハの誘拐騒ぎは更に違う方向に行っている事は、スンジョは気が付いていたが、そのことをハニにだけは知られたくなかった。
玄関先でスンハとハニに見送られて、ガレージを開けるとリポーターの一人が近づいて来た。
「娘さんの誘拐は、確かな筋からの情報で、ペク先生が以前に交際していた女性が起こしたことだとか・・・・」
こんな下世話な質問に答える気はないが、答えなければ認めたことになってしまう。
「確かな筋と言うのは、どこからの話ですか?」
「それは・・・・・高校時代の、それに奥様とご結婚される前に、某企業のご令嬢とのご婚約していた事実がありますよね。」
ヘラの事を今でも時々持ち出されるが、ヘラはこんなくだらないリポートをする記者は相手にはしないし、今はお互い家庭もあり家族ぐるみでの交流がある。
「高校時代から付き合っていたのは妻だけです。某令嬢の婚約?その件は関係ないでしょう。お互いの夫婦は大学時代テニス部からの友人で家族ぐるみで交流しています。仕事に遅れますから。」
こんな事が、毎日あっては家の中からは見えないと言っても、天気のいい日にはスンハとハニと出かけたくても出かけることが出来ない。
インウの夫とは何度連絡をしても、全く取り合ってくれない。
あちらから何か情報を流しているはずもないが、このまま有耶無耶にだけはしたくない。
___ ブブ・・・ブブ・・・・
スマホに見知らぬ番号から電話が掛って来た。
ハンズフリーで電話に出るが、相手は何か戸惑っているのか無言のままだ。
「イ・インウだろ?」
<なぜ・・・・・>
「なぜ?それはこっちが聞きたい。」
<私・・・・・ずっと好きだったのよ>
「で?」
<でって・・・・どうしてあんなに嫌っていたハニと結婚したのよ。>
「ハニが好きだから・・・愛しているから。」
<嘘よ・・・・・何時も一緒だったでしょ私達・・・・・>
「何を言っているんだよ。いつも一緒だったって、成績の事だけだろ?お前がオレの事をどう思っていたか知らないが、ただのクラスメートとしか見ていない。」
<いいわ・・・・まだ気が付かないのなら・・・・・待ってるわ・・・・・>
何を言っているんだ?
錯乱しているのか?
少し間が開いて、また電話が掛って来た。
「はい」
<キム・ドンウです。ご自宅に電話をしましたが、出掛けられ後とお聞きして、今宜しいでしょうか?>
「運転中なので、手身近にお願いします。」
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