スンジョの体は冷たく小刻みに震えていたが、次第にハニの腕に温もりが伝わって来た。
「一人で抱え込まないで・・・私にはできる事はないけど、話だけでも声に出して・・・・」
「オレのせいだ・・・」
その声は小さく、あのいつも堂々として自信を持っているスンジョとは違っていた。
「オレが医学部に変わらなければ、親父は倒れたりしなかった。」
苦しいそこの声に、ハニは絶えられなかった。
泣いているようなスンジョの声に、ハニも泣きたくなって来た。

「スンジョ君のせいでも誰のせいでもないよ。大丈夫・・・おじさんはきっと大丈夫。スンジョ君が一人で抱え込まなくても大丈夫だから。」
自分に出来る事はこういう事を言うだけしか出来なかった。
初めて見た弱いスンジョのその姿に、ペク家にとって一大事な事になる気がしていた。



ハニの考えが当たっていたと知ったのは、スンジョが大学を休学してスチャンの代理として会社で仕事をするようになって数日後のことだった。
それまではウンジョが『新婚ごっこ』というくらいに、毎日がままごとの新婚の主婦気取りで学校から帰って来ると、グミがしていたように家事をこなしていた。
掃除と洗濯は、幼い頃に母親を亡くしていたおかげで手際よく出来たが、料理人の父が食事を作っていた事もあり、食事には予想以上に時間を掛けていた。
お世辞にも美味しくない食事に、文句ひとつ言わず仕事から帰って来たスンジョが食べている姿を見ると、苦手意識も薄れていた。

入院をしているスチャンに付き添っていたグミが、その日は体調が落ち着いたからと帰って来た時だった。
思い起こせばその数日前のスンジョは何かを隠しているように見えたが、それは慣れない仕事に疲れているだけだと思っていた。
「遅いわね・・・・ハニちゃん、スンジョから何か聞いている?」
「今仕事が色々と詰めなければいけない事があるからって、いつも深夜過ぎ何ですよ。身体を壊さないといいと思っているんですけど・・・・」
「そう・・ハニちゃんに本当の事を言わないでいるのね。」
「本当の事?」
グミが何を知っているのか知らないが、その表情が厳しい事によくない事だと分かった。

「スンジョ・・・・融資先の会長のお嬢さんとお見合いをしたのよ。」



人気ブログランキング